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古草紙昭和百怪12 令和3年水無月「吸血鬼のいる修道院」(能島武文 「笑の泉」昭和32年)/ 文月「太平洋に人魚はいるか」(須藤拳人 「実話雑誌」昭和32年)

「吸血鬼のいる修道院」(能島武文 「笑の泉」昭和32年)

 前回言及「世界艶笑怪奇読本 No.6」の目次を確認すると、他に野尻抱影「女装脱獄」や都筑道夫「マルコポーロの預言」も掲載と判明しました。家蔵の生天目星涯の切抜にも、往時には稀少な吸血鬼の話柄が続くので、序に紹介。以前、帝劇の音楽劇に絡め、切抜の綴を通覧しても、家蔵の内には二つしか見付からなかった験があり、その折に触れた通り、大宅文庫目録も「妖怪」の項に僅か五例を並べるに留まり、しかも過半は書評といふ有様。少くとも昭和の御代に限り、本邦の操觚界がこの主題に食指を動かさなかったのは確かと申せませう。

以下、約2500字 四百字詰7枚 図版2点

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