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ラジオ番組「101分目からの『100分de名著』」を聴いて②

こんにちは。

過日、NHKラジオ第一放送にて、特別番組「101分目からの『100分de名著』」が2枠放送されました。その前半については、既に以下にnoteとしていますが、今回はその後半部分の記事を書いてみたいと思います。前後半を通じた出演者については、下掲をご参照ください。

後半は、①中江有里さん出演部分の後半と、②斎藤幸平さん、③全体を若松英輔さん、島津有理子元アナ、秋満吉彦プロデューサーによる全体のまとめという構成でした。本noteは、らじる★らじるによる「聞き逃し配信」で再度聴いたことを元に書いています。前半の記事とは、やや異なった趣きで書くことになると思います。

中江有里さん②

俳優・作家・歌手として活躍されている中江さんは、2023年2月度の『いのちの初夜』(北條民雄著)を担当されています。中江さんパートの後半は、近著『水の月』を巡っての語らいから始まりました。

この近著は、姉妹間で交わされた手紙とメール「だけ」で構成されています。若松さんは「中江さんによる詩集」と絶賛していましたが、「常々詩集を出されるべきだと考えている。ぜひ実現させてほしい」とも語っていました。

事前にTwitterに寄せられていた「近現代の日本文学でのおススメはあるか」「影響を受けた書き手はいるか」との質問には、沖縄訪問について触れた上で大城立裕著『カクテル・パーティー』を挙げていました。

また、「読書は、自分のペースで楽しめることが特徴」「月や年に何冊という冊数ベースではなくて、確かに読むこと」として、若松さんとの読書談義が弾んでいました。「何かあると、書店にいる自分になっていたことに気がついた」「本が自分を『呼ぶ』『呼んでいる』ということがある。ぜひ書店に行ってほしい。ネット書店では、自分が(既に)知っている本にしか出合えない」と語り合っていたことが印象的でした。

斎藤幸平さん

新書大賞を得た『人新世の「資本論」』の発刊と前後して出演した「100分de名著」の回(マルクス『資本論』)で大きな話題を呼んだ斎藤幸平さんが、最後のゲストとして出演されました。

4人の語らいは、斎藤さんの近著『ゼロからの「資本論」』のことも交えつつ、「いま」マルクスや『資本論』が読まれることの意味について展開されていました。

現今の地球的問題群は、経済や政治が「うまくいってない」からなので、うまくやれば問題は解決すると考えるのではなくて、それらの問題群は、資本主義の「本質」が正しく顕われ、機能していることの帰結であることについて言及されました。

また、宗教者が「語ってこなかったこと」「語り得なかったこと」と、斎藤さんが投げかけたマルクスへの視点から得られることとは一致しており、宗教と思想の相互浸透や対話といったことについても語り合われていました。

おもしろかったのは、「マルクス以外から影響を受けた思想や著作は何か」という若松さんからの問いについて、新渡戸稲造の『武士道』を挙げていたことです。

番組の中で、そうとは使われていませんでしたが、新渡戸の「コスモポリタン」としての言動にあこがれていたのだろうなということがうかがえました。

まとめ(若松英輔さん/秋満吉彦プロデューサー/島津有理子・元アナ)

Twitterに寄せられた、「挙げたい詩人は誰か」という問いについて、若松さんが茨木のり子と即答していたことが、強い印象を残しました。「適切などなたかが取り上げてほしい、時代と格闘した詩人」とされていましたが、実は若松さんによる茨木のり子は、すでに公刊されています。


放送をオンタイムで聞いたのと合わせると、都合4時間弱つきあっていたことになるのですが、実に示唆に富んだ内容だと思います。「まだ」聴けていない方は、5月11日までは配信されているので、お聞きになってみるとよいと思いました。今回は以上といたします。最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。それではまた!


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