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「最先端のテクノロジーの話で、自身の悩みがちっぽけに」〜bookwill「小さな読書会」第8回レポート ゲストキュレーター:瀧口友里奈さん(経済キャスター)~

 新旧のカルチャーが交差する街・蔵前を拠点に生まれたブックアトリエ「bookwill」では、多様な世代の女性たちが安心して参加できる招待制の対話型読書会を企画しています。
 
 2024年2月15日(木)の夜に開催された第8回読書会は、経済キャスターで世界経済フォーラム(WEF)の2024年度「ヤング・グローバル・リーダーズ(YGL)」にも選出された瀧口友里奈さんをゲストキュレーターに招き、瀧口さんが編著者として出版した『東大教授が語り合う10の未来予測』(大和書房)をテキストとして、最先端の知の巨人たちが対話を重ねた同書が生まれた背景や、瀧口さんの今後の展望についてじっくりと話をお伺いしました。

◆bookwill 小さな読書会◆
 
 10代の中高生、キャリアを重ねたマネジャーやリーダー、研究者など、多様で他世代の女性たちが集まる読書会。7〜10人で一つのテーブルを囲み、肩書きや立場を置いてフラットに対話を楽しむ形式です。参加者は事前にゲストキュレーター指定の「テキスト」を読んだ上で参加し、感想をシェア。本をきっかけに対話を重ねていきます。

https://note.com/bookwill_kuramae/n/ndb09fd8c553d

 <第8回「bookwill 小さな読書会」開催概要>
2024年2月15日(木)
ゲストキュレーター:瀧口友里奈さん(経済キャスター)
テキスト:『東大教授が語り合う10の未来予測』(瀧口友里奈編著、大和書房)

 今回の読書会のテキストである『東大教授が語り合う10の未来予測』は、東京大学の公式YouTubeチャンネル「東大TV」内の番組『東大×知の巨人たちの雑談』から生まれた書籍です。
 編著者である瀧口さんは、自ら東大の公共政策大学院の修士課程に在籍しながら、情報の力で社会のイノベーションを加速することを目標に自身が起業した株式会社グローブエイトで同番組を企画プロデュースし、司会も務めました。

 番組は主に5分〜10分ほどで構成されており、「能力を人間にダウンロードする時代になる」「1000歳まで生きる人間を作る事ができる」「10年後スマホの充電は不要になる?」といった“未来×テクノロジー”にまつわる最先端のトピックが40本弱公開されています。2年前に始まって以来、「東大の教授陣が、縦横無尽に語り合っている姿が面白い!」と評判を呼び、動画を観た出版社から書籍化の話が持ち上がったとのこと。

 書籍化にあたり、「テクノロジーの進化が大きく加速する中、保存性がすごく高いコンテンツではないのではないか、と出版を躊躇したこともあった」と振り返る瀧口さん。ただ、「先生たちのアイデアや慧眼の一つ一つを伝えたい」「動画ではなく文章という形でコンテンツに触れたい人もいる」と思い直し、書籍化を決意したそうです。

 「先生方の雑談がすごく面白かったので、その内容はもちろん、お人柄も伝えたかった。ただ書籍のタイトルに『雑談』と入れるのは、実利を求めて購入してくださる方々のいるビジネス書の分野としては書籍のタイトルには相応しくない気がしたので、未来予測に関するテーマを抜粋。『10の未来予測』とし、網羅性を強調するためにタイトルに数字を入れることにもこだわりました」

 読書会には、YouTube番組を視聴している方も参加されており、あの一つ一つのコンテンツが、「AI、エネルギー、国家、教育、生命、宇宙、ビジネス、IT、環境、仮想空間」という10のカテゴリーに再編成されたことに感嘆の声が多数!瀧口さんご自身も、書籍化におけるこだわりを読者の皆さんと共有できたことに喜ばれていたのが印象的でした。

 ちなみに、読書会に参加したのは、ITベンチャーに勤める20代女性、化粧品会社やメディア企業の経営者、独立行政法人やNPO法人に勤める方など、多彩な面々でしたが、本書に対する感想は皆さん共通で、「未来にワクワクした」という声でした。

 興味深かったのは、自身のキャリアに迷っている20代女性が「宇宙から地球に資源を持って帰るようになるかもしれないなど、最先端の宇宙開発の話を読んでいたら、そこを目標に、その視野で考えている人がいると思うと、自分の悩みが解決してなくても、すごい気持ちが楽になりました」と語ったこと。

 この感想をきっかけに、読者会の参加者はさらにヒートアップ!「キャリアと不安」をテーマに、自身のキャリアを振り返る人も。結果、見えてきたのは、キャリアを築いてきた方々は「見えない未来ほどワクワクする」と考える一方で、これからキャリアを築いていく方々は「未来が見えないから不安」と考える傾向があるのかも!? ということ。多様な世代が集まると、新たな気づきが生まれますね。 

 瀧口さんも、世代を超えて読まれる本になって欲しいと自身の思いを語ります。「私は女子高の文系出身ですが、今東大の工学部のアドバイザーをやらせていただいています。そうした中で、どうすればサイエンス分野に若い人がカジュアルに触れられるのかとずっと考えてきました。だから本書も若い人、できれば中高生の人にも読んでもらって、サイエンスに興味を持つ入り口にしてくれたらいいなと思っています」 

 そして、今後『東大×知の巨人たちの雑談』に「もっと多くの女性の先生方や外国人の先生方にもオファーしたい」と意気込みを見せる瀧口さん。「最新の情報をお届けするために第2弾、第3弾って出していくことに価値があると思っています。YouTube番組も含めて、『知のエンタメ』としてプラットフォームの一つになれたら嬉しい」と今後の展望を話してくれました。

次回のレポートもどうぞお楽しみに。  

まとめ/児玉真悠子