大丸別荘のDX革命、歴史を紡ぐ新たな挑戦
こんにちは!広報の古橋です。
きょうは、2月9日(金)に大丸別荘の外木場大倫(そとこば ひろみち)さんをお招きして開催したセミナー「ボトムアップ式のDX ~DXを組織全体に浸透させるための心得~」についてのレポートをシェアさせてください。
福岡県筑紫野市の「二日市温泉 大丸別荘」は昭和天皇も宿泊したことがある慶応元年創業の老舗温泉旅館です。地域に愛され、全国的にも人気の温泉地でしたが、2023年3月、大浴場の湯を年2回しか取り替えず、県に虚偽の説明をしていたとして刑事事件に発展、全国的にも大きなニュースとして世間を騒がせました。前社長が引責辞任し、このタイミングで新社長として就任されたのが、このたびご登壇頂いた外木場さんです。不祥事からの再出発を期す老舗旅館の想いと、それをカタチにしたDXについて語っていただきました。
DX化、その挑戦の背景
最古の温泉地としての誇り
「大分の方にとっては、あまり馴染みのない旅館かもしれません。そんな私たち大丸別荘は、九州最古の温泉地、二日市温泉にあります」と、社長は始めに述べます。1865年に創業して以来、細部にわたる伝統を守りながら、常に進化を続けています。現在41部屋を備えるこの旅館は、和風の美学に根ざした懐石料理と温泉が自慢です。
伝統と革新の狭間で
しかし、時代の変化と共に、大丸別荘も新たな課題に直面します。「私たちの業務は、多くの方々に支えられてきましたが、時には温泉の管理がずさんになってしまい、お客様にご迷惑をおかけすることもありました。そのときに、信頼回復と業務改善のため、DXに取り組むことを決意しました」と、外木場さんは語りました。
情報共有を再考する
「昔は連絡手段が限られていました。情報共有が一元化されておらず、仕事の引き継ぎもスムーズに行えていなかったのです」と、外木場さんは明かしました。驚いたのは、外木場さんが入社して間もないときは、ポケベルを使ってスタッフさん同士が情報共有をしていたということです。これではコミュニケーションが一方通行になってしまい、十分な情報共有は難しそうです。
時代の変遷に合わせて見直されてこなかった部分を思い切って改め、現代の技術を取り入れ課題を解決しようと一歩踏み出したことがDXの先駆けだったといえます。
DXの真ん中には「人」がいる
「DXを推進することで最も大切にしているのは、人です。技術を駆使して効率を上げ、より良いサービスを提供することで、結果として私たち全員が成長できるのです」と外木場さんは力強く言いました。DXは単なるテクノロジーの導入ではなく、人の成長、組織の進化に貢献するのだなと改めて感じさせられました。
DX、未来につづく道
大丸別荘がDXに取り組む理由は明確でした。それは、老舗としての責任と、未来への扉を開くための試みです。自分たちの業務を見直し、新たな可能性を探求し、そして、何よりも「人」を大切にすること。これが大丸別荘のDX革命の本質だと言えそうです。
大丸別荘のDX推進、ハードルとその克服法
大丸別荘がDXに取り組む過程で直面した困難と、そのDX推進に対する考えについても外木場さんに聞いてみました。
DXはあくまでも手段
大丸別荘が挑むDX化は、従来のビジネスモデルから脱却し、技術を活用して運営を最適化しようとする挑戦です。これは、単に新しいシステムを導入すること以上の意義を持っているといえます。「DXとは、あくまでも一つの手段です」と外木場さんはいいます。最終的なゴールはシステムの導入そのものではなく、より良い運営方法を見つけ出し、結果として便利さを追求することにあると強調して教えてくれました。
“現場の声”を活かすことで、技術導入の壁を乗り越える
業務の見直しと取捨選択がDX推進の核心であり、全ては大丸別荘という船をどう動かしていくかにフォーカスされますが、大丸別荘のDX化のアプローチは、直面するハードルの解像度が高く、またそれ故に解決策がユニークだと感じました。例えば技術導入の難しさとは、「大きな目で見たときと、細部を見たときの差が激しすぎること」だといいます。つまり、全体像が見えていても、細かい部分に落とし込む過程で予期せぬ問題が生じる可能性があるということです。この困難を越えていくためには、現場の声を大切にし、実際に働く人々の意見とアイデアを取り入れることが不可欠だと教えてくれました。
