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【考察】時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

こんにちは。

先立って、あるサービスを別の会社からのものに乗り換えようと思って、乗り換え先のコールセンターを利用しました。以下は、そのコールセンターの対応について、若干の考察を加えたものです。よろしくおつきあいください。

対応をしてくださったのは、30~40代と思しき男性でした。言葉使いなど、対応については丁寧にしていただいたのですが、いくつかの「改善の余地」があったので、それを書いてみたいと思っています。

なお、この稿については有償設定をしていますが、全文を読めるようにしてあります。全文をお読みくださった後に、設定価格を支払ってもいいと思われた場合にはご購入くださいませ。

1)やりとりの概略

今回私が利用したのは、ガスの小売り業者の選定にあたって、事前に知りたいことがあったからでした。要は、安くなるのかどうなのかということです。そこで、現在利用している業者さんのサイトから、

①お客様番号
②利用地域特定番号(って言ったかな?)
③年間のおおよその使用量と料金

について準備をした上で問い合わせをいたしました。

        *       *       *

【担当氏】お電話ありがとうございます、◯◯でございます。

【私】よろしくお願いいたします。

【担当氏】よろしくお願いいたします。本日はどういったご用件でしょうか?

【私】御社のサービスを利用したいと思って電話しました。おおよその見積もりを知りたいのですが、このままお問い合わせを続けてよろしいでしょうか?

【担当氏】かしこまりました。まず、お名前とご住所、お電話番号をお教えくださいますか?

【私】◯◯です。郵便番号~(以下、略)。

【担当氏】ありがとうございます。現在はどちらの業者をご利用ですか?

【私】◯◯です。冬季はガスストーブを使っているので、20~40立方メートル、夏場は3立方メートル程度を使っていますが、お安くなるんでしょうか?

【担当氏】確認してまいりますので、少々お待ちください(と言って、3~5分程度待たされる)。お待たせいたしました。弊社では◯◯以下ですと、◯◯円となっております。今回は電気とのセットでのご利用でしょうか?

【私】(あまり安くならないと判断した)いえ、電気は別の業者さんに乗り換えたばかりなので、今回はガス単体の切り替えです。お見積りはしていただけますか?

【担当氏】確認しますので、少々お待ちください(と言って、また待たされる)。たいへんお待たせいたしました。お見積りは、弊社サイトからご利用いただけます。

【私】(見てもわからなかったから電話したんですが、というのを飲み込んで)そうですか。では、このままサイトから契約の申込みをしますが、クーリングオフはできますか?

【担当氏】確認いたしますので、少々お待ちください。

【私】(え? 何でそんなこと確認しなくちゃ答えられないの?

【担当氏】お待たせいたしました。クーリングオフは可能ですので、ご安心ください。

【私】(これ以上は話を進めてもムダだと判断)ありがとうございます。申し訳ありませんが、後ほど別途意見したいことが多少ありますので、あなたのお名前を、フルネームで教えてくれますか?

【担当氏】(クレームになることを察したようで)申し訳ありませんでした。◯◯と申します。

【私】ありがとうございます。あなたの役割(=職分)を教えていただけますか?

2)今回のポイント

1)で太字にした部分について、以下順を追って、若干の説明を加えます。

①よろしくお願いいたします。

→ 開口一番で、私は必ず言うようにしています。場合によっては、きょとんとされてしまうのが伝わってくることがありますが、これから問い合わせをしてお世話になるので、どうぞよろしくお願いします、という気持ちを先に伝えます。

②このままお問い合わせを続けてよろしいでしょうか?

→ この電話番号とメニュー番号の選択でいいのかを確認しました。質問内容に応じたセンターや担当部署が用意されていることがありますので、「私の聞きたいことは、このセンターで答えてくださるんでしょうか?」ということです。話したあとで、結局「私どもではわかりかねます」「その件につきましては、◯◯番をご利用ください」と言われるのがイヤだからです。

③3~5分程度待たされる

→ 今回の「立腹ポイント」です。端的に言って、待たされた時間が長過ぎました。しかも、

①何をするので保留にする必要があるのか、
②どれくらい(「少々」なのか「しばらく」なのか、等)待たされるのか、

についてはひと言も告げられないまま保留にされてしまいました。

おおよそですが、人間は「待つ」ことについての感覚は、①待たされる時間、②待っている時間、③(相手を)待たさせる時間、の順で長く感じてしまうものだと考えます。同じ1分でも、「待たされる」1分と、「待たさせる」1分とでは、前者が長く感じます。

