見出し画像

ありがとう全日本!

昨日、新木場で全日本プロレスが客を入れる興行を再開しました。

私がここで紹介したいのは、セミファイナルの6人タッグ。
宮原健斗&黒潮”イケメン”二郎&フランシスコ・アキラの元気いっぱいの新ユニットと、ゼウス&UTAMARO&イザナギのヒールユニット・パープルヘイズがぶつかる試合です。前者の三人はとにかく明るくて騒がしい(笑)拍手しかできない観客の分まで声を出している感じです。まず単純にその明るさが嬉しかった。特に健斗の入場は見ていていちばん元気が出ます。

アキラはイタリアからプロレス留学に来ている弱冠二十歳の選手です。全日本プロレスの道場で日々練習し、寮で寝泊まりし、ちゃんこなども作っています。日本語でツイートもしてくれるし、誰もが応援したくなる選手です。きっと何年後かには世界的なスターになっていることでしょう。

対するパープルヘイズの注目はイザナギです。
彼はずっと負けが込んでいて、自信を喪失して失踪状態でした。
素顔で居酒屋で酒を飲み、「今のままじゃゼウスの足を引っ張るだけ」「プロレスだけが人生じゃない」「嫌なことからは逃げたらいいんです」などと愚痴をこぼす様子が動画で配信されていました。最近全日本プロレスのコーチ(マッチメイカー?)になったTAJIRIのアイデアでしょう。でもこれが素晴らしいんです。イザナギの正体はもちろん元大阪プロレスのあの人です。同じ大阪プロレスでデビューしたゼウスとは長い付き合いで、イザナギがコーチ的な役割で彼を育てたんだと思います。なのに負けてばかりで少しも力になれない。そんな自分が恥ずかしくて情けなくて逃げてしまう。この気持ち、私にはとてもよくわかります。フィクションの枠の中のノンフィクションが確かに垣間見えて、だからこそ目が離せないのです。

そして少しずつ立ち直っていく姿が毎回の放送で紹介され(またこの流れがいい感じに怪しいのです)、今回の復帰戦に至るのです。以下はネタバレになりますので要注意。

試合終盤、リング上は宮原とイザナギになります。いいように技を食らい、もはや虫の息のイザナギに、宮原がフィニッシュのシャットダウン・スープレックスを仕掛けます。投げさせまいと声を上げて全力で耐えるイザナギ。イケメンに足をつかまれながら、エプロンで「イザナギ! イザナギ!」と必死に声を送るゼウス。この時点でもう涙腺がやばかったです。よく頑張った、これで負けても仕方ないと。しかし、ここからまさかの急展開。宮原がゼウスを場外へ蹴り落とした隙を突いてイザナギがスモール・パッケージ・ホールド。ワン、ツー、スリー!!! そうです。ずっと負け続けていたジュニアヘビー級のイザナギが、前三冠ヘビー級王者にして全日本プロレスのエースである宮原健斗から3カウントを奪ったのです!!! 

試合後に泣き崩れるイザナギにゼウスが「イザナギ! イザナギさん! まだ泣くのは早いのとちゃいますか?」とマイク。そう、ふたりでタッグのベルトを巻くという約束があったのです。そして「俺たちがこの全日本プロレスに新しい時代を築く!」と高らかに宣言。観客席から温かい拍手。もうね、私こういうの大好きなんです。。。

全日本プロレスに救われました。皆さんももし興味がありましたら、ぜひ動画配信サービスの「全日本プロレスTV」https://www.ajpw.tv/に入ってみてください。試合のクオリティでもキャラクターの濃さでも決して新日本に負けていません。若い選手がノビノビと躍動し、ベテランはベテランで彼らにしか出せない味のある試合をしっかり見せています。何より、大事な一戦でわざとらしくレフェリーが失神したり、急所蹴りからフィニッシュに至るようなことは起きません。華とスキャンダルの新日本。質実剛健な全日本。天龍同盟からプロレスにハマり、超世代軍の大ファンになった私にとって、この関係性は今も昔も不変なのかもしれません。



作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!