リザベーション・ブルース

「十字路で悪魔に魂を売り渡して、その引き換えにテクニックを身につけた」という伝説のギターリスト、ロバート・ジョンソン(しかも27歳で毒を盛られて死亡)のギターがキャラクターとして出てくると聞くと、単なる荒唐無稽な物語だと思うかもしれないけれどとにかく面白いのです。ダメなヤツしか出て来ないのですが、本当に全員が愛おしくなる。。。

貧困、アルコール中毒、差別、失業、暴力、などリザベーションに住むネイティブ・アメリカンたちが面している深刻な問題に触れながらも、説教くさいことはまるでなく、気が付くと彼らの内輪ネタ(特に揚げパン)に大爆笑しているはず。が、読後には魂の旅を終えたような、温かいながらも切ない感動が残るのです。ちょっとだけ違う自分になっているようなね。やはりこれは、『物語』というものに精神的な意味を与えてきたネイティブ・アメリカンの血を持つ作者ならではなのではないでしょうか。(くわしいことが知りたい方はここを読んで下さい。金原瑞人さんの素晴らしいあとがきが読めます。)『読むこと』でしかできない冒険がこの本にはあるのです。


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