これについては、

①なぜ待ってもらう必要があるのか、
②どれくらい待てばいいのか、

を予めアナウンスしておくことで、緩和される場合があります。例えば、

・資料を確認してまいりますので、「少々」お待ちください。
・上司に確認いたしますので、「しばらく」お待ちください。

等と告げるだけで効果があります。ここで「少々」と「しばらく」を「 」で括ったのは、前者よりも後者の方が長い時間を要する場合に使うべきだということをお伝えしたかったからです。使い分ける必要があるわけです。

④◯◯以下ですと、◯◯円となっております

ここで問題としたいのは、私が「立方メートル」を使っているのに、担当氏は別の単位(の言い方。おそらく「りゅうべい=立米(=立法メートル)」だったかもしれないが、今となっては不明)にわざわざ言い換えているということです。それが「専門用語」に聞こえることを問題としたいと思います。なぜなら、私は専門家「ではない」からです。

⑤また待たされる

月単位、あるいは通年で、おおよそおいくらになるのかを知りたかったので、見積もりができるかどうかを確認しました。しかしながら、ガスのようなサービスであれば、料金以外の比較検討の対象となる事柄がわからないので、この程度のことであれば、マニュアルや上司に確認しなくてもいいレベルの担当者であって欲しいと考えます。

⑥(え? 何でそんなこと確認しなくちゃ答えられないの?)

ここでも、なぜ私が待たなければならないのかについての言及はありませんでした。しかもそれが、クーリングオフの可否の質問に関してです。万一にでもクーリングオフという制度を知らないのであれば、人に物を売るサービスを担当してはいけないと思います。

⑦あなたの役割(=職分)を教えていただけますか?

ここに至り、私は完全に立腹していました。しかし、感情にまかせて怒鳴り散らしたところで、私が置かれている状況が改善される保証はありません。であれば、このやりとりにおいての「問題点」がどこにあったのかを、手早く検証するのが得策であると考えました。

そこでまず、そもそもこのセンターと担当氏は、何をサービスとして提供することを職分としているのかを確認するべきだと考えました。つまり、筋違いの要求を私がしているかもしれないではないか、ということです。そうであれば、むしろ私に瑕疵があると考えるべきです。その可能性を、早い段階で排除しておきたかったのでした。

次に確認したのは、担当氏に帰せられる問題であるのか、それともセンターの仕組みやシステム、指示系統等に問題はないのかということです。これは、文句ないしクレームを言うべき相手は誰なのかを特定するということでした。

システムに不備があるのなら、担当氏の対応を問題視するのは筋違いですし、担当氏とやりとりすることでは改善される可能性は、ほぼゼロです。それで担当氏は「何をするように指示されているのか」を確認する必要があると考えたわけです。

結論としては、システムや指示系統の問題ではなくて、担当氏個人の「資質」の問題と判断いたしました。それでもなお、そのような「資質」の担当氏に職務を任せていることについての責任は問われる余地は残りますが、その点については、本稿では扱わないものとします。以下で3)と4)として、今回伝えた「クレーム」の中身を述べていくこととします。

3)当人の問題か、システムの問題か考えて「クレーム」を伝える

述べてきたことを確認しておきます。どこに(誰に)どんな問題をぶつけるのが、状況を改善するのかを考えた上で有効な「クレーム」として機能するのかを考えるが良いだろうということです。どんなに「正しい」怒り=正当性があることであっても、伝える相手を間違えては「効果」は得られません。

感情的に発散させたいのであれば、ここで怒鳴り散らすことも有効だったかもしれません。しかし、私が求めたのは、私が置かれてしまった状況の改善でした。もう少し言うと、このセンターなり、担当氏なりが、よりよい職務遂行ができるのを支援することが、次の問題発生を回避させ、「社会全体」としての福利の向上に寄与すると考えたからです。むしろ、私がしたのは、業務改善の「提案」でした。

4)今回についての「提案」内容

以上、長々と述べてしまいましたが、単にコールセンターが機能を向上させるだけではなく、担当氏が社会人としてのスキルを向上させるためのことも含めての「提案」としたいと思います。既述分との重複を厭わずに書いておきたいと考えます。

