安川康介『科学的根拠に基づく最高の勉強法』読んだ
今月の意識高い一冊シリーズ。
けっこうよかった。今どきの意識高い系らしく、きっちり参考文献がつけてある。また重要な論文については、細かく解説してあるので説得力がめちゃ高い。
著者の安川康介氏はアメリカで内科医してるお方で、ああ慶応のお医者さんだなあって感じ。こういうスマートさは東大京大のお医者さんにはあんまりないんだよね。うまく説明できないけど。
まあそれはよいとして。
まず第1章では、科学的根拠が薄い、あるいは非効率であることが客観的に証明されている勉強法が挙げられている。具体的には繰り返し読む、ノートに書き写す、下線を引く、などなど。
ただしこれらは、やり方、やる人によって効率が大きく変化するという性質のもので、やってはいけないということではないと思われる。だから著者も断定的な言い方を慎重に避けている。
ただし第2章で紹介されるのはきわめて再現性の高い方法であり、有限な時間のなかで、再現性の高い方法をやらないで、効果が不確実な勉強法を採用する意義は低いよね。
再現性の高い方法とは、結局のところ、テスト効果と分散学習とインターリービングに集約される。
本書はテスト効果を発揮する勉強法として、アクティブリコールとか自己説明をあげている。これらは脳への負荷が高く、ついつい避けてしまうのだが、これからはもっと増やしていこうと思った。
また自分で効果を実感しにくい勉強法とのこt。これもついつい避けてしまう理由の一つだろうか。
インターリービングは訓練する内容をある程度ばらけさせることである。同じことばかりしているより、ちょっと違うことを色々やるほうが効率がいい。あまりにも違う内容だと、たんに別の競技、別の科目を練習してるだけになるので、効果が出ない。
これは過学習を避け、スキルの抽象度が高められるためだと思われる。
抽象度を上げるとはどういうことかはこの記事を参照してね。
『科学的根拠に基づく最高の勉強法』の話に戻る。
第3章は記憶力競技で使うような、記憶術の紹介。安川氏は基本的に記憶術に頼ることはないそうだが、たまに使うとのこと。
私はここに書いたような理由で、ガチの記憶術を使うことはないが、取り入れてもいいかなあと思ったりした。
ちなみに安川氏もこの本のことを推奨していた。やっぱこれいい本だよね。
第4章は勉強のパフォーマンス、モチベーションを維持する方法など。意識高い系はこうでなくっちゃねという内容。
個人的にはコーネル式ノートの使い方を知ることができてよかった。なんとなく買ってしまって持て余していたのだ。Goodnotesのテンプレにも入ってるから今度つかってみよう。
というわけでお役立ち度はかなり高い。1章と2章に関してはコンパクトかつプラクティカルで最高の完成度である。私の知る限りでは、勉強法に関してここに書いてある以上のことは、他の本を読んでも出てこない。
4章もなかなか面白いが、最高というほどではない。でもいままで読んだ中では、『独学大全』の最初のほう、『Brain Workout』に次ぐ面白さであった。