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納豆が食べたくなる…だけじゃない!「謎のアジア納豆」

9月に入って古本屋にお客さんが戻ってきた気がします。猛暑日が続く8月は、小松左京のSF小説よろしく西武柳沢から読書家は消失したのではないかと疑ってしまうほどの静けさでした。このまま安定した売上を保ちたいものです。難しいでしょうけど。

そこで・・・という訳ではありませんが、昨日から興味深い本を読んでいます。その本は「謎のアジア納豆」という本で、冒険大好きノンフィクション作家の高野秀行さんが書かれた本。納豆を好んで食べる店主のアンテナが反応してしまいました。

ただ、この本は読みやすいのですが、なかなか厚い。まだ前半…(というか3分の1)しか読んでいませんが、我慢できずに一つレビューを書いてみたいと思います。

この表題と表紙を見て頂ければわかる通り、アジアには納豆があった。そして著者が日本と違うアジア納豆を求めて現地を旅して突撃取材を試みるというわかりやすい内容です。

スタート地点はタイ北部の都市チェンマイ。そこに住むシャン族の旧友を著者が訪ね、現地の納豆事情を聴きとりするところから旅はスタート。すると、次から次へとわらしべ長者のように話がつながり、驚きと一緒に納豆の知識と文化を学べるという内容になっています。だからこんなに本が厚くなってしまったのか・・・

しかし、店主がこういった突撃取材のノンフィクション本を読んで面白さを感じるところはメインテーマではありません。主題となる納豆の話以上に、外国の歴史や文化を学べるところです。

実際、店主は本で読んだ納豆の記述はほぼほぼキレイさっぱり忘れてしまいました。納豆は煎餅状になっているものが多いとか、焼いたり油で揚げて野菜炒めなどに入れて食べるとか、保存が長い時は竹の筒に入れるとか、藁のかわりに葉っぱをつかうとか、プラスチックの袋に入れて発酵させるとか・・・あれ!?意外と覚えていることが多くてビックリ。自分が興味ないことは何も覚えられない困った脳みそなのに覚えていたということは、やはり納豆に興味があるということでしょう。

そうそう、脳みそといえば、やはり納豆と味噌は親戚関係にあるらしく、国境の町でもち米に液状の赤い納豆を塗って焼いて食べるというシーンがありました。そして、そのお味は味噌に近かったそうです。やはり発酵食品として味噌と納豆は外国でも近い関係なんですね(当然か)。

で、話は戻り、この本を読んでタイ北部のチェンマイという都市は元々ラーンナー王朝という独立国で、タイ南部とは違った古き良きタイ文化を色濃く残しているという紹介がされていました。そしてそのタイ文化の中には納豆が含まれるという驚くべき事実。そう聞くと一度行ってみたくなりますよね。

そして著者が一番最初に頼った友人がシャン族だったのですが、このシャン族という民族?にも面白さを感じました。タイ北部に住むシャン属は小タイ族と呼ばれ、隣国ビルマに住むシャン属は大タイ族と呼ばれる。でも、全体的にはシャン族というくくりがある。こういった感覚はほぼ単一民族で国家をなす日本人には馴染みがないテーマ。ついつい気になってしまいます。

そして著者の旅はタイのチェンマイから隣国ミャンマー(ビルマ)のチャイントンに移動します。その過程でミャンマーが軍事政権とゲリラと麻薬組織の三つ巴となっているという事実を知ることとなりました。こういった生々しい背景にも注意が向きます。人間が争うという事実。その絡まった歴史についても知りたいところ。

そしてチェンマイでも人種の面白さを感じました。チェンマイは人種のるつぼと紹介されていましたが、隣国中国の雲南系漢族、何故かインド系、そして隣国タイ系民族や、地元ミャンマーの山岳系民族。言葉もいくつも使われているそうです。カオスな世界だと思いつつも、変人の店主もこういった人種のるつぼの町で生活していたら、きっと変人だと気付かれないかもしれませんね・・・

というわけで駆け足て本の紹介をしました。この納豆の本に限らずですが、読書をすれば色々な事を学べますし、興味が出ます。店主も若い時にタイに旅行したことがありますが、また行ってみたいという気になりました。きっと多くの人がこういった本を読めば、実際に行動に移せるチャンスは広がります。若者じゃなくてもです。そういった意味でも、納豆に興味が無い人にもこの本広くを読んでもらいたいと思いました。

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