見出し画像

海外マンガ情報誌「モリマチ。」Web版 海外マンガTOPICS―2023年7月


10代向けバンド・デシネを表彰するフランス・ブルー賞2023のグランプリ発表

10代の若者を対象とするフランス語圏の優秀なマンガ作品を表彰する第3回フランス・ブルー賞2023(Prix de la BD France Bleu 2023)が6月24日に発表された。グランプリはオーレル・ガイヤール(Aurelle Gaillard)作、カミーユ・K.(Camille K.)作画の『Ratures indélébiles(消せない傷)。

最終ノミネートに選ばれた10作品は次のWebサイトで公開されている。

グラフィック・ノベル原作Netflixアニメ『ニモーナ』配信

ND Stevenson作でアイズナー賞も受賞したグラフィック・ノベルNimonaを原作とするアニメーション映画がNetflixで6月30日に配信された。濡れ衣を着せられた騎士と異端児の少女ニモーナという”はみ出し者”コンビが活躍する。とても可愛い。

マガジンハウスのマンガWebサイト「SHURO」オープン

6月30日にマガジンハウスが開発・運営するマンガWebサイト「SHURO」がオープンした。Web上にある架空のMANGAリゾートをコンセプトに、マヌエレ・フィオール秒速5000kmほか「楽しくて、刺激的で、役に立つ」マンガがラインナップ。日本のマンガ作品が中心だが、海外マンガも増えていくといいなぁと期待。

中国の4コマ漫画原作アニメ「フェーレンザイ ‐神さまの日常‐」放送

中国の「封神演義」「⻄遊記」「山海経」などの神さまが登場する4コマ漫画非人哉原作のWebアニメ「フェーレンザイ ‐神さまの日常‐」が7月4日からテレビ東京系列で放送がスタート。

ロシアのコミック『サバキスタン』8月から全3巻、連続刊行

架空の犬の独裁国家「サバキスタン」(ロシア語で犬の国という意味の造語)を舞台にしたロシア発のコミック『サバキスタン』。4月12日からトゥーヴァージンズが運営するWebコミックメディア「路草」にて連載されていたが、8月から連続3か月全3巻の刊行が発表された。とても楽しみ。

ACBDアジア賞グランプリは『ダーウィン事変』に決定

フランスで7月13日から開催されているJapan Expo 2023でACBDアジア賞グランプリが発表された。受賞したのはうめざわじゅん『ダーウィン事変。ノミネート作品については以下の記事にまとめています。

ルネ・ラルー、メビウスによる長編アニメ『時の支配者 4K修復版』Blu-ray発売

「ファンタスティック・プラネット」の監督ルネ・ラルーと、伝説的バンド・デシネ作家メビウスによる長編アニメーション時の支配者 4K修復版のBlu-rayが9月22日発売される。

特典映像としてメビウスの仕事と半生を振り返る55分のドキュメンタリーが収録される。バンド・デシネ翻訳者の原正人さんによる解説つき。

「おしぐちたかしコレクションから見る海外マンガ展」のアーカイブ公開

2019年11月15日から2020年1月27日にかけて東京、明治大学米沢嘉博記念図書館で開催された「おしぐちたかしコレクションから見る海外マンガ展」のアーカイブが公開された。

バンド・デシネ『LA BOMBE 原爆』の著者インタビュー記事が公開

7月14日に発売された原爆開発秘話を描いたバンド・デシネLA BOMBE 原爆 科学者たちは何を夢見たのか上下巻(大西愛子訳、平凡社)の著者ディディエ・アルカント(原案・企画)、L.F.ボレ(脚本)、デュ二・ロディエ(作画)のインタビュー記事が7月21日公開された。前後編。

