バレエ・リュス-生きる歓び、踊る歓び
20世紀で最も重要なバレエ団の一つ、バレエ・リュス。ディアギレエフの死後一度は解散しましたが、その後新たな興行主とパトロンを見つけバレエ・リュス・ド・モンテカルロとして再出発します。2つの大戦、バレエ団の分裂など半世紀にわたる波瀾万丈の彼らの旅を追ったドキュメンタリーを見ました。
冒頭、2000年に行われたバレエ・リュスの同窓会の場面から始まります。ほとんどが80歳を越えるかつてのスターダンサー達。年老いた彼らの語るバレエ団の思い出と貴重な公演の資料映像によってバレエ・リュスがかつての輝きそのままに甦ってきます。
ジョージ・バランシン、レオニード・マーシンが主な振付師として参加し、ディアギレエフ時代に劣らない斬新な作品を発表していく彼ら。戦争や興行主と芸術監督との諍い、それによる分裂など、様々な困難が彼らに降り懸かりますが、彼らは踊り続けバレエを愛し続けます。当時を語る彼らの表情は輝いて、見ているこちらもなんだかワクワクしてくるし、彼らがものすごくチャーミングに見えてきます。そして衰退していくバレエ団を思うと彼らの苦悩や辛さも伝わってきて切なくなります。
一つ(正確には分裂したので2つだけど)のバレエ団を通して20世紀のバレエの歴史の一部を知ることができるし、彼らがバレエ・リュスの伝説的な演目の数々を伝えてくれているから今もその演目を見ることができることに感謝です。
バレエファンなら見て損は無しの素晴らしいドキュメンタリーでした!
2004年に逝去されたディアギレエフ時代の最後のダンサー、アリシア・マルコワの言葉がすごく印象的でした。
報酬はもらわなかったわ
バレエ・リュスで踊っていた頃は報酬なんてほんのわずか。
でも思っていたの。“これが踊れるなら”とか“あのデザイナーと仕事ができるなら”と。
それが財産となった。
何てリッチなのかしら。
-アリシア・マルコワ
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