問答017 やってみたいことありますか?
◯ : 先生、やってみたいことってありますか?
● : やってみたいこと? うーん、ドミノこわしだな。
○:ドミノこわし? ドミノたおしじゃないんですか?
●:違うよ。よくテレビでドミノを体育館を貸し切りにして、床一面にドミノを並べて、
○:それってドミノたおしのことですよ、先生!
●:最後まで話を聞きたまえ!
○:はい。
●:並べ終わった会場に忍び込んで、一気にその上をスライディングして全部こわしてしまいたい。
○:先生、それは、、、
●:あともうひとつある。 リンゴを転がしたい。
○:何ですか、転がせばいいじゃないですか。
●:ただ転がすのではない。場所が問題だ。
○:どこで転がすんですか?
●:坂の上だ。人がいっぱい歩いている坂のてっぺんだ!
○:そこでリンゴを転がすんですか?
●:そうだ。歩いて登ってくる群衆に向かってな! みんなが転んだら、さぞ愉快だろうなぁ。
○:先生のやってみたいことって、ただのいたずらじゃないですか!
●:別にいいだろう、本当にやるわけではない。やってみたいだけだ。
○:やってみたいと考えるだけでも、かなりいけないことだと思いますけど、、、。
●:君がやってみたいことがあるかと聞いたから考えたんだよ。
○:違いますよ、今日聞いたのは、本に関することでやってみたいことを聞いたんです。
●:なんだそういうことか。
◯ : だって先生、ここは本の問答の場ですよ!
● : そうであったな。では、まず君のやってみたいことを先に言ってみたまえ!
○:はい。 自分の好きな作家に、自分1人だけの限定の本を書いてもらって、それを読んでみたいです。
●:なるほど。
○:あと、図書館を1日自分だけで貸し切りたいです。
●:それで、たった1人で本を読むのか?
○:そうです。
●:なんだかさみしいな。
○:じゃあ、先生のやってみたいことは何ですか?
●:自分で本を書く。
○:作家になるですか?
●:違うよ。1冊の本を全て手作りするのだ。文章も装幀も全て。
○:たった1冊作ってどうするんですか? わかりました!誰かにプレゼントするんですね!
●:ちがう。 作った本を持って図書館に行くのだ。そして、適当な本棚を見つけて、並んでいる本の間にこっそりその本をまぎれ込ませておくんだ。
○:それでどうするんですか?
●:本棚の陰から、誰かがその本を取らないか見ているのだ!
○:先生、今日は早く帰って休養をとられた方がよろしいかと思いますが、、、
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