見出し画像

学歴は「コスパ」が良いか? 大学卒業後に稼げる人、稼げない人の差が明らかに

2021年4月に慶應通信過程に進学予定のアラフォーです。私の場合はコスパとかその後のキャリアのために大学に行くわけではないのですが、やはりそういった視点の方が多いようなので、大卒のコスパについて調査してみることにしました。調査にあたってはこちらの論文をベースにしています(というか論文の要約だと思ってください)。

大学全入時代でも大卒の生涯賃金は「7,500万円高い」という事実

大学の数が減らないのに少子高齢化で学生が減っているため、どの大学かを問わなければ誰でも大学に進学できる「大学全入時代」はすでに到来しています。結果、学歴の価値低下、学生の質の低下を指摘する声が高まっていますが、それでもなお大卒者の生涯賃金は高卒者と比較すると7,500万円高いのです。

この7,500万円がどの程度のインパクトか整理してみましょう。

大卒者の生涯賃金は3.2億円、高卒は2.45億円です。高卒とは1.3倍以上の開きがあることがわかります。毎月の給料が1.3倍されるとなったらどうでしょう? なるほど確かに大卒はコスパが良いと言えそうです。

給料に差が出てくるのは50前後、差額は年250万円に

高卒で早くから実力を発揮して大卒と遜色ない賃金を稼いでいる人も多いでしょう。しかし、学歴による賃金に差が出てくるのは、実は40代以降です。逆に20代はあまり差がありません。

20代の頃は大卒も高卒も平均賃金が20〜30万円/月程度で、年で見ても大した開きはありません。ところが、50歳の賃金を比較すると、年に250万円前後の差が出てきます。

ちなみに大学に行く4年間働かないこと、学費がかかること、なども差し引いても7,000万円以上の差が出ます。この「大学行く間の学費や働かない期間損失」を差し引いてのコスパを「内部収益率」といいます。

40年前と比較して大卒のコスパは上がっている

この「内部収益率」は、1975年に7.5%でした。数値が大きい方が「コスパが良い」と捉えてください。それが1980年には6.7%になり、やや学歴のコスパが悪化します。1990年代に入り上昇し、2009年には7.6%と過去最大を記録します。

つまり、平均的な大卒コスパは低下どころか、21世紀に入って過去最高に上がっているのです。

理系最強説は継続、一方で「高学歴」でも賃金低いケースも

大卒のコスパが上がっていることが分かりましたが、大卒間での格差はどうでしょうか。実は偏差値の差は格差の差に大きく影響していないことがわかっています。いわゆる「Fラン」と呼ばれる大学の卒業生であっても、大きく稼いでいる人がおり(とはいえFランのほうがやはりコスパは全体的には下がりますが)、「Fランだから行っても意味はない」とは言えないようです。同様に、高学歴であっても稼げない人が存在することもわかっています。

また、理系工学部はとても強いことも研究でわかっています。今後、情報系、生物系のビジネスは社会においてさらに重要度を増すでしょうから、この傾向は今後も続く、または強化されていくと考えられます。

大卒で稼げるのは「勉強した人」そして「勉強し続けている人」

大卒でさえあれば、Fランでも稼げる人はいるし、高学歴でも稼げない人は存在する。これは感覚的にも理解できることですが、ではその差は何によって生まれるのでしょうか。

要因を詳細に調査した結果、「大学で一生懸命勉強したか」および「その学習習慣を維持しているか」によって左右されることが分かりました。真面目に勉強する人にとってはなんと喜ばしい結果でしょうか。大学在学中にもろくに勉強せず、卒業後もコミュ力だけで社会を渡っていこうとする輩を横目に、机にかじりついて学び続けた人が報われる社会だったわけです。これは感覚や直感と一見反するような、非常に興味深い発見です。

また、「大学に行くこと」よりむしろ「学ぶこと・学び続けること」が生涯賃金の差を産んでいるようにも捉えられます。よく生涯学習、リカレント教育、と叫ばれますが、能動的な学びこそ、機会を生み出し、挑戦を後押ししてくれる、最高の資産ですね。ありがたや。

※学歴に対する社会的な捉え方は刻一刻と変化しているため、比較的新しい2018年以降の論文をピックアップしています

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?