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第一ボタンが外せない

高1の2学期。

自分は至極真面目な高校に入ったので
昔のようないじめはなかった。


ただ、相変わらずクラスメイトから舐められることは不愉快だった。


舐められてしまうのは
自分が陰キャラで真面目で言い返さないから。

もう少しやんちゃになれたらなと思っていた。


陽キャラの特徴は
・女子とも普通に話す。
・私服がオシャレ
・運動部で活躍してる。
などいくつかあるが、
第一歩としては第一ボタンを外すことだ。

高校は至極まじめだったので、
第一ボタンを外したりシャツがズボンから出ているだけで先生から怒られる。

その中でも第一ボタンを常に外し続けている人が一定数いて、
彼らは決まって陽キャラでクラスや学年で好かれていることが多かった。

自分も彼らみたいに好かれたい。
陽キャラになりたい。

そう思った僕も第一ボタンを外そうと試みるが、勇気が出ない。

入学してから常に全部ボタンを留めていた僕が急にボタンを外したら
「え、急にどうしたん?」
「今さら高校デビューしようとしてんの?w」
「イキる所そこなんやw」
と周りにバカにされることはほぼ必須だった。


大事なのはいかに自然に第一ボタンを外せるか。

「え、元から外してましたけど何か?」感を出せるかだ。

だから外してる所を絶対に誰にも見られてはいけない。


登校時や授業中は確実に先生にバレる。


一番いいと思ったのは放課後前の掃除の時間である。
掃除の間は皆バタバタしているから
注目されることはない。

掃除が先に終わって教室の窓から外を眺めながら友達のFと話していた。

友達はイケメンでよくモテる。
彼は常に彼女がいた。

そんな彼と話している自分は陽キャラなんじゃないかと気分が上がる。

今の自分ならボタンを開けられそうだ。


気持ちが大きくなった僕は、
勢いで第一ボタンを開けた。



1.5秒後、すぐに第一ボタンを締めた。


水が怖くて泳げない小学生が、
一瞬だけ顔を水につけてすぐ上げるのと
同じくらいの速さだったと思う。


やはり第一ボタンを開けて
大衆にさらす勇気がなかった。


ただひたすらに凹む。


普通に話してて急に暗い顔をしたものだから、
Fはきっと疑問に感じたことだろう。
いや、自意識過剰だっただけでむしろ暗い顔をしたことすら気づかれていなかったことと今では思う。

学内で第一ボタンを外すのを諦めた僕が
次に取った行動は、、、、

部活での他校との練習試合後だ。

練習試合後
運動着から制服に着替える。

その頃には基本的に先生達は帰っている。


あとは同じ部活の同期と先輩しかいない。
先輩は優しいので怒られることはないし、
同期は仲良かったので気にすることはない。 

思いきって第一、第二、第五ボタンを開けたままにした。
ごくせんかなんかのヤンキー学園ドラマでエキストラがやってるのを見て影響を受けたんだと思う。

ツッコまれたとき用の口実を
「疲れて締めるのが面倒くさかったから」
と事前に準備していたのがなんともコスい。


こうして
陽キャラのポジションを獲得するための
誰にも相談しない孤独の戦いの3年間が続いていったわけである。



過去の自分に会えたなら、


きっとこう伝えるだろう。






「陽でも陰でもどっちでもいいよ」




つづく


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【当noteの発信内容】

当noteは、

占い師からただのフリーターになった何者でもない32歳の男が、

自分史を通じて

自身の人生のミッション(役割)を見つけだすことで、

自分探しの旅を終わらせるまでの軌跡をつづっていく。

人気占い師から、ただのフリーターになった男の話

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