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陶芸と絵画、料理と音楽

今月やっとオーダーが落ち着いてきたので、少し製作スピードをゆるめて、陶芸とは違うことをやってみる。

長い間ずっと積みっぱなしの画集や図鑑を読んだり、しばらく弾いてなかったピアノの練習を再開したり。あとは、絵を描いたり。

ここ最近ずっと製作続きだったので、陶芸以外の別の作業をするのは気分転換になって良い。しかも、自分の中でまた新たな発見というか、面白いなーってことを見つけてしまったので書きとめておく。

ここ最近、心に残った画集。京都にあるレストラン「monk」の作品集。

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コロナ前に六古窯を訪れる旅の途中に寄った素敵なレストラン。
雰囲気、料理、器、どれも素敵だったので、今でもその時の空気感や食材の香り、味まで鮮明に覚えている。その時の記憶が忘れられなくて、画集を購入。

作品集にはシェフの今井さんの料理や食に関する考えだったり、これまで作ってきた料理の写真が掲載されていて、特に料理と器の組み合わせがどれも素敵で見入ってしまう。

京都で採れた旬の食材と器のペアリングは、京都の四季を現していることが見て分かるけど、何を思ったのか、この一皿を「絵に描いてみたい」と思ったので、描いてみた。

描いた作品はこれ。

なぜこれを選んだかはわからないけど、パラパラっと見て目に留まったのと、一番簡単そうだったから。

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で、描いてみた。

家にある色が出るペンを使って適当に。で、気づいてしまった。

京都の景色を再現しているのは一目見て分かる。サーモンは秋の旬だし、葉っぱに見立てて緑から紅く変化していくのを現しているんだと。

サーモンの模様を描いていていた時、この模様、葉っぱの葉脈に見立てているんだ!!って鳥肌が立った。だからこんな風に切っているのか。
しかも、微妙にサーモンの中心部分が濃いめの赤になっている。
これも紅葉した葉っぱが黄色、オレンジ、紅にグラデーションになっているものがあるように、その様子を再現しているのかな、と。

察しの良い人ならそんなことすぐに分かるのかも知れないけど、私は描いてなかったら多分そこまで気づかなかった。この景色とディティールを再現するには、サーモン以外に適切なものはないし、包丁の入れ方もこれがベストなのだと納得した。にんじん、カボチャ、マグロも違う、サーモンだ。

1つずつ描いてみることで、その人の想いや考えに少しだけど触れることができた気がして、新しい発見があって嬉しかった。

で、ここ最近製作に関して、悩んでいるというか、何がしたくて作品を作っているんだっけ、って時々立ち止まることが多かったので、ああ、そうだった、私もこういうことがしたかったんだって確認もできた。(まだうまく言語化できない)

なんにせよ、表現したいことがあるなら手を動かしつづけることと同時に、考え続けること、そしてそれをちゃんと説明できることも必要なんだろうな。

あと、もう一つ、描いていて思ったのは、絵を描く事って陶芸の工程ととても似ている。下書きから色付まで一つ一つの段階を踏んでいく作業が陶芸と重なる部分が多い。一つ一つの作業に、選択と決定があって、それを積み上げていくことで一つの作品ができる。そしてどちらも「作品」に自分の想いや、考えを投影させるので、その人自身を形あるものとして残すと言う意味でも作業としては似ている気がする。

絵を描いたあとはピアノの練習を再開した。そして気付いたのは、料理と音楽もまた共通点があるなあと。共通しているのはある程度の共通する決め事があること、料理なら調理法や切り方、音楽なら音のテンポやスコアの書き方とか?(ちょと違うかもだけど)まあ、それぞれ決め事(別の言い方をすると制限?)があるのと、ライブであること。料理も音楽も進めてしまったら戻せない、そして途切れずに時間と共に流れていくものということ。食べてしまったら、演奏が終わってしまったら、残るモノ(物体)が無いこと。一発勝負。形で残らないからその人の記憶や感覚に残る。これも似ているっぽい。

だからなんだ、って話だけど、例えば博物館とか美術館に行ったときに、絵画やオブジェなどの物体として形あるものを見に行ったときに、私は作り手の背景とか過程とか考えにすごく興味があってそこに感動したり、驚愕したりする。
一方、形に残らない音楽や食の体験は、残らないからこそ、その時にしか味わえない空気感や音、味を脳に刻もう!と思う。

多分、みんな自然にやっている事なんだと思う。
でも、自然にやっている癖みたいなものを実際に絵を描いたり、ピアノを弾いたりしてみることで、より納得できたというか。スッキリした感じでした。

もっともっと深く書きたいことあるけど、書けば書くほどいつもうまくまとまらないので、この辺にしておこう。

絵を描くこと、ピアノを弾くこと、もう少し続けてみようかな。

また新しい発見があるかもしれない。



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