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書評:ファクター投資入門

「機械学習・AIを株式投資に活かせるのではないか?」
という考え方からスタートした私にとって,色々と調べていくうちに,
ファクターという考え方は機械学習と相性が良いのではないか?と感じました。
その後,ファクターについて,ネット上の記事等でなんとなく理解したような気になったものの,今ひとつ腑に落ちない部分がありました。

そんなときにこの書籍がXでお薦めされていたため読んでみることにしました。

例によって,私が読んで大事だと思った点を箇条書きします。

  1. ファクター値はユニバース内でのクロスセクションでの相対的な期待リターンや期待順位を説明する

  2. 多数のファクターが提案されているが,多くはユニークなものではなく,他のファクターのバリエーションであることが多い

  3. 悪い意味でのデータマイニング的なファクターも存在するため,この書籍ではその有効性を「持続性,普遍性,安定性,直感的な理解,投資可能性」の観点で評価する

  4. その結果,株式においては「市場ベータ,サイズ,バリュー,モメンタム,クオリティ」が有効であるとされている

  5. サイズファクターは相互作用が大きい。バリュー,モメンタム,クオリティとの相互作用が記載されていた

  6. モメンタムファクターは収益性が他のファクターより高いものの,相場下落時のリバーサルのリスクが非常に大きい。ボラティリティの自己相関性に基づきリスクを低減することでパフォーマンスが向上する。

  7. ファクター同士の相関についても表形式での記載がある。ファクターは常にアウトパフォームするわけではないため,組み合わせてポートフォリオ全体のリスクを低減して用いるのが良い。

所感

1.について,金融コンペではリターンの順位予測を提出するものも多いですよね。機械学習ではリターン絶対値の予測よりランクの方が分散が安定すると思います。(リターンの期待値は下がることも多い)

5.について,先日のマケデコでも「バリューはニュアンス」(相互作用がある)などの報告がありました。下記からyoutubeを見ることができます。

6.について,同じマケデコで爆損防止委員会からリバーサルのリスクについて言及がありました。また,先日記事化した内容のような方法でリスクを低減可能なのだと思います。

7.について,ファクターがアウト(アンダー)パフォームする時期があるという観点はファクタータイミング戦略等でも報告されていますね。なお,下記の記事ではファクターの相互作用についても記載されています。


ファクター分析はやはり機械学習と相性が良いと感じました。

今回は以上です。

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