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わたしのかわいいお父さん

こんにちは。ボツイチ・ボッチしあわせ研究所の研究員Mと申します。
とある街にあるニッチな研究に取り組むちいさな研究所、
という設定でやらせていただいています。

アラフィフのボツイチ・ボッチの私、研究員Mが発見した
自分で自分をしあわせにする方法を研究結果として記録しています


母譲り 父譲り

20代後半の誕生日に私は夫と出会った。
私にとって夫は神様がくれた人生最大かつ最も長持ちしたプレゼントだ。
最初は顔が好みではなかったのか「おもしろい顔してるなあ」
という印象だったけどいつのまにかかわいくて仕方ない顔になった。


チワワのようなうるうるした大きな瞳。
母譲りの立派な眉と嫉妬するほどに豊かなまつげ。
上品な唇。
笑うとできるえくぼ。
(子どもの頃は歯医者さんにほっぺを削られてしまったと思っていたそう)
爪で引っこ抜けるほど立派な鼻の角栓(!)

彼の産みの母は彼の幼少期に亡くなったので写真でしかお会いしたことは
ないけれど、私が愛する彼の顔だちは間違いなくお母さんの影響を
色濃く受けている。
ある日、彼が笑った時の頬骨から下のあたりの印象がお父さんそっくりだなあと気づいた。彼に話したらお父さんと同じ頬で笑っていた。
それでも夫は間違いなく母親似で、兄弟の中でも顔も嗜好も
お母さんのDNAを一番受け継いでいる。だからかふたりとも短命だった。


義理という言葉にハッとする

先日友人がめずらしく家族のことをLINEで知らせてきた。
その時に「義母が・・・」と書いてあってハッとした。
義母っていう言葉使ったことがないな、と。
そして義理ということばの冷たさにも。

お父さんはその後再婚して奥さんがいる。家族どころか親戚の中心人物だ。
私はお母さんと呼んでいるし、書くときもお母さんと書いている。
実の父母もお父さん、お母さんだし、夫の父母もお父さん、お母さん。
ありがたいことに夫が亡くなった後もお正月にはおいしいおせちを
つくって招いてくれるし、誕生日には実の母より早く「おめでとう」
とLINEをくれて未だに嫁として扱ってくれる。
(昨年実の母は催促するまで「おめでとう」って連絡くれなかった・・・)
頭がよくて、実の母とより話が通じる。
私はお母さんが最初からずっと好きだ。

一方お父さんはいうと、結婚当初はちょっと苦手だった。
会社員ではない夫が一時的に減収した時会社員の私が生活を支えていた。
そんな時にお父さんが私が務める会社の批判をしたことがあった。
本人はそんな気がなかっただろうことは今はわかるが、
誰のおかげであんたの息子がご飯食べられると思ってんだ?あん?
と、若さゆえ今よりも生意気だった私は腸を煮えくり返らせたことを
よく覚えている。


お父さん、巻き返すの巻

でもお父さんの兄弟たちに会ってみたら、お父さんなんて
兄弟の中でだいぶおとなしい方だということがわかったし、
そもそも天然キャラだから失言も多めだし、
さらに年齢とともに耳が遠くなって、他にも変化があり
とても丸くなった。
夫が亡くなってからお父さんは、わずかながらに夫の面影をもつ
かわいいおじいちゃんという立ち位置になった。

夫の3回忌の法事での参列者へのあいさつで
亡くなってから時間が経ってもこうやって多くの友人が集まってくれる。
私も思い出すたびに夫くん(名前としておきかえてください)
のかわいらしさに思わずにっこりしてしまう。
夫くんをいい人に育ててくれてありがとうございます。
とお父さんとお母さんにみんなの前で伝えた。

お母さんは「私は育ててはないわよ・・・」と泣きながら言ったが
でもお母さんがいなければいまの夫はなかったんだから、と伝えた。
お父さんはただただ大泣きしていた。


亡き息子からのプレゼント

昨年の12月のある日、お父さんとお母さんを家に招いた。
夫の生前12/23がまだ天皇誕生日の祝日で、
毎年自宅に私と夫の両親を招いて食事会をするのが習慣になっていた。
その習慣は祝日がなくなって日程は変われど、私一人になっても、
続けている。
私はお父さんになにかクリスマスプレゼントあげたいな、と思った。
実際にこれにしようかという商品もみつかったが、もっといいものを
思いついた。

当日、食事も終わってひと段落した時に私はダウンジャケットを
お父さんにプレゼントした。
私が夫との最後の旅行で買ったもので、
ダウンジャケットの畝のデザインが特徴的で気に入ったのと、
夫の顔だちに似合いそうと選んだビビッドなオレンジ色のものだ。
アウトドアブランドなので軽くて温かい。

海外出張に持っていってほしかったのに忘れたらしく
一度も着ないまま夫は出張先で亡くなってしまい、
ずっとダウンジャケットはクローゼットにしまってあった。
私が着ようかとも思ったけど袖が長い上にオレンジ色は
何度挑戦してもまったく私の顔色に似合わなかった。


そのエピソードともにお父さんにダウンジャケットをあげたら
「夫くん(名前)からクリスマスプレゼントもらったみたいだなあ」
ととても、そしてしみじみと嬉しそうにしていた。
そんなお父さんを見ながら心底しあわせな気分になった。
このために私はあの時ダウンジャケットを買ったのかもしれない。
うん、お父さん。それ買ったの私だから私からのプレゼントだよ。
という言葉は飲み込んだ。


お父さんを喜ばせたいと思うようになるなんて結婚当初では
想像もつかなかった。でも、夫の面影をもつお父さんを
喜ばせたいと今は本気で思っている。


いつか、娘になれるかな

義父、義母、義兄、義姉という言葉は頻繁に耳にするのに
婚家に入った嫁が義理の娘と呼ばれることは少ない気がする。
あきらかに義母、義父ほどメジャーな言葉ではない。
義娘という言葉は思い出せなかったし、読みがなが
ギジョウであることは今回始めて知った。
息子の妻はどこまでいっても義父義母にとって嫁であり、義理でも娘とは言い難い存在なのか、はたまたギジョウというトリッキーな読みがな
がそうさせるのか。
女性は男性の家に嫁いでその家族の姓を名乗ることが多いのに
いつまでも部外者であるような扱われるのはあんまりだと思う。

でもそもそも義理の、とわざわざ付け足すことが冷たいな、
と私は思うから夫の父母をおとうさん、おかあさんと呼ぶし、
その読みがなのまま書く。
お義父さん、お義母さんと書いておとうさん、おかあさんとは読まない。
そんなの本気と書いてマジと読むみたいな変な感じだ。
ちょっと違うか・・・?


夫の父母はわたしをMちゃん、と呼んでくれる。
義理の娘、とは世間的にあまり使わないのはわかるけど
私がお父さんお母さんと呼ぶように、いつかわたしを娘、
と思ってくれるんだろうか。
まだそれには私の力量が足りていない気がする。
でも義理の娘、よりはMちゃんでいたいな。


ということで、ボツイチ・ボッチしあわせ研究所 研究員Mが
友人の「義理」という言葉から芋づる式に頭に浮かんだ
ことを本日のしあわせ研究結果としてご報告します。





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