DX化の挑戦において外木場さんが特に重視するのは、やはり、「人」です。DXを推進する上で外木場さんが大切にしているのは、「当たり前にDXは必要だが、それは企業にとっても、そして一個人としても。」という考え方です。DXの取り組みが、従業員にとって自己成長の機会を提供し、会社全体としても成熟することを目指しています。
社員一人ひとりの主体性を引き上げることが何よりも大切
そうはいっても「DX」という言葉すら出てこない環境からのスタートは、やはりとても大変だったといいます。紙ベースで運営されていた会社が、文化として根付いた古い方法から脱却し、新しい技術を受け入れることは相当ハードなこと。そこで外木場さんが徹底されたのは、トップダウンではなく、現場からの意見を大切にしながら、実態に合わせた変革を目指す、ということでした。
「DXを成功させるためには、ただの技術導入ではなく、社員一人ひとりの主体性を引き上げ、相互理解と共感を深める文化を築くことがなによりも重要。」外木場さんは力強くいいます。これこそ、大丸別荘の新しい時代に向けた舵取りの方法だといえそうです。
これからの挑戦
大丸別荘は、DXを活用してビジネスモデルとブランディング戦略の刷新を試みているそうです。なぜ、DXを採用することにしたのか。そしてそれが大丸別荘にどのような成長をもたらすのか、その考え方にも迫りたいと思います。
DXは会社の在り方や、ビジネスモデルの転換をも促す
大丸別荘ではPMS(プロパティマネジメントシステム)をはじめとする予約システムの更新、ダイナミックプライシングの導入など、顧客接点でのDX化を進めています。これにより、販売促進につなげるだけでなく、データを活用した効率的な運営を目指しています。
さらに、ブランディング面では、地域コミュニティとの連携を深め、信頼回復と地元密着型の施策を展開しています。不祥事を乗り越え、地域の方々からの支持を得るため、透明性を持って情報を公開し、衛生管理の徹底を誓い、過去の失敗を胸を張って克服しようとしています。
また、大丸別荘としての特色を生かし、「普段使いの高級」を目指したサービス提供に力を入れます。客が何度も訪れる理由を提供することで、リピーターの獲得にも力を注いでいるとのことです。
このように、大丸別荘はDXにより、顧客体験の向上、効率化、そして地域とのより深い結びつきを目指すことで、事業の根本的な強化を図っています。DXは単に技術の導入にとどまらず、会社全体の考え方、ビジネスモデルの転換を促しているといえます。
さいごに:外木場さんメッセージ
最初に、私たちがDX化に着手した理由は単純です。業務の効率化とスリム化を実現するためでした。しかし、その結果として現れたのは、単なる効率性ばかりではなく、現場で働くスタッフの笑顔の増加でした。仕事に対するやりがいや、全員が会社の主人公であるかのような感覚、これが直接お客様に伝わるところがあり、おもてなしの質の向上にも繋がりました。
さらに採用募集の際には、私たちの開示した情報公開に共感してくださった方々が応募してくれ、なんとその中には、常連のお客様もいらっしゃいました。これはまさに、大丸別荘で起きている変化、そして新たな企業文化を、外からも認めていただけている証拠だと感じました。
そして、結果の面では、稼働率が一気に90%超えという、旅館業界においてありえない数字を達成することができました。これは、現場のスタッフ一人ひとりが持つ笑顔と、おもてなしの心がお客様に届いた結果だと自負しています。
ここで皆様にお伝えしたいのは、DXとはただの道具ではないということです。DXを起点とした大丸別荘の変化は、全員が主人公となりうる新しい企業文化の形成、そしてスタッフとお客様双方に幸せを提供することへと繋がっているのです。
DX化をご検討中の皆様の会社も、DXを通じて、新たな文化や価値を生み出す機会があるかもしれません。それぞれの企業でカスタムして、ぜひ変革のチャンスを掴んでください。そして、大丸別荘が歩んできた道のりが、皆様のDXに対する考え方や勇気づけに少しでも寄与できれば幸いです。
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今回のセミナーは当社が大分県より受託している「湧く沸くDXおおいた」の取組みの中で開催したものです。「湧く沸くDXおおいた」については是非こちらのnoteも読んでみてください!
最後に、、
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