①保留の理由と、保留時間の見込みを伝えよう
②専門用語や業界用語、略語の多用・乱用は控えよう
③コールセンター業務の「範囲」を明確にして、それを周知徹底しよう

これらを説明してまいりますが、必ずしも「重要度」順にはなっていません。優先順位のつけ方は、ある意味「思想」の現れとなりますので、そのつけ方については、実行者に委ねたいと思います。

        *       *       *

①保留の理由と、保留時間の見込みを伝えよう

コールセンターでの通話という、顔や状況が見えないコミュニケーションでは、敢えてでも言葉としなければ伝わらない事柄というものがあります。そのうちの一つが、「少々(あるいは、しばらく)お待ちください」についての、待たされる理由とどれくらい待てばいいのかについての見込みです。

待たされる時間は、どうしても「長く」感じてしまうものです。「何で」待たないといけないのか、今この場で解決できないのか。また、「どれくらい」待たされるのかがわからなければ、なおのこと長く感じられてしまうでしょう。

ですので、いくらかでも「待たされ」感を緩和してもらうために、なぜ待っていただかないといけないのかの理由(例えば、「資料を確認しておりますので」とか、「上司に確認してまいりますので」とか)を添えるといいと思われます。

また、「どれくらい待たされるのか」について、例えば「少々」なのか「しばらく」なのか、あるいは「1~2分」と言ってしまえるのか、予測できる範囲でいいので、これも添えられるべきだと考えます。

②専門用語や業界用語、略語の多用・乱用は控えよう

次に提案しておきたいのは、「専門用語」「業界用語」「略語」や「流行語」の多用や乱用を控えるべきだということです。これから「担当者」としてお話しをしていただくのは、「お客様」であって、普段接している仕事上の仲間たちではありません。

仲間内で使えば、効果的・効率的なコミュニケーションを促す言葉遣いであっても、それは「お客様」には通じません(もちろん、お客様次第ではありますが)。少なくとも、そう前提しておくべきです。コミュニケーションにあたっては、常に「お客様」の理解度をモニタしながら言葉・語彙を選ぶのが望ましいでしょう。

③コールセンター業務の「範囲」を明確にして、それを周知徹底しよう

最後の項目です。「サービス」とは、提供する「範囲」を明確かつ限定的にするべきだと考えます。何でもかんでも、無制限に提供すればよいものではありません。「私ども」が担当して提供しているサービスの範囲は、どこからどこまでなのかを明確にした上で、それを共有しておかないといけません。

その範囲を超えたサービスを求められた場合には、「わかりかねます」「いたしかねます」という勇気が必要でしょう。もちろん、そのお客様が求めるサービス提供についての「代替案」の提示がセットであることが望ましいです(今日はムリだが、明日の午前中には対応できるとか、他の部署やセンターで対応しているとかの案内をする)。「あ、自分は法外な要求をしているかもしれないな」とお客様が思っていただけるようであれば、そのオペレーションは、「成功」であろうと思います。

        *       *       *

以上、思いついたことを、精密な検討もせずに並べ立ててしまったので、この文章の宛て先が不分明となってしまいました。すなわち、これは

①コールセンター担当者が読んで、業務の改善に役立ててもらいたいものとして書いたものなのか、
②コールセンター利用者が、より効果的な利用に資するものとして書いたものなのか、

が、よくわからなくなってしまいました。とは言え、同じ一人の人間が、今日はコールセンター担当者としてお客様対応にあたり、明日は「お客様」として、より効果的にサービスを引き出そうとセンターに問い合わせをするというのは、十分考えられることです。

ですので、コールセンターにおけるコミュニケーションの特性をよく知ることは、時としてサービスの提供にあたり、別の時には利用者としてサービスを受けるのを円滑にすることに役立つのではないかと妄想しています。何事か参考になることがあったなら、幸いという他ありません。長々と書き連ねてきたことにおつきあいいただきまして、ありがとうございました。もし、読んでお気に召していただけたのであれば、チップのつもりで課金に応じてくださればと考えます。ご検討ください。

最後までお読みくださり、本当にありがとうございました。それではまたお会いいたしましょう。

21/10/09


【21/10/17付記】

「続報」を以下にまとめてありますので、ご覧くださいますと幸いです。

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最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。ときどき課金設定をしていることがあります。ご検討ください。もし気に入っていただけたら、コメントやサポートをしていただけると喜びます。今後ともよろしくお願い申し上げます。