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【タイトル秘話】優勝チームソフトバンクホークス・コーチの本『踏み出す一歩』

シーズン序盤から圧倒的な強さで勝ってきたソフトバンクホークス。
その立役者としてメディアでも紹介されているのが、弊社の一作目『踏み出す一歩〜そして僕は夢を追いかけた〜』著者の倉野信次さん。

 優勝が決まった9月23日時点で、チーム防御率2.53と同打率.259はいずれもリーグトップ。

そんなソフトバンクホークスですが、シーズン前に課題はありました。
小久保裕紀監督が課題に挙げたのは先発投手陣の再建。それは倉野信次投手コーチの手腕に託されました。倉野さんはその手腕を発揮し、1年経たずチームをリーグ優勝に導く立役者になりました。
 
『踏み出す一歩〜そして僕は夢を追いかけた〜』には、そんな倉野さんがソフトバンクのコーチに就任する前の2年間、アメリカ、マイナー・リーグでのコーチ経験を積んだ理由が詳細に記載されています。
 
倉野さんはマイナー・リーグのコーチになる前、2009年から現役時代に所属していたソフトバンクホークスで、コーチをつとめていました。安定したポジション・立場・ルーティンがあった中で、なぜマイナー・リーグ挑戦を選んだのか? 

読み進めるごとに、挑戦することの良さ・そして厳しさがわかる一冊となっております。
 
そのタイトルを提案した弊社広報部大谷に本書のタイトルが生まれた背景を聞きました(三田は2024年5月入社のため、本書が刊行された2023年10月には在籍していない)。
 
インタビューする中で、
・タイトルに込めた想い
・ブックダムが、大切にしている「全員が参加する」ということ
がコンテンツビジネスに活きるかもしれないと考え、noteで発信をすることに決めました。
 
以下は大谷が話した内容をまとめたものです。
 



① 内容に魅せられて


本書刊行当時、ブックダムに編集者はいませんでした(外部の編集者に書籍編集を依頼し本書は作られました)。

出版事業を開始してから1年も経っていなかったため、ノウハウもなく、タイトル選定のフローも確立されていたわけではないので、通常の出版社のタイトルの決め方とは違っているかもしれません。

しかし、経営の軸となる「ビジョンマップ」があるからこそ、本づくりにかける私たちの想いが出たと思います。


ブックダムが大切にしているビジョンは「読者の未来をめくる」


 
タイトルを決める会議は、3名(社長、マーケティング担当、広報担当)で行いました。それぞれ事前に原稿を読んできて、いくつかのタイトル案を持ち寄ったのですが、本の生命線ともいえる「タイトル」はやはり簡単には決まりませんでした。

話し合いを重ねる中で方向性や、本書への想いなどが明確になっていきました。
 
私は何度か原稿を読んでいるうちに、本書の魅力に引き込まれました。
倉野さんは安定した地位・立場を捨てて、「日本一のコーチ」になるために、野球が一番盛んなアメリカに渡ったのですが、
「給料なし」
「修行中は必要な経費は全額自腹」
「日本にもどっても、野球チームに戻れる保証なし」
「アメリカに受け入れてくれる球団があるかもわからない」
「英語は喋れない」
という状況で渡米されたのです。
 
そして、この本は倉野さんの日記(アメブロ)をリライトし、編まれたものです。日記という性質上、日々の良かったこと、厳しい現実に直面したこと、悩んだことなどがストレートに語られています。


 新しいことに挑戦することは、怖いし、勇気もいります。しかし、「挑戦しないことには何も始まらない!」と、倉野さんが私たちにそう語りかけるような内容でした。

夢と勇気を与える本書に一番しっくりくる言葉を考えたところ、『踏み出す一歩』という言葉が自然と浮かんできたのです。
 

② ブックダムの1冊目だったからこそ

本書は、2023年6月にブックダムが出版事業を開始して1冊目に出版された本です。ですから、私たちにとっても「はじまり」でもあり、それだけ「思い入れのある本」です。
 
単身アメリカに渡り、自分の目標達成のため、所属する球団のためにがむしゃらに修行された倉野さんの想いが、弊社のデビュー作になる。こんなにうれしいことはないと感じました。

 ですから「この本をブックダムの1冊目として世に送り出したい」と言った社長の想いと倉野さんの想い、そして「ずっと読みつがれてほしい」という気持ちから、シンプルでメッセージ性の強い言葉がいいと思いました。
 
他のメンバーが考えたタイトル案もどれも良く、結局9案を倉野さんに見ていただく形になったのですが、倉野さんからも「シンプルで想いが伝わりやすい」「幅広い人に読んでほしい」と、『踏み出す一歩』を選んでいただきました。
 

③ 全員参加の裏にある想い


弊社のタイトル会議が全員参加型で行われる理由の1つには、「一人ひとりがその本に関わっているという当事者意識を持ってほしい」という社長の強い想いがあります。

そこには全員が、「なぜ、私たちはこの本をつくり読者に届けるのか」「読者の未来をどのようにめくるのか」を自分の言葉で語れる、また伝えられるようになってほしいという想いがあります。

そして「私たちのうち誰か一人でも欠けたなら、読者の未来をめくる本がつくれない」という想いも込められています。
 
そういった社長の想いから弊社の企画会議やタイトル会議などは、編集者だけでなく、すべての部署のメンバーが参加し、それぞれの案を持ち寄り、さまざまな意見を出し合います。
※ただし企画内容によっては、著者と編集者との話し合いで決めるケースもあります
 
例えばタイトル会議においては、それぞれのメンバーの考えを聞き、そのうえでどのタイトルがベストなのかを、
・読者に伝わりやすいか?
・読者の未来を変える予感はあるか?
・長く読みつがれるか?
などの観点から精査していきます。
 
大切にしていることは複数の人の考えや経験・体験から、良案を出し合うこと。長く読まれるタイトルは、そうやって生まれると考えているからです。
また、一人ひとりが真剣に考え、意見することも大切にしています。

自分と異なる意見を受け入れて、また恐れずに「企画のために良い」と思ったことを言う土壌があります。
 
ただ、こういったこと(みんなで話し合うということは)は出版業界では一般的ではないかもしれません。

複数の出版社で働いた経験のある三田からは、「いろんな部署のメンバーの意見を聞いてしまうと『船頭多くして船山に登る』ことになる」ということも言われました。

そして、よく話題になる編集と営業の対立というようなことも起こるかもしれません。売り場を見ている営業パーソンは、売れ線をみているので、キャッチーなタイトルをつけて多く売りたいと考える傾向にあるようですし、一方編集者としてはコンテンツとタイトルの親和性を大切にする傾向にあるようです。

「それぞれの部署の大切にしていることを譲らないために、対立が生まれてしまったこともある」ということもよく三田から聞きます。
たしかにどちらの考えもよくわかりますね。
 
こういったことを聞くと、一人ひとり考えや価値観が違っても、お互いを尊重してタイトルを決められるのは、私たちの共通認識の源である「ブックダムのビジョンマップ」の存在が大きいと思います。

共通の想い・言語を共有しあっているからこそ、摩擦を減らし、ミッション・ビジョンに向かって話し合うことができるのだと思います。
 
今日は色々とお話しましたが、『踏み出す一歩〜そして僕は夢を追いかけた〜』そんな私たちの思いが込められた1冊目の大切な本です。
ぜひこの本を読んで、「自分も夢に向かって挑戦してみよう!」「一歩踏み出してみよう!」と思っていただけたら、私もとてもうれしいです。