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田舎のホームセンター(売れるモノ売れないモノ)

 田舎のお店第3弾。
 基本的に田舎なので下水道は通ってません。なので、トイレ用品は、他の店と違って、売れるものが違います。都会では売れ筋の商品がここでは1年に1回も売れてないというのはザラです。その代わり、こんなものがこんなに売れるなんて、と驚く商品もあります。
 たとえば、トイレのタンクの部材関係。ゴムフロートとかボールタップ。田舎は 基本ポットン便所か簡易水洗、お金持ちかお店だけは浄化槽をつけて水洗にしているところもありますが、圧倒的に簡易水洗とポットンが多いです。なので前述した商品は売れません。ついでにいうとシャワートイレも売れません。つけようがないのです。簡易水洗はつけられないこともないですが、便槽が水ですぐたまります。代わりに売れるのが、昔ながらのトイレの外にぶら下げて、下から手で押すタイプの手洗い器。和式便器の蓋。外の臭気抜きのパイプのてっぺんにつけるトイレファン。このトイレファンはものすごく売れる売れ筋です。台風の時には飛ばされるので、前もってたくさん仕入れておかないといけません。北九州の店では1個も売れないような商品ですが、ところ変わればなんとやらというわけです。
 トイレといえば、店のトイレによく男物のパンツが捨ててあります。間に合わずしかぶったため、そのまま捨てていくのです。男用の個室にも汚物入れが必要ですね。
 多分年配の方たちでしょう。それもその場に捨てるのはまだいいのですが、流してしまう人がいます。そうなると大変、浄化槽が詰まってしまって、業者を呼ばないといけません。何度呼んだことか。
 風呂もいろいろですが、灯油で沸かす、プロパンガスで沸かす、薪で沸かす。時代を感じてしまいそうになりますが、今も薪で風呂を沸かしている家があるのです。木材カットも店のサービスの一環ですが、それでいらなくなった端材を、持って帰っていいか、聞いてくるパートさんがいたので、何に使うのか聞いたら、風呂を沸かすとの答えでした。軽いカルチャーショックに陥りました。大変だなあと思いながら、どうせ捨てるものだから、全部持って帰っていいよ、というと喜んで持って帰りました。
 水道も井戸水が結構あります。そのため井戸ポンプが売れます。これも都会では売れないものです。そのため浄水器は売れません。井戸水には浄水器のフィルターが弱くて使えないのです。
 それと水回りには関係ないけれど、この辺の田舎だけなのかどうかは知りませんが、家の出入りは、基本、居間に通じる掃き出しの窓からです。正式な玄関は物置になって出入りには使えません。
 そのうえ施錠をするという概念がないです。泥棒に入られてもあまり防犯意識は高くないです。なので、そのへんの商品も売れません。
 何かここまで書くと悪意があるのではないかと思われそうですが、決してそのようなことはありません。全て事実なのです。気を悪くしたら申し訳ありませんが、それで不便を感じていないのでしたら、それでいいと私は思います。日本全国画一的でないことはある意味素晴らしいことではないですか。
 最後に一言。この話は15年くらい前の話です。あいかわらず下水道は通ってないので、(日本の下水道普及率はまだ、案外低いのです)あまり変化はないかもしれませんが、浄化槽をつけることにより、トイレが水洗化しているご家庭も増えているかもしれません。そうなれば浄化槽のブロアあたりが売れ出して(もちろん都会では売れない商品ですが)またひとつ売れ筋が増えるかもしれません。


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