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子沢山貧乏中卒主婦が起業した話。古本屋経営&子育て奮闘記#2 店舗移転

経営不振の為、移転・・・

勢いで始めた古本屋ではあったが、家賃を支払って経営を続ける事ができていた。

子育てしながらで忙しくなったが、試行錯誤しながらの経営はやりがいがあり、充実した日々を過ごしていた。


お店をオープンしてから1年ほど経った頃に、元パート先の社長が経営する2階のレンタルビデオ店を経営不振で閉店する事になってしまった。

社長の名義で借りていた物件で、自分のお店は1階を間借りして営業していたので、お店を移転しなければならなくなった。古本屋の経営に慣れてきて、もっと良い立地でお店をしたい!と思っていたので移転するには良いタイミングだった。私は移転先の店舗物件を探し始めた。

古書組合に入っている古本屋さんの近くでは開業してはいけないという暗黙のルールがあった。住んでいる家の最寄り駅には当時、既に3~4軒の古本屋があり飽和状態でお店を開く事は難しかった。

当時、私の実家の最寄り駅である京阪光善寺駅には当時、古本屋が1軒もなかった。

急行列車が止まらない小さな駅である。ある日、私が店舗を探している事を知っていた母から、光善寺駅の近くによさそうな物件が空いていると連絡があり、すぐに見に行く事にした。

条件の良い物件は早く手を打たないと他の人に借りられてしまうのだ。

駅から歩いて5分、裏通りにある10坪ほどの小さなお店だった。

家主さんに貸してくれるか聞いてみると、承諾してくれた。家賃も予算の範囲内であった。

ここに決めた!私は嬉しくて、どんなお店にしようかと想像を巡らせた。

いよいよ、契約の日がきた。

書類を作成し、あとは判子をついて契約するだけだった。契約する約束の日、大家さんは会うなり申し訳なさそうな顔でこう言った。


「実は近くの書店の店主から苦情があって・・・、ごめんなさいね。」


数メートル離れた所に、新刊の本を売っている書店があった。そこの店主が店舗を古本屋に貸すことを聞きつけて、

「こんなに近くに古本屋ができたら、うちの本が売れなくなる!」と抗議してきたらしい。

店舗は誰に貸そうが自由なのだが、近所の人とトラブルにはなりたくないものだ。駅前なので借り手は簡単に見つかるだろう。

まさかの土壇場でキャンセル…。

その店舗は狭くて裏通りにあったので借りない方が良かったのだが、その時はやる気に溢れていたので意気消沈した。「縁がなかったのだ」と思って諦めるしかなかった。

その後、借りる事ができなかった店舗は和菓子屋さんが借りる事になった。いちご大福が絶品で毎年、苺の季節になるといちご大福を買いに走った。大家さんはうちの店の常連さんになり、本をよく売りに来てくれていた。書店の方とも知り合いになり、雑談をする仲になった。

それからも、お店の経営をしながら良い物件がないか探し続けた。

京阪線の光善寺駅前に、「ここで店を出来たらいいな」とずっと前から狙っていた場所があった。

駅前の踏切を渡ってすぐの所にある1階が酒屋の倉庫になっていた建物だ。またしても母がその倉庫が4軒の店舗物件になった事を知らせてくれた。

古本屋さんの先輩に相談すると、「どうせ借りるなら2店舗分借りとき!店は広い方が絶対にいいよ!」とアドバイスをくれた。古本屋をしていると、どんどん本が増えて置き場が無くなってくるのだ。先輩のアドバイスが無ければ1店舗しか借りていなかっただろう。家賃は倍になるが、2店舗分を借りたいと家主に申し出た。

居酒屋の経営者がほぼ同時に申し込んでいたらしく、家主はどちらに貸すか迷っていた。「どうしてもここでお店がしたい!私に貸してください!!」と私は家主に懇願した。

家主が経営している酒屋さんで昔、バイトをしたことがあり、最終的に顔見知りだった事もあり私の方を選んでくれた。

広い店舗が見つかったのは良かったが、借りるのには敷金の400万円が必要だった。

他にも引っ越し費用、工事代、内装費・・・お金が、全然足りない・・!!


(続く)


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