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防衛医大の訓練って何やるの?

割引あり

防衛医大の合格発表も近くなってきたが、受験生や親御さんから訓練に関して質問が多かったので在学中の訓練についてまとめてみたぞ。
中の人の頃の話なので今はやってない訓練もあるかもしれないが、参考にしてくれ。

まず訓練全般についてだが、みんなが想像しているより辛くはない。ほとんどが修学旅行の見学みたいなものなので、戦争映画のようなことはないから安心していい。
ただ体力が必要なものもいくつかある。
なので各訓練の説明にキツさも星5つで評価していく。感じ方に個人差があるが参考にしてほしい。
また訓練を受ける学年と時期はうろ覚えだから、現役生が見て間違ってても怒らないでくれ。


基本教練 ☆

入学したら第一に行われる訓練で、自衛隊で必要な動きの訓練を行う。
内容は「右向け右」、「回れ右」、各種敬礼などで基礎中の基礎だ。
歩き方の訓練や号令の訓練も行うが、匍匐前進などは行わない。
全くきつくないが面白くもない。
防衛省のHPに詳しく書いてあったので参考までに。



衛生部隊見学訓練☆☆

自衛隊は医官の他には衛生科に勤務する自衛官がいる。
映画などで出る衛生兵みたいなもん。
自衛隊の有事治療の流れは、最前線で怪我した自衛官を応急手当てをしたのちに、後方に搬送し医官が対応する流れになっている。
(ここでは詳細は省くが、詳しく知りたい人は照井資規さんの本やHPを読もう。自衛隊衛生でバリバリやっていたプロだ。)
その衛生部隊を見学する訓練で、自衛隊の救急車や野外手術設備などを実際に見ることができる。(本当に機能するかは疑問)

引用:https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/equipment/surgery_system.html

設備見学の他に担架を使った患者搬送体験などをする。
担架で患者を搬送しながら匍匐前進したりするぞ!!
逆に言うと匍匐前進は在学中はこの時しかしていない。

対して辛くない。傷病者役が楽なのでオススメ。


4km遠泳☆☆☆☆☆

一番辛い。
海で4km遠泳する。海開き前なのでめっちゃ寒い。
2年生の夏に行われる訓練だが、1年生の時から水泳の練習はみっちりやるので何だかんだ泳げる様にはなる。
どんな金槌でも泳げる様になる(させる)。

遠泳の流れだがまずは泳力ごとに20名ほどのグループに分かれる。
そのグループ毎に列をなして泳いでいく。(下みたいな感じ)
○○○○○ →泳ぐ方向
○○○○○ →
○○○○○ →

この状態で浜辺から歩いて入水自殺の様に沖に向かい、沖で1周400mを10週する。
カルガモの赤ちゃんの様に集団で泳ぐが、横にはボートに乗った指導官が見守っているから事故対策はできている。

震えながら泳ぐ防衛医大生と見守る自衛官のイメージ図

泳いでみると初めてわかるが、体力ももちろん辛いが寒さが最も辛い。
約2時間程度海に浸かっているのだが、寒さで体が動かなくなっていく。
タイタニックのエンディングの様に震えながら沈んでいきそうになる痩せ型の同期もいた。私は太っててよかった。

映画タイタニックより引用。絶対その板に二人乗れるだろ。

さて遠泳は2時間程度かかるのだが、途中でおやつ休憩もあるから安心してほしい。
サクサクの乾パンと甘い氷砂糖を貰えるぞ。
え?どこで食べるのかって?

海の中だよ!!
ボートから乾パンが海にばら撒かれ、その乾パンを拾って食うスタイルだ!!
池の鯉みたいに学生がボートに群がってくるぞ!!
乾パンは一旦海水に浸すと程よい塩味で美味しくなるのでおすすめ。

イメージ図。北の国感ある。

遠泳はラッシュガード(シャツっぽい水着)を着て行うが、終わった後は首の日焼けがひどいことになる。
首がシャツで擦れて痛いので部屋ではジャミラみたいにしていた。

引用:行け!稲中卓球部

富士登山(日帰り)☆☆☆☆☆

2年の夏訓練で遠泳の翌週くらいに富士山に登る。
作業服、ヘルメット、ブーツを着て登るので靴擦れが凄いことになる。

Wikipediaより引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/65%E5%BC%8F%E4%BD%9C%E6%A5%AD%E6%9C%8D

早朝から富士山5号目から登り始めていき昼過ぎくらいに山頂に登る。
山頂でのんびりしたいが、日帰りなので山頂には食事とトイレを含めて30分くらいしかいなかった。(あんまり覚えてない)
登りは5時間、下りは3時間の予定で登山をする。

下りは走って降りていく。
ただ富士山の火山灰が堆積してできた「大砂走り」という砂浜みたいなところを走るので、勝手に落ちていくような感じであまり辛くはない。
ただ体力がない学生は下山の段階で上手く足が動かなくなっており、走ると言うよりも転げ落ちていく様な感じだった。

余談だが富士山には趣味で登山してる陸上自衛官が何人もいて、転げ落ちる自分らを横目に全力疾走で富士山を駆け降りるゴリマッチョがいた。

火山灰なので転けても柔らかいぞ!!


射撃訓練☆☆☆

これも2年の夏訓練で行う。
体力的には辛くないが、実際に銃を撃つので怖い。
在学中に射撃するのはこの時のみ。
使用する銃は64式小銃と言うもの。
自分は全く興味がなかったが、ミリタリー趣味の同期は終始興奮していた。(今は89式を使うらしい)。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/65%E5%BC%8F%E4%BD%9C%E6%A5%AD%E6%9C%8D

300m先の的に向かって射撃するが、当たっても当たらなくても問題はない。あくまでも体験なので。
ただ学年に必ず射撃が上手い奴がいる(通称ゴルゴ)。
指導官にスナイパーに向いていると褒められた小児科志望のゴルゴは、普通科に転職するように勧められていた。

普通科に転科した小児科医のイメージ図。日本専門医機構を狙っている。

スキー訓練☆

2年の冬にスキー訓練がある。スキーをするだけなので楽。
スキーができない初心者でもコース別に教えてもらえるから安心していい。


空挺部隊研修☆☆☆

習志野にある空挺団に研修に行く。確か1泊くらいしたはず。
習志野空挺団は最強の自衛隊部隊の一つなのでゴリマッチョが沢山いる。
刃牙の作者も所属していたことがあるぞ。

自伝板垣恵介自衛隊秘録~我が青春の習志野第一空挺団


ここではパラシュートの装備を見たり、パラシュート訓練機材などを見る。
そして高さ11メートルの訓練塔から飛び降りる訓練を行う。
11メートルと言う高さが最も恐怖を感じる高さとだという。
実際飛ぶ前にはかなり怖い。

そして飛び降りる前に「何か面白いことを言え」と言われる
ここで面白いことが言えないことが一番辛い。
滑った恐怖>>>>>>>飛び降りる恐怖なので、滑った人はすぐに飛び降りる。
もはや飛び降り自殺の勢いで飛ぶ。
訓練に挑む前にネタを考えておこう。

滑って落ちていく自衛官のイメージ


まとめ:訓練は何だかんだ楽しかった

他にも色々な訓練があるがとりあえず主要どころを書いてみた。
振り返って大変だけど楽しかった思い出だったな。
なので訓練にビビってる受験生はあまり気にしなくていいぞ!!
むしろ卒業後の方が防衛医大・自衛隊はやばいから、よかったら他のnoteも参考にしてくれ!!

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