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読書初心者には【#直木賞しか勝たん】理由!第164回芥川賞・直木賞発表!

みなさん、こんにちは!

先日2021年1月20日(水)
第164回芥川賞・直木賞の受賞作が発表されましたね!

▼第164回芥川賞受賞作品:推し、燃ゆ/宇佐見りん

▼第164回直木賞受賞作品:心淋し川/西條奈加

受賞者・出版社の皆様、本当におめでとうございます!惜しくも受賞を逃した他のノミネート作品と共に、これから2021年の出版界を大いに盛り上げてくれることでしょう。

さて本日はタイトルにあります通り、

読書初心者には【直木賞しか勝たん。】理由についてお話させて頂きます。

※事前にお伝えしておきますが、芥川賞作品を否定する意向は全くありません。あくまで、「賞による作風の違い」をお伝えし、小説愛好家をより増やしたいとの思いから記事を作成しております。

▼なぜこの記事を作成したのか?

誤解を恐れずに先にお伝えすると、

芥川賞の作品は、【必ずしも面白い作品ではない!】ということを皆さんに知って頂きたいからです。詳しくはこれから説明しますので、まずは私の体験談をお伝えさせてください。


今から約5年前、2015年のことです。

又吉直樹さん作「火花」第153回芥川賞を受賞しました。

お笑い芸人史上初の受賞は大きな話題になり、記憶に新しい方も多いかと思います。

そしてこのような文学賞はメディアで大きく取り上げられることが多く、普段本をあまり読まない方にも興味を持ってもらえるため、たくさんの方を【小説の世界に招く絶好の機会】となります。

人気芸人の又吉さんが受賞されたことで、いつにも増して小説に注目が集まった当時、私の兄(読書はほとんどしない)も珍しく「本を読もう!」と、火花を購入していました。そして数日後、こんな会話が。


兄)『火花読んだけど、あんまりおもんなかったわ。。。』

私)『そうかぁ。。そうやんなぁ。。そうやねん。。そういうモノやねん‼︎』

そうなんです。芥川賞とは「そういうモノ」なんです。もともと芥川賞にて選考される作品では、

【エンタメ性を求めていない】のです。

こういった賞の特性はあまりメディアで報道されることもなく、多くの方が知らない部分ですよね。受賞すると本屋さんでも大きく展開されることから、「きっと面白い作品なんだろうなぁ」と、手に取ったは良いものの、いざ読み始めると「あれ?なんか想像と違う…」という状態に陥ってしまいます。

新たな人が小説の世界に足を踏み入れる絶好の機会、せっかく勇気を出して買った一冊が「面白くない…」となると、読書との距離感は以前よりも遠のいてしまいますよね。
そんな状況がとてつもなく勿体ない!と感じており今回、芥川賞と直木賞についての記事を執筆しようと決めました。

では芥川賞と直木賞の違いについて、ざっくり解説していきます。

▼芥川賞と直木賞の違い

芥川賞と直木賞ですが、違いはとても簡単。
それは【作品に求めるもの】の違いです。
求めるものの違いは、まとめてしまうと以下になります。

【作品に求めるもの】
芥川賞(純文学)文章の美しさ
直木賞(エンタメ文学)物語の面白さ

小説にもそれぞれ「ジャンル」が存在し、芥川賞と直木賞ではそもそものジャンルが違うのです。
芥川賞に応募されている作品は、純文学というジャンルの作品であり、これは「文学としての美しさ」を求めている作品なのです。

美しさって何?という声が多方面から聞こえてきそうですが、これが具体的にどういうことなのか、純文学とエンタメ文学について、次に説明していきます。

▼純文学とエンタメ文学【桃太郎で解説】

・純文学:文章の美しさを求める
・エンタメ文学:物語の面白さを求める

これが芥川賞作品と直木賞作品の大きな違いでしたね。ここで実際に、純文学とエンタメ文学、【同じ物語でもどれだけ違うのか】を筆者の即興オリジナル作品にて比べてみます。
題材にする作品は誰もが知る昔話【桃太郎】です。説明の関係からまずは【桃太郎エンタメ文学ver.】よりお送りします。

【桃太郎〜エンタメ文学ver.〜】

おばあさんは川に洗濯に行っていました!
川から桃が流れて来ました!
桃を割ると中から桃太郎が出てきました!
桃太郎は鬼退治に向かいます!
途中でイヌ、サル、キジを仲間に迎えました!
桃太郎達は協力して鬼退治を成功させました!
めでたしめでたし!


