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将棋

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将棋に関するコラムです
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天使の跳躍を読んだ(ネタバレあり)

天使の跳躍を読んだ(ネタバレあり)

 久しぶりに小説を読んだ。天使の跳躍。七月隆文著。面白かった。主人公は将棋の木村一基九段。数年前46才で初タイトルを獲得し中年の星と喝采を浴びた人だ。作中では田中一義という名前が与えられ一応、架空の人物となっているが、ほぼほぼ木村九段と言っていい。この田中一義八段をより映えさせるべく、現実を切り貼りしてifの世界を作りあげちゃいました。そんな小説。
 タイトル戦の相手が豊島くんから藤井くんに変更。

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お疲れさまでした!

お疲れさまでした!

 広島出身の将棋の兄弟弟子がいる。トータルの出来は弟弟子がいいが、兄弟子の才気も棋界随一と評判だ。ただ隙は多い。そんな兄弟子が棋士人生最後の大勝負と言って臨んだタイトルマッチを棒で負けた。明けて7月某日、傷心の兄弟子は海を見ている。対岸の島にはホテルニューアワジがある。一番でも勝てばたどり着いた対局場だ。一番も勝てなかったのでたどり着けなかった。埠頭にカモメが鳴く。兄弟子の後ろに弟弟子が立った。な

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棋聖戦2戦目終了

棋聖戦2戦目終了

 テーゼはアンチテーゼと出会うと、ジンテーゼにアウフベーヘンする。ふじい八冠は山ちゃんと出会って、何にアウフベーヘンするのか。そんな命題を抱えて棋界の哲学者ダニーが、対局場の新潟に現れた。「お、きたね。兄弟子の応援かい?」「観光です」
 兄弟子への愛情は哲学する時には不要なノイズとなる。応援はいけない。冷徹な眼を持つ観測者たれ。ダニーが哲学するときの留意するところである。

 ダニーはふじい八冠が

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棋聖戦第一局は完敗でした。

棋聖戦第一局は完敗でした。

 「完敗でした」と山ちゃんがツイッター(現X)に綴った棋聖戦第一局。藤井曲線とちょい悪逆転術の対決だ。最強の鉾とちょい悪の盾の戦いは、順当に最強の鉾の勝ちに終わった。そらそうだ万全でどうかというところちょい悪いんだから勝ちづらい。無理を通そうとして通らず、道理が勝ったといういい方もできる。世界が正しく運行した一日だった。しかたがない。そうでなければ世界は積み上がっていかない。
 山ちゃんの中には勝

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棋聖戦イブ

棋聖戦イブ

 今日はイブ。明日は山ちゃんの15年ぶりのタイトル挑戦日。相手は化け物ふじい棋聖・竜王名人王位叡王王座棋王王将(以下八冠)。まずは二人のステータスを検証してみよう。

 どうも山ちゃんが勝負師として、ゆるい印象。武器と防具が心許ない。山ちゃん唯一の必殺技をふじい八冠も持っているのも厳しいところ。しかし厳しい厳しいと言っても明日はやってくる。遠足は行く前の準備が一番の楽しみ。山崎竜王棋聖誕生を夢見て

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祝・棋王戦挑戦が決定したよ

祝・棋王戦挑戦が決定したよ

183手佐藤九段投了

 山ちゃんが勝った。タイトル挑戦だ。次は藤井くんと5番勝負。棋聖位は名前が一番カッコよく8大タイトルの中で序列が一番下、なので山ちゃんが藤井くんからかすめ取るに相応しいタイトルだ。
 終局後のインタビューで推し量るに山ちゃんにタイトルを取る気はなさそうだったけど(*)、ファンとしては山ちゃんの初戴冠、神殺しの姿は見てみたい。

 勝つ気すら怪しい。そもそも山ちゃんは「勝率5

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竜王戦挑戦者決定3番勝負第1局負け

竜王戦挑戦者決定3番勝負第1局負け

「なにをしてるの?」 母やま子に問われて、やまちゃんは「白線の上を歩いてる。落ちたら死ぬ」と答えた。
「ああ、それ」 道路の白線を断崖の一本道に見立てたこの遊びは、やま子も子供時分にやっていた。子供というものは、教えられた訳でもないのに、同じ遊びをするものなんだな。落ちたら死ぬ設定も同じ。
「どこまで歩くの?」
「うちまで」
「落ちずにうちについたら?」
「名人になる!」
夢を賭けちゃったか。やま

