通勤快速の透明な朝。 明るい陽の光を感じるには、 私の心は死にすぎていた。 実行されない約束、 笑って通り過ぎる窓の外。 どれだけ走っても、 どこまでも遠い世界の輪郭。 確実なハッピーエンドのお話など、 つまらないと思うだけだった。 手にとってわかるような、 ひんやりした恋の衝撃で、 くだらない夢から 目覚めさせて。
いいたい言葉などないけど 胸の中で赤く輝く光 魔法のカードを握りしめ 真夜中まで冴えるブルーライト 電車に乗っては降りて 飲んでは走って転んだ 街のざわめきに溺れていく 今をあなたと私は生きるだけ みたことないカクテルの色 透明な空気に震える指先 明日を待つだけの夜なんて とてもつまらない 想像よりも甘くなかった フォークの先に流れた水分は 青と呼ぶにはあまりに複雑で 果てしない感情のねじれが あなたの目を見てしまってから とまらない とまれない
花屋のガラスケースに、夕方の空が反射している。中に置かれた巨大な胡蝶蘭の白。の、上に重なる、紫がかったオレンジ。それらが混ざり合う境界の微妙な色合いを見つめていたら、何の前触れもなく漠然とした不安が押し寄せて来た。視線を少し下に落とすと、まるで泣き出す3秒前のような悲痛な眼差しの女の顔が映っていた。ふと我に帰り、姿勢を正す。そうすると、店の奥で、わずかに戸惑いの混じった微笑みを浮かべている店員と目があった。途端に恥ずかしくなる。仕事帰りらしきよれよれの会社員が、自分の店のガラ
私は、今年の3月27日に24歳になった。 後一年経ったら、生まれてから四半世紀、四捨五入すると30になる。まじか。 23:25 会社から帰ってきた後、玄関の電気をつけ、靴を脱ぎ、すぐ横にある洗面台の前に立つ。無駄に明るい照明が、鏡に着きまくったほこりを浮き上がらせている。その中に映る顔。絶望的に目に光がない。その上の前髪はここ一週間毎日切ろう切ろうと思いつつ伸びっぱなしで、目に入って煩わしい。マスクを取ると、鼻筋を横切るようにあとがついており、ただでさえコンプレックスである
隅々までひびき渡る 朝から夜 ここは大きな通りだから 仕方ないのだと思うことにしたが 脳にこびりつく 危険な音 コンクリートの夢は美しいのか? 私は動けないまま そうでもしないとやってられない、 よね! と あなたは言葉を発した。 わたしは 夜更かしで損傷した脳で同意 歩くしか方法はないんだ いつもの道を ロウで固められたような 淡い朝日の色 平和な日常をまもれ 平和な日常をまもれ あまり人を嫌いになりたくない 自分も嫌になるから サイレンの音に包まれた。 私の腕 蛍
アパートのドアを蹴り飛ばすように開けて私は外へ走り出した。コーポ上沢野A-2棟103号室。築47年6畳和室ユニットバス。もういい加減にガタがきているドアに強い衝撃を加えたため、小指ほどの大きさの何かの金具が砕け散り、ひび割れた玄関のコンクリートに落ちた。構わず走る。 駅前にある微妙な色の塗装の「証明写真」の機械に入り、写真を撮る。なかなかイスをうまく調節できない。最近暖かくなってきたが、冬服を片付けられず分厚いコートを着てきてしまった。それで走ったため、汗をかき不快感がすご
みなさん元気ですか?私はいつも、好調と不調の間を絶妙なあんばいでさまよっています。今日もせっかくの日曜日で、気分もよかったけど結局何もできてないし… でもとりあえず、みんなが元気なら嬉しい。 みんなって誰? 今回は、タイトル通り私の好きな音楽の話をします。 好きな音楽が多すぎて、絶対に今回だけでは語り切れないですが、とりあえず思いつくものをまずは5つほど、曲単位で記していこうと思います。 (※こういう好きなものを自分の頭から外に出すときって、たいてい後からいいのを思いつき
はじめまして。 貴方は◯人目の訪問者です 紙袋から溢れ出したみかんを片手に拾い空を見上げた時、仕方なく僕は泣きました。 なぜなら昨日の夜作ったスープも汚いビルの屋上で作られた家庭菜園のラディッシュも、「しがないビジネスマン」の昼食プレートにのることはないからです。滑り出したフォークは短めの靴下を突き破り彼の足の甲に刺さる。震えるバーバリーのロゴ。かなしい笑い方のシベリアンハスキー。焼き芋トラックの悲痛な叫び声は見えない彼の手によってなかったことになる(ただし経常利益は書き