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#835 労務論22|残業時間について考える

労務論、前回は日本の有給休暇の取得状況について、皆さんと一緒に勉強しましたね。

そこで導かれた悲しいアンサーは、「日本の有給休暇取得率はバリ低い」という悲しい現実でしたが、残業と言う観点においてはどうなのか?
同じく世界をケーススタディに考えてみました。


日本の残業状況は?

残業時間の平均はどのくらい?1日2時間は多い?残業が多い時の対処法も解説

日本の企業における残業時間は、国際的に見ると比較的多いとされています。まぁ調べる前から分かってはいましたが・・・やはりそうなんですね。

特に「過労死」「働きすぎ」が社会問題として認識されるほど、長時間労働が日本の労働文化に根強く残っている面があります。
戦後の高度経済成長期のモーレツ社員と呼ばれた勤勉な先輩たちがガッツリハードルをあげてくれやがりましたので、そのハードルのまま、我々は社会の歯車として働き続けている訳ですね。

日本の残業時間の特徴

  1. 長時間労働が当たり前の風潮
    日本では、特に正社員において、労働時間が長く、残業が日常的に発生することが多いんです。
    これは、責任感チームへの貢献を重視する文化や、そして「終身雇用」制度の影響も関連して、残業が多いのが特徴なんですね。

  2. 過労死の問題も頻発
    長時間労働が原因で、心身に深刻な影響を及ぼし、最悪の場合には過労死が発生することがあり、社会的な問題となっています。良くないですね。

  3. 労働法の改正はしてるんですが・・・
    日本政府は、働き方改革の一環として、労働基準法を改正し、残業時間の上限を設けるなどの措置を取っています。例として、月45時間の残業時間を原則とし、繁忙期でも月100時間を超えないように制限されています。
    いわゆる36協定ですね。ただ、これらはあくまで表面的な対策でしか無いんですよね・・・


日本で残業時間が多い理由


残業時間の平均は25時間!残業時間ごとの特徴とブラック企業の基準

1. 文化的要因

日本の職場文化では、結果よりプロセスを重視される傾向があり、長時間労働こそ美学という考え方が多く、定時を過ぎても仕事を続けることが、誠実な働き方とみなされる傾向があります。

また、日本の企業文化では、個人よりもチーム全体の成果が重視されますので、そのため、チームメンバーが残業している中で早く帰宅することが「無責任」「KY」とみなされたり、上司が帰宅するまで部下が残る「忖度」という腐った文化も残ってるんです。諸行無常ですね。


2. 経済的要因

日本の労働生産性は、他の先進国と比較して低いと言われています。
作業の非効率や会議の多さ、業務の重複などが原因となり、仕事の進行が遅れることがあります。その結果、労働時間を長くすることでカバーしようとする傾向があります。

加えては「残業代目当て」という理由もありますね。生活残業というやつです。


3. 法的要因

日本の労働基準法は、これまで労働者の保護において他国と比べて緩やかな部分がありました。
たとえば、2019年に施行された「働き方改革」以前は、残業時間に上限がなかったため、多くの企業が長時間労働を行っていました。

また、企業の労働環境に対する監視や監督が十分でないこともあり、残業が常態化することがあります。
労働基準監督署が監視する数が限られているため、違反が見逃されることもあります。


4. 働き方の多様性の欠如

最近でこそ見られるようになりましたが、テレワークやフレックスタイム制といった柔軟な働き方が、他の先進国に比べて遅れて普及しています。
特に伝統的な業界や大企業では、依然としてオフィスに長時間滞在することが求められるため、残業が減りにくい状況が続いています。


総括

そんな感じで色々と複雑なんですが、とにかくこの国は「残業」をすることが従業員も、使用者も、国家もすべてが推奨しているような感じなんですね泣
コロナで少し前に勧める事ができましたが、まだまだ労働条件はチョンマゲを結っているグルーヴです。
夜明けが必要なんですね。


