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琵琶湖をゆく

 早朝5時20分、家を出発して青春18切符で琵琶湖へゆくため最寄り駅へと向かった。

 もう3月も下旬になり、この時間でも空は明るくなってきている。気温もそれほど低くはなく、気の早い街の山桜たちはその花を咲かしている。もうあと2週間もしたら本格的な桜シーズンだろう。


 しかし、大荷物を抱える僕にそんな花を楽しんでいる余裕はない。片手には電車に乗るために分解した自転車、もう片手にはテントや寝袋なんかをつめた120Lのキャリーケース。しめて30キロの大荷物だ。普段の空身の状態ならば10分もかからない駅が遠い。

 この時間だと人も車もほとんど走っていない静かな世界だ。とても東京とは思えない。後ろを歩く人に気を遣うこともないから歩道の真ん中で荷物を置いて休憩を入れることもできる。
 
 2,3回休憩を入れ、なんとかたどり着いた頃には汗でびっしょりだ。自転車旅では自転車を乗っているときよりもこういう交通機関に乗るために荷物を運んでいるときの方が疲れるものなのだ。

 駅ではエレベーターをつかい、ホームまで降りるつもりであったがこんな時に限って工事中で使用停止。少し遠回りしてエスカレーターで地下のホーム回まで降りた。この荷物を持って階段を使うのはあまりにもエネルギーにあふれた行為だろう。

 ホームでは1両目の車両が来る端まで歩く。運転席後ろの壁に荷物を立てかけるためだ。ほかの車両では他の人の通行のじゃまになったり、立てかけるところがなくずっと手で押さえていなければならなかったりと大変なのだ。大荷物で電車に乗るときは先頭車両か最後尾車両を陣取るのは鉄則である。


 5:43、琵琶湖へのゆく1つ目の電車に乗り込んだ。8両編成の電車は人気のない端っこのこの車両でさえ15人ほどいた。真ん中あたりの車両はぱっと見た感じイスは埋まっている。朝早くからご苦労なことだ。
 この電車では小田原まで行きそこで乗り換える。小田原は神奈川の西の端の街だ。静岡との境の山地の上には芦ノ湖を抱え、そこから吹き下ろされる風は冷たく冷えている。東京都心から鈍行で乗り換えることなくいけるアクセスしやすい観光地の一つだろう。この地をモデルとした作品も少なくない。新世紀エヴァンゲリオンは箱根の街をモデルとしているし、三浦しをん氏の風が強く吹いているは箱根駅伝を描いている。
 小田原に近づくほど電車の開くドアから入ってくる空気が冷たくなる。太陽はだんだんとあがっているはずなのだがそれを上回る速度で小田原の冷風が来ている。荷物を運んでかいた汗もすっかり冷えて上着を羽織った。

#琵琶湖 #自転車 #サイクリング #輪行 #小田原 #旅

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