見出し画像

田舎のホームセンター(クレーム編)

 田舎のお店第2弾である。
 この店は年寄りが多い。市が提供しているのか、タクシー会社が提供しているのか、マイクロバスで、定期的に店まで送り迎えをしてくれる。買い物をするためにである。そういう年寄りはもはや自動車免許を返納した人たちなのであろう。
 結構な歳なのに軽トラを動かして、買い物にくる人もいる。1度、店の施設に半ばボケた老人が突っ込んできたことがあった。話が通じず、保護者に連絡を取り、弁償してもらうようにした。
 この店は農業従事者が多い。だから農業資材がよく売れる。僕は都会の店しか知らなかったから、ずいぶんと勉強になった。畦波とかエビジョウケイとかわかります?
 また田舎なので、どの家にも軽トラはあるので、全店でも極端に配達の少ない店でもあった。
 クレームも多かった。元ヤクザの年寄りが結構いたからでもあるが、ほとんどの人はもう老いぼれて、往年の元気がなくなってきてはいたが、値引き交渉をするのである。で、最後に「俺の顔を立てろ」といわれれば、もう「わかりました」というしかない。
 未成年の男子がウインチが足の上に落ちてケガをしたから治療費をよこせ、というクレームがあった。こっちはそれなら病院にいきましょうと強くいうのだが、病院にはいかないといいはる。実際はフェイクで誰も見ていないのを見計らってウインチを落とし、わざと当たったように見せかけるのだ。
 こっちが払わないと判断すると、ビッコをひきながら帰っていったが、それから毎日やってきては治療費を請求するのだった。
 何回目かに今度は外で大きな音がしたと思ったら、そいつだった。
「どんな陳列しとんじゃい。また足に当たったやないか」
 同じことを2度すれば、今度は払うとでも思ったのだろうか。今度は迷わず警察に電話した。そこへ何がありましたか、といってくる人がいた。その人は、なんとその男の知り合いだった。
 警察が来てみると警官もなんと知り合いであった。未成年で前科者で、近くのお寺の人が保護観察として世話をしていたようだった。声を掛けたのはそのお寺の保護観察の人だったのである。事務所で4人で話をして、以後、店に来ないということで、話は付いた。
 右翼で有名な人物が定期的にくることもあった。最初会った時に、「お前、俺をしらんのか」といわれた。他の店でも有名な人物であったらしい。幸いなことにこの店でクレームをいうことはなかったが、2回くらい振り回されたこともある。
 以上第2弾でした。まだ書いていないこともありますが、またの機会に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?