煩悩

　親父の家系は下戸である。母親の家系は呑兵衛が多い。ゆえに酒での失敗も枚挙に暇がない。僕はどちらかというと母親の血統に近いようではあるが、決して酒に強い訳ではない。ただ好きなだけである。
　妻は下戸である。ゆえに息子も下戸である。学生時代、酒で失敗したらしく、一切飲もうとしない。
　我が家は旅行先で食事などしても酒を飲まないので、いきなりご飯を注文する。それゆえ他の客と比べれば、滞在時間が短い。そういう時、僕も酒を飲んでも1杯くらいしか飲まない。
　おかげでよその家庭と比べれば酒代が浮くので、その分家計は助かる。基本僕の飲み代は僕の小遣いの範囲内だ。だから頻繁に飲む訳にはいかない。
　そもそも僕はうつ病の薬を飲んでいるので、アルコールは控えるようにと指示されている。だから本来飲んではいけない。飲まないに越したことはない。体の為にもそっちのほうがいい。だけど飲みたくなってしまうのだよねえ。煩悩との闘いである。