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逆噴射小説大賞2020 自作品関連まとめ

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#小説

白狼の子たる修道女

 農夫の胸の裂傷はひざまずく修道女の祈りによって光につつまれ、致命のものではなくなりつつ…

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そして北に十三歩

 土埃が霧のように舞うほどの土砂降りに、荒野の枯れ木など庇にならない。  だからその枝に…

42

朝露と土がねむるまで

 近辺の魔術師が《至宝の森》とよぶ地の大樹から、少女の形をしたものが零れ落ちた。浅い泉が…

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殺すと言うなら殺してみせよう

 女がカウンターに短剣を置くと、琥珀色のショットグラスが氷を鳴らした。 「これはね、魔剣…

14

暁滅のナイトフォール

「眩しすぎるな」  輝くビル群に囲まれたハイウェイ上。魔導バイクに跨った青年が、夜風に外…

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その苦しみは生きるかぎり続くのか?

 崩れ落ちた小さな孤児院を月光だけが照らしている。  癖毛の修道士リーンハルトは、その命…

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白黒はっきりつけたい倶楽部

 灰空市の空を見て、「ああ今日も灰色だ」と思う者はいないだろう。当たり前だからだ。  そんな街のコンテナ置き場で、フェンス越しの運河を背にした少女が二人、数十人の不良男子高生に囲まれている。 「女二人で俺たちのシマに乗り込むたぁ、覚悟はできてんだろうな?」ひときわ体格の大きい番長格が、勝ち誇ったように笑みを浮かべた。「ひん剥いて、ソシャゲの夏ピックアップみたいな格好させてやるぜ!」 「ヒューッ!」「アニキってば、過激ィー!」  囲まれた少女たちはそれぞれの目線を交わす

灯台と茨の国

 ボクが子供の頃、草と木と岩以外なんにもない小島で、父は言っていた。 「セシルよ。実はな…

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紅色に錆びた爪

 古城の寝室。窓際に生けた花。深紅の蝶が蜜を吸う。 「ローラ。もうやめよう」 「厭よ。こ…

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