サンディエゴ・コミコンでアイズナー賞2023発表

7月22日、サンディエゴ・コミコン内でマンガ界のアカデミー賞と言われるアイズナー賞2023の受賞作品が発表された。

以下に受賞作品を詳しく紹介しているのでご覧ください。

『Gender Queer』の翻訳出版クラウド・ファンディング開始

7月25日からサウザンブックスのプロジェクトでグラフィックノベルGender Queerの翻訳出版クラウドファンディングがスタートした。ノンバイナリーで無性愛者のマイア・コベイブが、違和感や葛藤に戸惑いつつ自分のジェンダーを模索していく自叙伝。10月23日まで。

『スーパーストリング-異世界見聞録‐』LINEマンガで掲載開始

尹仁完作、Boichi作画で4月から少年サンデーで新連載されていた『スーパーストリング-異世界見聞録』のウェブトゥーン版が7月25日にLINEマンガで掲載を開始した。

『スーパーストリング-異世界見聞録』は、韓国のウェブトゥーン制作会社YLABが企画する複数の作品で世界観<ユニバース>を共有し、アベンジャーズやMCUのように各作品でキャラクターを共演させる「スーパーストリング」構想のヒーロー大集合のアベンジャーズ的作品になると考えられる。プロローグでも『ハウスキーパー』や『ジャングルジュース』などのキャラクターの登場がほのめかされている。なお、「スーパーストリング」構想については以下の記事を参照いただきたい。

なおサンデーで連載版については8月18日に単行本の1巻が発売される。ウェブトゥーン版と紙の誌面との違いなども気になるところ。

英語翻訳グラフィックノベルを表彰するソフィア・カスティーユ賞

バンド・デシネや日本のマンガを含む英語への翻訳グラフィック・ノベルを表彰する「ソフィア・カスティーユ賞(The Sophie Castille Award)が創設されたことが7月26日のComicsbeatの記事で明らかになった。7月10日にノミネート15作品が発表され、9月29日から10月1日にかけてイギリスで開催されるThe Lakes International Comic Art Festivalで受賞作品が発表される。

韓国マンガ『カデギ』の著者来日イベント開催

韓国の物流業界を描いたマンガカデギの著者イ・ジョンチョルさんの来日イベントが8月3日、4日に東京のBSEアーカイブにて開催される。カデギは運送トラックからの荷下ろしという過酷なバイトをする漫画家志望の青年を主人公に、物流業界の労働問題や働く人々へのエールにあふれたグラフィックノベル。

映画『ゴースト・ワールド』22年ぶりに全国公開

ダニエル・クロウズの代表作にして不朽の青春グラフィック・ノベルゴースト・ワールド。テリー・ツワイゴフ監督による映画が22年ぶりに全国公開されることが7月28日に明らかになった。11月23日から東京のBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほかにて順次上映される。

今年5月には原作グラフィックノベルの第4版が発売。7月には入手困難になっていたDVDとBlu-rayが発売されていた。

奇しくも同日7月28日は原正人さんとのポッドキャスト「海外マンガの本棚」第17回ゴースト・ワールド回も公開。原作もなのだが、映画をめちゃ推しているので、こちらもぜひお聞きいただき、映画を観に行こう!

書評・レビュー

『わたしを忘れないで』(矢部太郎さん、木曜日は本曜日)

『秒速5000km』(夏目房之介さん、マンバ通信)

『秒速5000km』(原正人さん、マンバ通信)

『アー・ユー・リスニング』(サンデーマンガ倶楽部)

『綺譚花物語』(書肆喫茶mori、マンガクロスボーダー)

『ベルリン1928-1933』(椹木野衣さん、朝日新聞)

『ベルリン1928-1933』(書肆喫茶mori)

『世界は僕を切り裂けない』(ワダシノブさん)

イタリアの漫画家ゼロカルカーレの新作アニメのレビュー。漫画ではないですが…

『葬送のコンチェルト』(ちゃんめいさん)

ポッドキャスト「海外マンガの本棚」


海外マンガの情報発信とお店を続けていくために大切に使わせていただきます!応援よろしくお願いします!