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摂食障害の始まりから終わりまで (第四話:もう一度「したい」を取り戻す)

第三話では、心療内科に通い、対人関係療法を通じて治療を行なった過程を紹介しました。

今日は休職期間中、私に少しずつ起きていった心の変化を書いてみます。


ダンスという助け舟

過食症に転じてからは、外に出ることが恥ずかしくなったので、
過食をしては消費をするためにジムに行って
ランニングをして汗をかいて家に戻るという生活でした。

しかし、ジムはどんなに頑張っても、
ランニングで1時間、
それを2セットこなすのが精一杯。


とてもじゃないけど、
1日に6000とか8000カロリーくらいを過食していたので、
消費量が足りない。


もっと、何かで消化しなければ、、、


激しく運動できることをなんでもいいから、と、
ダンススクールに行ってみることにしました。


ダンス自体は昔から大好きでしたが、
拒食症になってからは、
だんだんと体力がなくなったことで踊れなくなり、

いつしかその踊れないことで自信を失ってからは、
やめてしまっていました。



また、昔チームメイトで踊ったいた時も、
自分が一番下手なように思えて、

いつしかダンスも自分も

大っ嫌いになってしまっていました。


だけど、今なら体重は増えたから体力もあるし、大丈夫だろう。
どうせ下手でも、いまはデブだし、
どうにでもなれ!



そんな思いで、
ダンススクールのHipHopのクラスにおそるおそる参入。


こんな体でうまく踊れるかな、
みんなからバカにされないかな・・と

心配でたまらなかった。


でも、


扉を開けるとそこには衝撃的な世界が広がっていたのです。


先生は、男性の有名なダンスチームの先生でしたが、底抜けに明るく、



レッスンの最前列を飾るのは、
ポニーテールでダンス経験は全くなさそうに見えるけど笑顔で全力で踊っているおばちゃん。

誰かに笑われるとか、そんなこと一切気にしていない様子。

そして、私の身長の半分くらいしかないちびっこ。

隣には、初心者です!って感じの、ぎこちない男性や、

反対側にはもう何年も通ってます!って感じの、若い女の子。


本当に、老若男女が、
一つの空間で、一つの音楽とダンスを共有する、

衝撃的に平和な空間だったのです。


ダンスってこんなにあったかいものだったんだ。

私は、その空間の心地よさに救われて、

ここに居場所を見つけたような気持ちになって、


その日からほぼ毎日ダンススクールに通う生活が始まりました。


もちろん、過食が止まったわけではないので、
スクールの直前までお腹いっぱいにお菓子を食べて、

吐きそうになりながら汗だくになって踊ることもたくさんありましたが、

それでも少しずつ、「楽しい」と思える感情を大切に育てていきました。


ダンスを通じてできたお友達

そして、休職をしてからは仲の良かった友達とも一切会えなくなった生活が続いていたのですが、

毎週レッスンに通っていると、
先生や常連の生徒さんから話しかけられるようになり、


いつしか、私にも新しい友達が増えていきました。

小学生の男の子、中学生や高校生の女の子のお友達、
時にはおばちゃんや、同世代の女性も。


みんな年齢関係なく「すみかちゃん」と私のことを呼んでくれて、
敬語も使わずお友達のように話してくれました。


過去の私のことなんか知らない。今の太った私しか知らない。
そんな安心感が、私に心を開かせてくれました。

過食でパンパンになったお腹でいっても、

ブヨブヨになった足で踊っていても、

みんな笑顔で、「普通の人」として接してくれたのです。


この人との繋がりの中で、少しずつ私は、
「ありのままの自分」を受け入れられる体験を積み重ねていったのです。


ただの「食べ過ぎ」と何が違うの?


だけど、「普通の人」として接してもらえることは、
自分にとって心地よいことでもあり、

時にとても苦しいことでもありました。


例えば仲良くなった友達に、
自分の病気のことを少しだけ話してみようと話してみたりしたのですが、


摂食障害という病気自体が、ほとんど知られていませんし、
知っていたとしても、理解をしている人はほとんどいない中で
(本人の自分ですら理解できていない・・・)


だから、「みんなでご飯に行こう!」と言われることが、とても怖かったですし、

一緒にご飯に行ったとしても、うまく食べられない自分に
「なんでそれだけしか食べないの?」と言われて、返答に困ることも。


そんな中でも、少し仲良くなった子には、自分の病気の話もしてみたりしましたが、

まだ、この病気のことをうまく伝えることができなかったので、

気軽に「食べすぎる」という「行為」だけの話をすると、
とんでもない気持ちの事故に遭うことも多々ありました。



「え?そんなにおかし食べるの?すごいねそれでなんでもっと太らないの?」

(→心の中の私:それはね、、、死ぬほど運動したり絶食したりしてるからだよ)


「私も時々すごくお菓子が止まらなくなるんだけど、ってことは私もその病気なのかな」

(→心の中の私:もし、毎日死にたいと感じて恐怖に襲われてなかったら、きっと、違うと思うよ。この死ぬほど辛い病気と、あなたの食べ過ぎを一緒にしないでほしいなぁ。)

「全然太ってないじゃん、大丈夫だよー」
(→心の中の私:大丈夫じゃないんだ。痩せても、痩せても、ガリガリに骨と皮になってしまっても、まだ自分は太っていると思うんだ。)


こんな会話を繰り返していると、


「やっぱり私はただの食べ過ぎのデブなんだ」。と

苦しくなることもありました。


病院の先生から
「病気」ということを言い訳にして、「病気だから仕方ないんだ」と
思っていいんだよ。と、言われていた、

その盾を、不意に奪われたような気持ちになって。


だから、病気のことを簡単に人に話すのは、やめようと、学んだのです。


それでも、「ダンス」という居場所を見つけることができた私は、

少しずつ、社会とのつながりを取り戻していったような気がして、


わずかな光を見たような気持ちになったのです。



・・今日はここまで^^

続きはまた次回、一つ一つ気持ちを思い出しながら、書いていきます。







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