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8月9日(火)UBER日記

8月9日(火)UBER日記

Uber7件配達。menu1件配達。UBER週間15件クエスト達成。

ウバ活中にカメラが必要な場面がある。置き配した場所を、カメラで撮ってお客様に送信するのだ。UBERアプリがスマホのカメラ機能に誘導する。その時にカメラが起動しないことがあった。ここ最近、2回くらい。ひと月前ほど、自転車のホルダーから派手にスマホを落としたのがまずかったのか。はたまた、アプリのバグか。

一旦UBERから離れて、

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山崎八段竜王戦挑戦者決定3番勝負進出

山崎八段竜王戦挑戦者決定3番勝負進出

山ちゃんが1組優勝のながせ軍曹を破り竜王戦挑戦者決定3番勝負に進出した。この挑決3番勝負は格と賞金から、タイトル挑戦に準じるものとされ、次点がつく。山ちゃんは10年前にもこの3番勝負に出ているので、これで次点が2つとなり、タイトル挑戦回数に1が加算されることに。結果、山ちゃんのタイトル挑戦回数は1から2となった。めざせ獲得。ちなみに獲得も叡王戦優勝で一つ次点を持っている。

この挑決3番勝負で山ち

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さわやかに散ったよ!残念四天王!

さわやかに散ったよ!残念四天王!

あっくんが、ふかうら地球代表に負けて、決着がついた。チームの予選敗退が決まった。予選第2試合で残念3兄弟(正式にはチーム厄払い)は、とよぴーチームにフルセットまで戦い、力尽きたのだった。

あっくんが、ふかうら地球代表に勝つためには、将棋星人にならなければならない理屈なので難しいミッションだったのかもしれない。あっくんには、若干のヤムチャ感がある(おとこまえ設定)。

戦犯はやっぱり山ちゃんになる

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出撃したよ!残念四天王!

出撃したよ!残念四天王!

山ちゃんが3連勝した。第5回Abemaトーナメントでのこと。
あんなに浮かれた顔の人を見たことがない。
チーム自体は3-5で負けた。

それまでのあらすじは、世代最強として将来を嘱望されていた山ちゃんが、40歳になりました。彼の人の現在地は最強たりえず今もって永遠の若手棋士といった様相。そんな山ちゃんが、似た境遇の仲間二人を集めました。目標は「メンバー各人が1勝すること」。「それじゃチームは負けち

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放送前夜だよ!残念四天王!

放送前夜だよ!残念四天王!

ある日のことチーム名は「残念四天王-1」です。
山ちゃんが言った。
おもしろいじゃん、とあっくん。
いやだ、とまっつん。

いやなのかあ…。「残念3兄弟」では、どうですか。
おもしろいじゃん、とあっくん。
いやだよ全然変わってないよ、とまっつん。

「チーム厄年」では?
だから、ネガティブなのは嫌なんだって。山ちゃんは自負心の裏返しでネガティブを発信するんだろうけど、俺は山ちゃんほど余裕ないから。

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出番だよ!残念四天王!

出番だよ!残念四天王!

山ちゃんが1勝を手土産にA級から帰ってきた。うっかり「ただいま」と言っちゃうとB1に帰る気まんまんだったみたいになるので、そこは、気を付けたいところ。
「ただいま、まっつん」
言っちゃった。隙あらば自虐。それが山ちゃんのスタイル。
「おかえり山ちゃん」
山ちゃんを迎えたのは、やしもんだった。そこにまっつんの顔はない。
「まっつんは?」
「まっつんならB2に落っこちたよ」

山ちゃんは、ふかく目を閉

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シン・ヤマザキ

シン・ヤマザキ

先週のおさらい いやあ、新技を出しましたね山ちゃん。大優勢からの千日手で、のけぞって頭を抱えて、あ、そうなの?って記録係に聞き返しちゃった。

 カジュアルう。棋士室の練習将棋か。ここ、本番のスタジオやで。さすが、将棋と戯れる男、山ちゃん。面目躍如というところですね。

 もちろん非公式記録員の私もこの動きには新技認定です。伸身の盤前頭え込み発声付き(交響曲第九番合唱付き風に)。シン・ヤマザキとい

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