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『最新 世界紛争地図 66の地図で見る世界の紛争』勉強になった

国連英検のお勉強シリーズだ。国連はさまざまな紛争地域で活躍しているので地図でその背景を学ぼうと思ったのである。

ほぼ全世界の紛争地域を網羅しており、それぞれに簡単な歴史、現在の危機、今後の展望についての記述が地図とともに付されている。

歴史は学校であまり習わないものが多くて知識が増える。歴史の教科書で大きく扱われる地域はすでに主権国家体制を確立しているため、紛争はおこりにくいからだ。したがって辺境とか半辺境といわれる地域の話題が多くなる。

これらにはアフガン、イラク、シリア、コソボなどのしばしばニュースになる場所だけでなく、ナゴルノ・カラバフなどがある。なお本書は昨年のアゼルバイジャンとアルメニアの衝突以前に書かれている。

それらの地域はアメリカ、NATO、ロシアなどの大国が介入しているのでまだましという印象を受ける。残念なのは、アフリカである。ソマリアなど「アフリカの角」であるとか、かつてザイールと呼ばれていた地域はどうにもならない感じがする。南スーダンについての記述を引用してみようか。

近年の石油価格の暴落により、南スーダンはさらに困窮し、国を立て直す資金も欠乏している。インフラは全く整わず、アスファルト舗装された道路は国全体で100kmあるかないかだ。識字率も低く、読み書きができるのは15歳以上の国民の4人に1人にすぎない。「石油資源のおかげで国が繁栄する」という人々の夢は粉々に砕け散った。

粉々に砕け散った、、、原書はフランス語なのだが、どんな表現なのだろうか。

もちろんこんなことになっているのには、西洋列強諸国の責任は大きい。そして冷戦の影響も。。。日本は途上国には中立的とみなされるというが、そりゃそうだろうと言いたくなる。

また民族の分布とはあまり関係なく引かれた国境線をみると民族多様性も大変だなあと思ってしまう(KONAMI)

民族多様性といえば近年いろいろ騒ぎになる新彊やチベットについても触れられている。領土的野心と同化政策はセットになりがちだよね。また中国がお騒がせしている尖閣諸島、南沙諸島も取り上げられているが、アフリカや西アジア、中央アジアに比べると東アジアは平穏と感じてしまう。

全体的には歴史的経緯や天然資源や民族の分布などに重点がおかれていて、国連の関与についてはあまり記載がない。だから国連英検の対策は、他書も参考にする必要がある。

このての本は字が多くて読むのがしんどいのだが、地図を参照することで楽しく読めるようになる。国連は軍事的な介入よりも人道援助、和平プロセスや民主的選挙の監視といった業務が中心であることがよくわかる。


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