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【訪れた街】台湾・基隆(2)夜市と、食と

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一人旅の心強い味方になってくれる夜市は、ここ基隆に来て、グッと様相が変わる。台北のように大規模でないものの、料理が一気に「地のもの」色が強くなる。港町なので、海鮮料理が充実する。あぁ、これが「地元の味」なんだと体感できる。そして台北より安い。
ガイドブックに載っていないもののオンパレードだから、自分の視覚と本能に頼ることになる。それが、旅を「自分のもの」にしてくれる第一歩のような気がするのだ。夜市を歩く、地元の人たちと同じ目線となり、同じものを食べる。都会の観光地化された夜市よりも、もっと台湾を体感できるような場所だと、私は思う。近づいている感触。

基隆の夜市は、バスターミナルから徒歩で行ける範囲。大雨に見舞われても、営業している。地元の人も、観光客らしき人たちも、カッパを着て、傘を指して、不便そうだけど、みんなの視線は屋台に並ぶ料理に集まる。

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基隆を友人に紹介する際、私はストレートに言う。
「港町だから、とにかく海鮮料理が美味しい。蟹食べて、蟹!」
蟹、と言ってもゴージャスな蟹料理を指しているのではない。夜市で提供される、蟹のスープだ。多分200円から300円ほどのもの。蟹だから美味、というだけじゃない。ありふれた素材すら、台湾料理となると、変貌する。台湾料理は何かの香辛料やスパイスを使っているからか、深みが違う。この深みに、私の舌はノックアウト。いつまでも語れそうだが、私は今のところ食べる専門。
想像するのは八角、パクチー、ウーシャンフェン...想像もつかないような味。薬膳の国ならではの味と、その味に親しんだ人たちのレベルの高さが、台湾料理をもっともっと美味しいものにしていると思う。
5日の旅程で5キロ太ったこともある。ビフォーアフターの写真が、証拠として手元に残る。悔いはない。が、5キロはなかなか減らなかったので、反省はする。
けれど、次の旅の食を夢見ている。

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「台湾料理は、中国の美味しいところ、日本の美味しいところを合体させて、できたものなんですよ」
台湾で友達になった大学の先生が、そう言った。台湾料理は日本人の口に合う、とよく聞くが、台湾の友人からそう聞くと心底納得できる。
日本統治時代という歴史が良かったのかどうなのか、私の立場からはどうと判断することはできないけれど。台湾料理を生み出してくれた先人には、ありったけの感謝を込めて、言いたい。
「台湾料理よ、ありがとう!謝謝!」
また、夜市をフラフラと巡る日を夢見ている。

今、基隆はどうなっているんだろうか。あの時できなかったカフェ巡り、山にいた猫たち、バス停で声をかけてくれたおばさん。また会えることを信じて。写真のセレクトをしながら、私はまた基隆を旅する。

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