これがエンタメ文学版の桃太郎です。テンポも早く物語が展開されて楽しいですね!
誰もがよく知る桃太郎のお話になりました。

次に同じ「桃太郎」を【純文学ver】で作ってみます。


【桃太郎〜純文学ver.〜】
山河の流水は老婆の指先から体温を舐め攫う。
明朝食した玄米から産み出た熱は瞬く間に、主人がこぼした醤油ジミと混ざり、消える。
物理的な体温と共に、腹のマグマによって盛り上がった神経を、流水がやすり冷やしてくれるこの時間が老婆は嫌いではなかった。
ふと上流に目をやると大きな影がどんぶらこ、とこちらに向かってくる。



これが純文学版の桃太郎です。笑
なんとなく違いをイメージして頂けましたでしょうか??「早く桃流れてこいよ!」とツッコミが入りそうです。エンタメ版とは打って変わって、状況や心情の描写が多く、実際の物語はほとんど動いていませんよね。

※実際の純文学作品は全く比べ物にならないほど素晴らしい文体です。純文学作家の皆様には本当に申し訳ございません。あくまでイメージとして捉えて頂けると幸いです。

おばあさんが洗濯をしているシーンだけでこの文量。一作を通して、【たくさんページを読んだのにも関わらずほとんど話の展開が無い】という作品も多いです。「今何が起きているの?」「私は何を読んでいるんだ?」という感覚にさせられてしまうことさえあります。

これこそが、勇気を出して芥川賞作品を手に取ったにも関わらず、「やっぱり本って面白くない、、」となってしまう最大の要因だと私は考えています。


▼まずは【直木賞作品】がおすすめ!

以上の理由から、「何か読んでみようかな〜」という方々にはまずエンタメ性を重視した【直木賞作品】をオススメします!

受賞作品の「心寂し川」に加え、ノミネート作品にもおすすめが満載です。
今回はジャニーズ史上初、NEWSの加藤シゲアキさんが執筆された「オルタネート」がノミネートされ、大変話題になりました。

私も読ませて頂きましたが、「高校生限定のマッチングアプリ」という聞くだけで面白い設定を中心に、3人の高校生の人間ドラマが繰り広げられ、とても素晴らしい作品でした。
ラスト約50ページから始まる章の疾走感は最高です。

▼オルタネート/加藤シゲアキ

ちなみに、芥川賞受賞作品「推し、燃ゆ」も読了しましたがやはり素晴らしい作品です。推しアイドルの炎上から始まり、日々の生活における苦悩、人間模様が多彩な文体で表現されておりきっと共感できる部分がある作品だと思いました。筆者の宇佐見りんさんは21歳、文学界のスターがまた誕生です。若い世代の方々にも、作品が届くととても嬉しいですね。

▼補足

今回は芥川賞と直木賞について、作風の違いを中心にお伝えさせて頂きました。

最後に補足を加えておくと、純文学にも面白い物語構成のものは多々存在しますし、エンタメ文学にも素晴らしい文学表現は必ず出てきます。ジャンルの違いがあり、求めているものは違いますが、どちらも私たちの生活に彩りを与えてくれるものに違いはありません。

「本っていいなぁ」と思って頂ける人が1人でも増えればと思い、記事を作成して頂きました。少しでも皆様のお役に立てていれば幸いです。

YouTubeにて、今回紹介した作品も含め【本の紹介動画】をアップするチャンネルも開設しております。小説中の名文を抜粋し、筆記音と共に紹介しております。小説の魅力を多くの方にお伝えしたく、開設したチャンネルです。これから随時更新・アップデートしていきますので是非ご覧頂けると大変嬉しいです。

▼名文紹介動画

最後までご覧頂き、誠にありがとうございました。
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