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「友達になろう」が言えない

大学入学。

近場の神戸にある第一志望の大学に落ちて、
大阪のK大学に通うこととなった。


兵庫県の実家通いだったので、
2時間以上かけて通学する。


遠いのも相まって、
自分の地元から僕と同じK大学に通ったのは数人程度。
学部が同じ人は0だったので
友達を1から作る必要があった。


つまり大学デビューを飾るチャンスなわけである。

別に華やかな大学生活を過ごしたかったわけではない。

普通に友達を作って友達と遊び、
彼女を作って彼女と遊ぶ。
サークルに入って楽しむ。

いじめられることなく、
ただ誰かと一緒に楽しく過ごしたかっただけだ。


マンモス大学と言われるだけあって、
入学式の大きさはとてつもなかった。

一人で参加したのだが、
人が多すぎたおかげで孤独を紛らわすことができた。


入学式後、
学部の入学オリエンテーションに参加する。

自分は心理学専攻。
当時は出来たばかりの学科で、毎年40人だけのコース。

規模としては高校のクラスと同じだったので、コース内でどれだけ早くに友達を作れるか鍵だと、無い頭でもすぐに察した。

オリエンテーションが実施される教室に入るとすでに7.8割が座っていた。

自分は奥の一番後ろの長テーブルの右側に座った。

大体の人は結構前から先に座っていたのだろう。
徐々にグループができ始めているのがひしひしと伝わってきた。

一番前中央のテーブルでは男子4人がお互いの出身や、サッカーの話を始めてる。

自分もサッカーは大好きだ。

でもわざわざ前のテーブルまで移動して
「俺もサッカーすきやねん!!!」
なんて言えるわけがない。

自分の右手側には女子4人グループで女子会が始まる。
女子一人でも話せないのに4人の輪に入れるわけがない。

あとは自分の左手の人。
自分と同じテーブルだから話しかけるのも別に不自然じゃない。
よし、話しかけよう!

と左に振り向いた。

そこにいたのは、、、

黄色のパーカーにダボッとした青ジーンズ。
筋トレできるんじゃないかと思うくらい何重にも付けまくってるチェーン。
足を組み替えるだけでパチ屋で当たりが出るときくらいジャラジャラと音が出る。
髪色はほぼ金で、超サイヤ人。

心理の真面目な空気を明らかに崩している。

なぜ心理学だ?

まっ先に疑問を感じつつ、
ゆっくりと顔を正面に戻す。



座る場所を間違えた。

顔を伏せながら後悔する。

もう少し前に座っておけば
前のテーブルの男子4人組の輪に入れただろうに。

なんてことをしたんだと悔しがる。

顔に出すと変なやつに思われるので
無表情を貫く。

頭の中はごちゃごちゃだった。


後悔の念を抱き続けてるところで、
前から自分に向けて話しかけてきてるような声が聞こえる。

顔をあげると、
真ん前に座っていた男子A君が話しかけてきた。

見た目は坊ちゃん刈りに黒縁メガネをかけている、Theのび太くんのような容姿。

人は彼を陰キャラと呼ぶのだろうが、
僕は彼のような存在の方が話しやすい。
自分が陰キャラであるからだ。

A君「いつ来るんやろうな」

多分オリエンテーションで話してくれる先生の事を言っていたのだろう。

ただいつになったら誰かから話しかけられるのかを考えすぎていた僕は

僕「いやぁ。いつになっても(誰も話しかけて)」来ることないやろなぁ」

と返す。

もちろんA君は戸惑う。

A君「え?」

僕「ん?」

A君「…」

僕「…」

イレギュラーに対応できるコミュ力なんかもちろん持ち合わせてない僕は、ひたすら黙る。

気まずさを察してか、
A君はさっと前を向いた。

その後すぐに先生が来てオリエンテーションが始まる。


約一時間の説明の後に解散。

学生が続々と席を立つ。

すでにグループが出来上がっている人達は、オリエンテーション前より一層会話が盛り上がって、楽しそうに教室を出ていく。


賑わいが教室から過ぎ去った後、
一人教室を出ていく。

大学を出てから2時半かけて実家に帰る。

帰りの電車にて。

早めに教室に入らなかったこと、
盛り上がって所の輪に飛び込まなかったこと、
A君と落ち着いて話さなかったこと。

ぐるぐると脳内で後悔にまみれた。


この日を境に、1年近く友達ほぼ0の生活が始まる。


今思えばただ大学で友達ができないだけの
とてつもなくちっぽけな悩みだが、

当時の自分にとって
絶対に避けたかった「孤独」。

誰にも打ち明けられる人がいなかっただけに、
精神的には人生で一番辛かった時期だと思う。

次回以降、
友達ができるまで。
そしてできた後の人生の変化を綴っていこうと思う。


つづく


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【当noteの発信内容】

当noteは、

占い師からただのフリーターになった何者でもない32歳の男が、

自分史を通じて

自身の人生のミッション(役割)を見つけだすことで、

自分探しの旅を終わらせるまでの軌跡をつづっていく。

人気占い師から、ただのフリーターになった男の話

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