世界との比較 ~オランダの事例~

ちなみに世界の残業条件を見渡すとどんな感じなんでしょう?
ちょっと周りを見てみると、こんな感じです。

  • アメリカ
    日本と同様に残業が多いとされる国の一つですが、日本ほどの社会問題にはなっていません。特にITや金融業界では残業が多いものの、ワークライフバランスの確保を求める動きが強まっています。

  • ヨーロッパ(特に北欧諸国)
    フランスやスウェーデンなどの多くのヨーロッパ諸国では、法的に労働時間の制限が厳しく、残業は抑制されています。たとえば、フランスでは週35時間労働が標準となっており、残業には厳しい制限が課されています。

  • 韓国
    日本と似たような状況にあり、長時間労働が問題視されています。
    韓国でも残業を減らすための法的規制が導入されていますが、依然として多くの企業で残業が行われています。


そんな感じですが、世界で一番残業が少ない国としてよく挙げられるのは、オランダです。
僕はオレンジ軍団の愛称を持つサッカーオランダ代表をずっと応援しているんですが、彼らはそんなホワイト企業国家だったんですね笑
ファンデルサールの父親とか、ダーヴィッツの母親とか、ロッベンの叔父さんとかもケアされていたことでしょう笑

オランダは、ワークライフバランスを非常に重視する国であり、残業が少ない国の一つとして知られています。
いくつかの特徴が、オランダの残業の少なさを支えています。

男女2人で仕事1.5人分 女性が働きやすいオランダ

そんなオランダをケーススタディに、色々と見てみましょう。


オランダにおける残業の少なさの理由

  1. 労働時間の規制:
    オランダでは、労働時間に関する法律が非常に厳格に設定されています。例えば、法定労働時間は週に38時間から40時間であり、これを超える労働には厳しい制限があります。さらに、残業は通常、特定の緊急時や繁忙期などに限られ、頻繁には行われません。

  2. パートタイム勤務の普及:
    オランダでは、パートタイムで働くことが一般的です。
    多くの労働者が週に4日勤務し、家庭生活や趣味、余暇を大切にする文化が根付いています。特に、女性だけでなく男性もパートタイムで働くことが一般的です。

  3. 柔軟な働き方:
    オランダでは、テレワークやフレックスタイム制といった柔軟な働き方が広く浸透しています。これにより、従業員は仕事とプライベートのバランスを取りやすく、効率的に働くことができます。

  4. 文化的背景:
    オランダでは、「仕事は生活の一部であり、生活のすべてではない」という考え方が根付いています。労働者の健康や家族との時間を重視する社会的な価値観が、残業を減らす一因となっています。

その他の残業が少ない国

  • デンマーク
    デンマークも残業時間が非常に少ない国です。
    働き方の効率化が進んでおり、法定労働時間の範囲内で業務を終わらせることが一般的です。また、週平均労働時間は約37時間とされ、家族や余暇の時間を大切にする文化があります(日本は標準の労働時間が40時間)。

  • ドイツ
    ドイツは、労働生産性が高く、短い労働時間で成果を出すことが求められる国です。多くの企業では、効率的な働き方が重視されており、残業は法的にも強く制限されています。



日本が残業を減らすために

そんな感じでイケてる諸外国の労働環境を知り、日本で何ができるか?

劇的に変えるのはゲル新総理に任せるにして、日常で意識しなければならないのは、まぁベタではありますが、日常的に「時間の使い方」「業務の優先順位」「効率的な働き方」を意識することが重要ですね。

自分の業務をしっかり管理し、適度な休憩や上司とのコミュニケーションを取りながら、無駄を排除することが、残業を減らす鍵となります。
また、ワークライフバランスを大切にすることが、長期的に見て生産性を高めることにもつながります。

あとは組織にとらわれず、自営業とかフリーランスとかで、生きていくだけに自分のペースではたらき、仕事外の時間も充実させるというのが良いのかも知れませんね。

とにかく一つ言えるのは「残業は美学」と思うのがダメですね。
そのような法整備に向けて、ゲルには現場って欲しいところです。


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