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真夏の相棒はクマ色

我が絶望の先輩、太宰先生はこういいました。
「生きてゆくから、叱らないで下さい。」

ほんとうは叱られたくないし、叱りたくもないのですが、先の感染症によって生活が一変してしまったおかげで、Twitterでは叱りたい人たちがニワトリの前に放り出されたミミズのようにうねっておいでです。
さて、先生なら、この現代にどんな絶望の言葉を残されたでしょうね。

……とだいぶ気が狂いそうな毎日をおくっているため少しでも心の平穏を保とうと推しのことでも書きたいと思います。


突然ですが、喫茶店でお決まりのメニューといえばなにを思い浮かべますか?

連日の夏日でマスクも蒸れるし、まずは絶対王者のアイスコーヒーでしょうか。まぁ、そうですよね、重ね重ね同意です。
大人ならまずコーヒー。席を見渡して着席するまえに「コーヒー!」って一度はやっちゃうでしょ、秒で恥ずかしさがこみ上げるけど。 
「とりあえずビール!」と同じ勢い存在感、これは認めざるをえません。はい認めました。

最近では忙しない世の中において点滴みたいに時間をかけて一滴一滴ゆっくり抽出する貴族のお遊び的のみもの=コールドブリューも大人気。
なんならビニールプール1つ分用意して、夏の夜に浸かりながらキーボードをカタカタしたい。

あとはなんてたって映えを狙ったプリンやぱっふぇ、クリームソーダもすてがたい。
“マスター特製”とか枕詞がついてるチーズケーキって、なんであんなにメニューの中でぼやっと光るんだろう。
全然食べる気がなくてもガラスケースが目に入るとスっと横目で眺めてしまう。

他にもお食事系だとシャキッとした玉ねぎとウィンナーに甘酸っぱいケチャップの香りが食欲をそそるナポリタンとかマダムお手製サンドイッチとか。

あぁーーー、絶対おいしいに決まってる。
付け合わせはポテトサラダでお願いします。


だけど、喫茶店メニュー人気ランキングがあるなら、Myラヴァーは決まってランク外。もうしょんぼりですよ、奥さま。

めぐりあうチャンスは転がっているのに、人はその存在にすら気づかない。
否、気づいたとしてもコーヒーを飲むから…という理由で大抵スタート台にすら上がらせてもらえない。
あってもメニューの隅のほう…。
写真付でピックアップされてることなんて極めて稀で、想像を膨らませるしかないのがせつなかなしい。

苦くて冷たくて、でも口のなかに入れるとほんのり甘く、淹れたてのコーヒーと同じくらいの軽やかな味わいが広がって香りが鼻をぬける……。

そうわたしの推しはコーヒーゼリーのキミ。

きちんとドリップしたコーヒーはゼリーにしたっておいしいに決まってるのだけど、できればブリっブリの噛める固さがいい。
甘みを調整できるようにシロップは別の容器でサーブしてもらって。

トッピングはクリームもアイスもコーヒーの風味を邪魔しなければ前向きに受け入れようじゃありませんか。
アイスが乗った部分のゼリーがほんのすこし凍ってシャリっという食感に当たったときの興奮は、ぜひ分かちあいたいチャームポイント!

グラスの形状によってビジュアルを変え「サクランボはクリームソーダだけの特権じゃないの」と訴えるビジュアルもなんて健気なのでしょう。
きらびやかさとは無縁のクマ色のなせる技

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使用される器によって表情が違いますね、ふ、ふつくしい……。(左から)
名曲・珈琲 らんぶる珈琲店トップ東急本店但馬屋珈琲店 小田急店



そして、あるシーズンを過ぎると、夏休みあけの転校生みたいにメニューから消える。
幻、まぼろしを見ていたのですか、わたしは…。
たとえ存在が残っていたとしても、冷蔵庫の中で長い間出番を待たされたキミは、冷蔵庫のなかのありとあらゆる食品の臭いを吸収していたりする。
食べると臭い。

だけど…その瞬間、わたしはキミを救い出したヒーローの気分を味わえるのだ。


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続編でもコーヒーゼリー愛をほとばしらせているのでぜひご覧ください。


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もれなくやっさんのあんぱん代となるでしょう。あとだいすきなオロナミンCも買ってあげたいと思います。