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尻から鮮血

 今日の朝、便意をもよおしトイレできばっていると、排泄物は見事トイレに中へポットンと落ちたのだが、シャワートイレでお尻をきれいに洗い、トイレットペーパーで、拭き上げて、その紙を見て、流石に驚いた。
「血だ。なんじゃあこりゃあ」
 鮮血がトイレットペーパーにしっかりついていただけではなく、便器の中の水も赤く染まっていたのである。
「痔だ。なんじゃあこりゃあ」
 これはまぎれもない痔である。約15年前にイボ痔の手術を受けたさいは、これでイボ痔は2度とならないといわれていたのに。するとこれは、切れ痔であろうか。
 痛みは全くない。念のため買っておいた軟膏を肛門の中に塗ったくる。切れ痔なら薬でなんとかなるはずである。痔瘻とかになっていたら、もう一度手術の必要にせまられるだろう。
 それにしてもどす黒い血とか茶褐色の血とかでなくてよかった。それなら癌が疑われる。これだけ綺麗な鮮血だと、まず痔以外にはあるまい。
 思えば約15年前、尻から血を流しながら入院した病院から仕事場に通ったことを思うと、2度と痔の手術等したくはないと思ったものだ。
 最近、便がなかなか出ないので、いきみすぎで、切れたのだろう。それにしてもビックリポンである。
 酒を飲んでいた頃はやたら下痢ばかりで、それでイボ痔と痔瘻になった。今度は酒を止めて、便秘まではいかないが、なかなか便が出なくなったのが原因で切れた。人間の体とはなかなかうまい具合にいかないものである。
 ウチの父親の家系は痔の家系である。爺さんは痔のせいで徴兵検査のおり、丙種合格となり、それが随分とショックで劣等感に苛まれていたようだ。当時は痔の手術も下手くそで、結局脱肛してしまい、生涯肛門には悩まされた。親父も手術を受けたが、やはり僕が受けた時よりは旧式で、たまらなく痛かったようだ。僕の時代になると、麻酔も進化して、痛みはほとんど感じることはなかった。
 それにしてもまた痔とは。このまま軟膏で治ってくれればいいのだが。
 


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