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今週のおすすめ本 vol.14

店舗とオンラインストアで取り扱っている本から、おすすめのタイトルを紹介するマガジン「今週のおすすめ本」。

今回取り上げるのは、藤岡みなみさんのZINE『時間旅行者の日記』です。

1月1日から12月31日までの1年間、閏年の2月29日も含めた366日分の日記が綴られているのですが、ただの日記本ではなく、『時間旅行者の日記』というタイトルにまつわる、ある面白いアイデアが仕掛けられています。


36年間のタイムトラベル日記

本扉(タイトルや著者名が記された最初のページ)をめくると、すぐに日記が始まります。もちろん最初は1月1日なのですが、「1月1日(2016年/27歳)」という記載が。元日に親戚の家に集まって、お餅やお雑煮を食べたエピソードが綴られています。
翌日の日記は、「1月2日(2023年/34歳)」。内容は、子どもと公園へ凧揚げに行ったり、オンライン英会話を受講したことなど。1月1日から1月2日、日付は連続しているのですが、「2016年から2023年」という7年間の時間軸を、一気に移動していることになります。
366日分の日記を通して、著者の人生36年間の時間軸を自在に行き来する。まさに『時間旅行者の日記』というタイトル通りのタイムトラベル日記本になっています。


日記本のようで、自伝のようでもある


7歳の日記の翌日には33歳の日記。次は34歳で、また7歳に戻ったりと、時間軸はランダムにシャッフルされ続けます。宿題をしていた小学生が、次の日には子育てをしていたりと、子どもになったり大人になったりする藤岡さんの姿を想像しながら読むと、なんだかほっこりしていまいます。
日記の内容もさまざま。その日に起きたことを綴ったものもあれば、食べたもののカロリーの記録だったり、交換日記だったり。3歳の日記には、幼稚園の先生と思わしき人物とお母さんとのやりとりが記されています。
内容が創作ではなく、藤岡みなみさんという著者さん自身(や周りの人たち)の日記だというところも、この本を面白くしているポイントだと思います。藤岡さんのこれまで歩んできた人生の断片がつまった自伝のように読むこともできる、不思議な魅力を持った1冊です。


タイムトラベルZINE、他にもあります


藤岡みなみさんは「タイムトラベル専門書店utouto」という屋号で、本屋活動もされています。書店内を間借りしたり、期間限定で実店舗を開いたりもされているようです。
タイムトラベルをテーマにした作品は、今回取り上げた『時間旅行者の日記』だけではありません。「現実世界のタイムトラベル」を題材にしたオムニバスのZINE『超個人的時間旅行』と『超個人的時間紀行』も刊行されていますので、こちらも合わせておすすめです。


今回はここまで。

取り上げた本は、店頭、オンラインストアで販売しています。在庫数は限られているため、売り切れの際はご容赦ください。
本の取り置きや、在庫がない本の取り寄せも承りますので、お気軽にお申し付けください。それではまた次回。


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