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内部と外部

マトゥラーナが提出した「パイロットの比喩」がある。
「生命システムで生じていることは飛行機で生じていることに似ている。パイロットは外界に出ることは許されず、計器に示された数値をコントロールするという機能しか行なわない。パイロットの仕事は、計器のさまざまな数値を読み、あらかじめ決められた航路、ないし計器から導かれる航路にしたがって進路を確定していくことである。パイロットが機外に降り立つと、夜間の見事な飛行や着陸を友人からほめられて当惑する。というのもパイロットが行なったことといえば、計器の読みを一定限度内に維持することであり、そこでの仕事は友人(観察者)が記述し表わそうとしている行為とはまるで異なっているからである。」


外から見ている現象と中で起こっている事が必ずしも一致はしない。

外部で観察されるものと内部で起こっていることにはギャップがある。

どうしても人は外から観えている情報で判断しがちになる。

スポーツの世界では、外部に現れる動きを数値化し、客観的に捉えようとするスピードがどんどん増している。映像技術の進化によって自分の動き、外部に現れた現象を細かく捉えることができるようになっている。それはそれで素晴らしい事だし、それによってスポーツ技術が進化していっていることも事実。

しかし内部で起こっていることに関してはなかなか数値化するのが難しく、内部を把握する事は難しい。

そこで、学習ということを考えてみると「内部」が競技者や自分の子ども、「外部」が指導者や親だった場合、外に現れた競技者や子どもの行為を観たまま、「違う、もっとこうだ。」と間違えを指摘したり、逆に「今のはいいぞ」と褒めたところで、内部の競技者やこども自身が感じとれていないとなかなか学習効果としては薄い。

結局のところ、内部である本人の感覚と外部の指導者や親との感覚の一致が重要であって、ここにはバランスが必要だと思う。外部からの指摘も大切だし、内部の感覚も大切だということだと思う。

外部からの指摘ばかりでなく、子どもが何を考え、どうしたいのか、やった結果がどういう感じで、何を感じたのかをしっかりと聞き取ることで、内部と外部のバランスが保てて子どもたちにとっても良い学習が行われるのではないかと思う。

外部と内部のバランスを保つ。これは指導だけでなく、いろいろなところでも言えることのように思う。



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