緊張感
僕の会社では、月の最後になると月報を提出することになっている。
1ヶ月間で行った仕事の内容、反省点とその改善策。それらをA4サイズの紙にびっしりと書かないといけない。
今日の夕方頃、仕事がひと段落したので僕は月報を書いていた。
しばらく専念していたが、今月の反省点を書いている途中、不意に手が止まった。
およそ半分くらい埋めたぐらいの文量は書いた。
他に何か書けることはないだろうか。
先月に書いた内容を、言い回しや表現を変えて書いて残り半分を埋める。
それともこのまま上司に提出するか。
この二択が僕の頭の中に思い浮かんだ。
そもそも、この月報を上司はきちんと読んでいるのだろうか。
ふと頭に浮かんだ。
今のところ、月報に書いた内容について聞かれるような事は一切無い。
少し前に人事考課があったが、そこでさえも聞かれる事はなかった。
前の会社では少しでも弛んでいる所があると、すぐに上司が注意することが多かった。
言葉遣いや服装、髪型や成績。毎日、張り詰めて仕事をしていたと思う。
しつこく咎めて緊張感持たせるタイプの上司はあまり好きではない。
この会社に入ってからは、そういう上司は見かけないので、個人的には好都合ではある。
これだけ書けば充分だろう。そう思い、僕はペンを置こうとした。
本当に大丈夫だろうか。僕は書いた月報を見直し始めた。
今までの経験から、僕は多少の緊張感がないとサボってしまう事が多かった。
高校の部活動、大学の授業、サークル活動、前の会社でのノルマに対する姿勢。
これまで、最初は気合を入れて取り組んでいたが、どこかで緊張感の糸が緩んでしまい、その結果失敗することが多かった。
最近になって、少しだけそういった行いをしてきたことを後悔する自分もいる。
僕は再びペンを持って月報を書き始めた。
仕事中、常に持ち歩いているメモ帳を見返した。
この1ヶ月、自分をどういった取り組み方をしたのだろう。
メモ帳を見ながら、僕はこの1ヶ月間の反省点を思い返した。
ここは緩んでいいところではない。
僕はそう自分に言いきかせて、月報を最後まで書いた。
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