#375 広報論24|ブランディングを考える② 〜リブランディングの成功&失敗例〜
前回の広報論でブランディングに関して整理しました。
個人的に、まだまだブランディングに関しては掘り下げて勉強したいと思ったので、今回は「リブランディング」に関して整理してみました。
リブランディングとは?
つまりブランディングの中に含まれる概念です。
これまで、とある製品に関して、「この製品はAである」ということを消費者に想起して欲しくて、そういう認知に向けた施策を打ってきましたが、あまりうまくいなかったり、強烈なライバルが出現した時に、違う土俵で戦おうと、「この製品はBである」と方向転換をすることが、リブランディングですね。
その為に必要なのが、STGと呼ばれているマーケティングのフレームワークです。
STG分析
STGとは、Segmentation(分類)、Targeting(狙う層)、ポジショニング(自分の位置)を可視化させる取り組みです。
下記の画像が鬼わかりやすいので見てもらえれば理解しやすいでしょう。
例えば外食産業で分かりやすく、コーヒーショップで分類しましょう。
ここに新規参入する「**コーヒー」という店舗があると仮定します。
まずはセグメンテーション(分類)です。
セグメントされる軸としては「値段(高い・安い)」「立地(駅前・道路沿い)」「サービス(飲み物のみ・フードも充実)」「喫煙(可能・完全禁煙)」など、色々あると思いますが、このような形でニーズを分類させるのがセグメンテーションですね。
尚、今回はコーヒーショップ(狭義)でセグメントしましたが、「外食産業」「サービス業」などのセグメントも勿論有効です。
そしてセグメントの結果「値段は安く」「駅まで」「タバコが吸えて」「フードも充実した」サービス展開をしていくと決めると、こうした店舗を望むであろうユーザーを仮説として定義することがターゲティングですね。
尚、ここで生まれるマーケティングが、下記のような戦略となり、
そこからブランディングも派生していきますね。
値段が安いことをSNSで呟こう
駅の近くにポスターを貼ろう
タバコの自動販売機の近くにポスターを貼ろう
で、最後はポジショニングです。
上記のようなサービス展開している競合をリストアップすると、多分ドトールが出てくると思います(むしろドトールをイメージして挙げました)
で、新興の「**コーヒー」は、どこにいるかという立ち位置を置くことができます。
この場合、イメージとして「セグメント」「ターゲティング」されたコーヒーショップ店リストを、更に狭めていくイメージが良いかと思います。
仮にその絞り込み検索で10店舗残ったとして、その10店鋪を「支店数」「売上数」「人気数」など、可視化できる定量的な数値で軸を設けて、その際に各々の店舗がどこにいるかを置いて、現状のポジションを理解します。
そしてその上で「次はどのポジションを狙うか」を定義します。
思わず長くなってしまいましたが・・・そうした分析の結果、リブランディングは生まれると言っても良いでしょう。
リブランディングの成功事例
1.スターバックス
前回も紹介したスタバですが、前回の調査が及んでませんでしたが、リブランディングもしっかり成功していましたね。
軽く触れていますが、コーヒーを提供するだけではなく「空間」を提供すること。これによりターゲティングやポジショニングが変わり、リブランディングに成功したと言えるでしょう。
2.SEA BREEZE
僕が10代の頃は深キョンをCMに使い、やはり明らかに男性向けだったSea Breezeも時代の変遷と共にスタイルを変更し、男性→女性へポジショニングを変えたところ、売り上げは低迷期の8倍にまで膨れ上がったような。
まさにリブランディングの極みと言っても良いでしょう。
3.タニタ
タニタも素晴らしいリブランディングの成功事例ですね。
元々は体重計や体脂肪計など、一度購入したらなかなか買い替えない製品を作っている会社でしたが、そうしたノウハウを駆使して体脂肪を減らすレシピ本の作成、更には飲食店「タニタ食堂」の経営など、リブランディングによる方向転換で成功しています。
4.USJ(Universal Studio Japan)
USJのリブランディングもなかなかぶっ飛んでます。
2001年に映画のテーマパークとしてオープンしましたが、年々来場者も減って2004年には経営破綻寸前まで行ってしまったようだったのですが、ここでUSJは森岡毅氏というマーケティグの鬼を招き、ガラリと方向展開を行い、大人向けだった映画のテーマパークを改め、映画以外でも「ワンピース」「モンハン」「妖怪ウォッチ」とかなんでもありになり、来場者も倍増したとのことです。
元々アメリカのユニバーサルスタジオを日本に持ってきたので、そこを変えるのは聖域だと思っていましたが、固定観念だったようですね!
5.長崎ハウステンボス
長崎ハウステンボスは1992年に2300億円というコスモな初期費用を投じて誕生したテーマパークなのですが、来場者激減による経営破綻で2010年まで18期連続赤字という状況になっていたのですが・・ここもUFJ同様、大幅な方向転換が行われ、V字回復するんです。
まずはオランダに関係ない「光の王国」「ONE PIECEのサウザンドサニー号の展示」などを行ってプレミア感を演出して集客を増やし、更には広大な立地に企業を誘致し、ショッピングなども行える「テーマパーク以外の価値観」を創出したことで、ファミリー層から支持を集め、テーマパークを核とした都市構想が行われているようです。
これもすごいリブランディング成功例ですね。
リブランディング失敗例
上記の成功例と表裏一体な、リブランディングの失敗事例も星の数ほどあります。というか実際はこっちの方が多いのでしょう。
リブランディングで当たるというのが僥倖、GYOUKOUなのかも知れませんね。
そんな感じで簡単にリブランディングの失敗事例をご紹介!
1.GAP
これまた前回同様の紹介ですが、とにかくクレームが多かったようでした。
目的としては売上回復を狙った「クラシック、アメリカン デザイン」から「モダン、セクシー、クール」への移行だったとのことですが・・・
思い入れの強い古参が多かった、ということですね。
2.ローソン
ローソンもやらかしました。
パッケージなどを統一感のある見た目にして、個人的には好みなのですが、「一見わかりにくい」という至極真っ当な指摘が入り・・・
やはりコンビニでは頭を使わずに選びたいようなので、商品画像は大きくして欲しいとか。
あとは文字の読めない外国人とか、そういうインバウンド訪日者にとっても非常にウケが悪かったようで、レイアウトを修正したようです。
3.トロピカーナ
そして、「リブランディング失敗の代名詞」的な呼び声も高いのがトロピカーナです。
パッケージを見てもらえればですが、ミカンの写真を使わなくなったことで、引くくらい売り上げが激減したらしいです!ヤバいですよね!
それくらいブランドには信頼があるというふうにも言えますね。
まとめ
今回の失敗事例は全てデザイン変更が起因していますので、デザインがもたらす効果においても次回以降は掘り下げてみたいですが、とにかくリブランディングはバクチということがわかりますね。
とはいえ勝負に出る局面では勝負に出なければなりません。
天使のように大胆に、悪魔のように細心にですね。
それでは今日はこの辺で。
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