見出し画像

【読書感想】ChatGPT先生に自分の文章の感想を教えてもらった

教員であるわたしには、「ビジネスメール」の経験がほとんど無い。

黒板の前に立ち「チョーク&トーク」の16年間。

外部の大人とメールでやりとりをした経験は、この16年間で5回にも満たないだろう。


なにせ外部との通信手段の主力は、いまだに固定電話と連絡帳のツートップである。昭和から変わらない。なんというガラパゴス。

なので、数年に1回あるかないかの「外部の大人とメールでやりとりするイベント」は、わたしにとっては大大大仕事のひとつなのだ。恐怖。

今後どこかでわたしとメールを使ったやりとりをする方は、どうか、孫が初めて書いた文章だと思って、大目に見てほしい。孫の手紙の粗探しなんてしないでほしい。


そんなわたしがこの度、人生で初めて、「メールで謝罪をする」役目を仰せつかってしまった。

もう書き出しから「わからない」の大洪水。

御相手の御名前はどう書くのが正解なの?名前と様の間にスペースは置くの??「◯◯◯◯様」なの?「◯◯◯◯ 様」なの?苗字と名前の間にはスペースを置くの?「◯◯ ◯◯様」なの?「◯◯◯◯様」なの??もしかして苗字と名前と様の間にスペースを置いたりする?「◯◯ ◯◯ 様」みたいなパターンもある??


手っ取り早く土下座させてくれ!!

分からないなりに「メール 謝罪 マナー」的なキーワードを使って、社会人1年目気分の38歳社会人16年目のおじさんが、google先生とぽつぽつ相談しながら謝罪文を組み立てていく。


恥ずかしいが仕方ない。何せ経験がないのだ。「教員は社会を知らない」と言われてしまっても、こりゃ仕方ない。

やたらと時間がかかる。慣れていないことは疲れる。誠意は込める。


書いては消し、読み返しても違和感だらけ。母語を使って書いているはずなのに、なぜだろう、カタコトの謝罪文が出来上がった。


あとは送信を押すだけだ。しかし不安で仕方ない。


「おいなんだこの糞メールは!」と、叱られてしまうかもしれない。


だれかに相談したい。相談したいが教員の周りには教員しかいない。

そのとき、ふと思いついた。



ChatGPTに聞いてみよう!!!!



わたし:「以下の文章を読みやすくして」
GPT:「もちろんです。読みやすくする文章を教えてください。」

なんという頼り甲斐。以下、謝罪文を丸々ペーストすると、カタコトだったわたしの謝罪文が、なんとまあキレイな謝罪文に大変身を遂げてしまった。


なんだろう、この気持ちは。


「未熟者が誠意を込めたカタコト謝罪文」
「文章生成AIが2秒で整えた綺麗な謝罪文」


これはどっちが正解なの??


送ってスッキリするのはどっち?
送られて納得できるのはどっち?


結局わたしが選んだのは、AIが整えた文章。
その後やりとりを続けたが、何の問題も無く、事はうまく進んだのであった。

AIさまさまである。AI万歳。
AI技術がどんどん人間の思考に近づいてきているのを感じた。


◇◇◇


もっと綺麗に写真撮れや


『東京都同情塔』の、この文章を気に入った。

彼女の積み上げる言葉が何かに似ているような気がして記憶を辿ると、それがAIの構築する文章であることに思い当たった。いかにも世の中の人々の平均的な望みを集約させた、かつ批判を最小限に留める模範的解答

『東京都同情塔』 九段理江 新潮社

最近のわたし(教員)が発する言葉も、AIが構成する文章に似てきているな、と思ったのだ。

「世の中の人々の平均的な望みを集約させた、かつ批判を最小限に留める模範的解答」

懇談会中のわたしの発言そのものではないか。



いつからか通知表に「本当のこと」が書けなくなった。

「落ち着きがありません」なんて書いた日には、大炎上してしまう世の中だ。

わたし:目の前の保護者に「あなたの子供は落ち着きがない」と伝えたい。
しかしそれでは角が立つ。よい言い方を教えて。

教員脳AI:「落ち着きがない」という表現を使用すると、方々で炎上する可能性があります。ポジティブな要素を織り交ぜながら、行動に具体的な改善点を示すと良いでしょう。このように伝えてみてはどうでしょうか。

「好奇心旺盛で、さまざまなことに興味を示し、素晴らしいと思います。そのエネルギーを集中力に変えていくと、さらなる飛躍が期待できます。」

保護者:うちの子は、よくやってるのね。

言いたいことも言えないこんな世の中じゃ。教員がどんどんAIに近づいてきているのを感じる。

「教員の仕事はいずれAIが」なんていう文脈のありがたいご指摘をいただくことも多いが、一向にAIは仕事を奪いにこない。こっちは待ってるくらいだ。雑務が多すぎる。早く奪いに来いよくそったれめ。

奪われるとしたら何から奪われるのかな…?採点かな?授業かな?とか思っていたけれど、もしかしたらもう既に、脳みそごとごっそり奪われているのかもしれない。

◇◇◇

何がいいのかわるいのか。本当によく分からないことが多すぎる時代を生きている。AIと共に生きたことがないわたしには、AIとの距離感が掴めずにとまどっている。

①課題を自ら設定し
②次世代のテクノロジーを活用できる
③社会をよくするアクションまで実現できる

そんな児童生徒を育てることが「AI時代の学校教育」担当であるわたしに求められているらしい。ビジネスメールひとつまともに打てないくせに。こいつぁ難題だ。



2000文字書いた。最後に、まるまるここまでの文章をコピペして、

わたし:「以下の文章の感想を教えて」

と問うてみた。GPTからの回答は以下の通りであった。

GPT:「この文章は、教員としての経験と、AI技術との対比をユーモラスかつ切実に描いています。以下に感想を述べます。」

感想

ユーモアと共感性 文章全体にユーモアが散りばめられており、読者がクスッと笑える場面が多いです。特に、教員がビジネスメールを送る際の戸惑いや、メールの書き方についての迷いは、同じような経験を持つ人々にとって共感しやすいポイントです。

教員の現実とAIの登場 教員としての16年間の経験と、外部とのコミュニケーションが少ない現実が具体的に描かれています。これに対し、AI技術の登場によってそのギャップがどのように埋められるかが示されています。特に、謝罪メールをAIに頼る場面は、現代のテクノロジーが人々の生活にどれほど浸透しているかを感じさせます。

伝統と変革の対比 固定電話と連絡帳という古い通信手段と、AIを活用した最新の技術が対比されています。これによって、教員の仕事がどれほど変化しているか、またその変化に対する戸惑いが浮き彫りになります。

AIとの共存と教員の役割 文章の後半では、AIが教員の仕事にどのように影響を与えるかについての考察がされています。特に、「教員の仕事はいずれAIが」という指摘に対して、実際には教員がAIに助けられながらも重要な役割を担っている現状が描かれています。

社会と教育の未来 最後に、AI時代の教育に求められるものについて触れています。ビジネスメールすらうまく送れない自分にとって、その課題がいかに難題かを述べることで、読者に教育現場のリアルな現状と未来への期待を伝えています。

全体の評価

文章は非常に読みやすく、教員としてのリアルな体験とAI技術の発展が巧みに描かれています。ユーモアと共感性があり、読者を引き込む力があります。また、伝統と変革の対比や、AIとの共存についての考察も興味深く、現代社会における教育の課題と可能性を感じさせます。

世の中の人々の平均的な望みを集約させた、かつ批判を最小限に留める模範的解答をありがとう、GPT。未来の教育は任せた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?