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少しだけ『死』と向き合ってみませんか?【もう生まれたくない】感想

こんにちは、レイです。

唐突ですが、人はいつか死んでしまいます。
永遠の命は、ありません。
だから僕たちは、今を必死に生きるんです。

でも、「人生疲れたな」とか「もう人間やめたい」とか。
「人選満喫している」「俺、今最高に楽しい」と思って、日々を生きている人は少ないのではないでしょうか?

少なくても、「生きてていいのかな」「生きるの疲れたな」「もう、頑張ったよね」「もういいよね」と思っている自分がいるのではないだろうか?

本書はそんな走り疲れたあなたに、「様々な死に関する価値観」を
分かりやすく、優しく提供してくれます。

もう、「生まれたくなんてない」「人間やめたい」と思っているのなら、ぜひとも一度読んでその悩みを、開放してほしいです。


「もう生まれたくない」紹介

マンモス大学の診療室に勤める春菜、シングルマザーの美里、二人の謎めいた友人の神子。震災の年の夏、「偶然の訃報」でつながった彼女たちの運命が動き始める――。
新聞に載る死。テレビで騒がれる死。どこかでひっそり終わった死。有名人の死。身近な人の死。名も知らぬ遠い国の誰かの死。
そのどれもが身近で、私たちの人生と隣り合わせにある。死を描くことで今を生きることの意味を見出す、著者新境地。

もう生まれたくない

『もう生まれたくない』ポイント

もう生まれたくない、という作品は少し変わっています。それは、様々な人の『死』について、多数紹介し触れていく作品だからです。
この作品を最大限楽しみ、「読んでよかった」と思えるようになるには三つポイントがあったと思います。

そのポイントを紹介する前に一つだけ、質問です。
「真面目に死について考えたことがありますか?」
という問いかけをさせて下さい。

もしも考えたことない人は、今考えてください。
それだけで、この本の面白さや意義は格段に変わります。

単純に興味関心から「面白い」と感じるのか。
それとも、心の奥の問いかけに答えが得られて「良かった」と感じるのか。
それは、あなた次第です。

さて、「もう生まれたくない」を読むときに意識したポイントは、これです。

  1. 死と軽く向き合える

  2. 丁寧な描写と小さく大きな共感

  3. 生きたい人のお話である

ということです。では、実際に紹介していきますね。

死と軽く向き合う

これはどういうことかというと、「サラッと読み流せる」ということです。
一つ一つの事実、話を重たく受け止めて、考えるのではなく、サッと進んでいく。実は、この考え方と進み方は大事です。

本気で学ぶような本だったり、エッセイとは違います。
それらは、一度きりの生涯で絞り出した最後の言葉。重く深みがある言葉が数多く残されています。

一方で本書は、『様々な人の死を身近にする』という本です。
だから、作中では多くの人の死が紹介され、話が進むにつれて主人公も順に入れ替わっていきます。登場人物の、一人一人の言葉は重く、共感できるものであれば、心の奥底に響き渡る。

でも、そうならないのであれば、次に進んでいけばいいのです。
全部に完璧に共感し、その言葉を受けとめる必要はありません。

中には著名人の死を紹介している個所もあります。
思わず「懐かしいなぁ」と思う人もいるでしょう。
そこで一歩踏み込んで、『その当時どのように感じたのか』ということまで、目を向けられると最高です。
せっかくの、身近な体験です。そこは、少し記憶と混ぜて考えてみると、いいでしょう。

この本は淡々としかし、わかりやすく共感しやすい形で、様々な死を僕たちに提供してくれています。その中で共感した、追体験できたことに対して
『考え考察する』というのは、読者に一任されています。

だからこそ、「軽く向き合う」ことができるのです。
ちょっとだけ、少しの時間だけ考えてみる。
深く考えすぎるとドツボにはまり抜け出せませんからね、
少しだけ簡単に、というのがホントに需要です。

丁寧な描写と小さくて大きな共感

初めに「死について考えてみて」と言いました。
それは、この『共感』に非常に重要だからです。
むしろ、この作業なくして、「もう生まれたくない」を読んでもツマラナイですよ。

少し死について考えてみると、この本の中で出てくる丁寧な描写の数々に、少しホッとします。

深く思い出しすぎない事もありますが、
「あ、この感覚はみんなあるのか」
「これを考えるのは私だけじゃないのか」

そんなことを思ってしまうシーンがたくさんあります。
そして、共感できたシーンが一つでもあると、この本はあなたにとって非常に特別なものになります。

一見単調で不誠実に思える描写も、主人公を切り替えながら、ゆるりと紹介される、全ての人生の終わりに対しての描写も。

ただ自分たちに『身近な死』について考えて、触れてみましょう。
少しだけ思い出す為の、切っ掛けに過ぎないのだとわかります。

少しでも共感できたあなたは、
この本の『生きている人たちへ向けたメッセージ』に
気が付いてしまうのです。

その為のカギは、「共感」なのです。
故に、小さくて大きな共感と言いました。

もしもあなたが、少しでも共感できれば、
この本は非常に感慨深く、特別な一冊に化けます。

生きたい人へのメッセージ

うつ病を経験しているからか、このようなタイトルをしている本を見る期待してしまいます。
『これは死者へのメッセージなのか?』ということを。

こんなことを考える時点で、少々精神が病んでいますが、そんなことを期待して手に取ると、大きく裏切られます。
これは、『今を懸命に生きている君に』向けて書かれた一冊です。

確かに、『もう生まれたくない』という、タイトルを見ると悲観的に感じてしまいます。

実際には『死というのを身近に捉えること』が目的で、「平等に訪れる死」に対して考える機会を提供しれています。

物語に登場する人物はみんな、必死に生きていますし、誰も人生を投げやりになってはいませんでした。

必死に今を生きている人たちに向けているからこそ、落ちがないのです。

この本の感想で「オチがない」という意見が多いですが、それはその筈で、答えがあるはずがない。
そしてこの本のように多くの死を紹介し、読者自ら考えて貰うのであれば、猶のこと答えなんて不要。
故に、この本には、オチがないのです。

今を懸命に生きて、そして疲れた人が。
ちょっとだけ休憩するときに手に取り、

『もう少しだけ頑張ろう』
『もうちょっといい終わり方があるよね』
そんな風に思考できれば最高だと思います。

感想

もう生まれたくないという本を読んで、初めに感じたことは、
「もっと早く読めばよかった」ということです。

本当に様々な死について触れており、中には有名な著名人も出てきます。
もちろん、僕のような引きこもりでも、知っているような人でした。

そのような人たちの死を身近に感じ、実際に本を読んで内容を追う内に、
その死が非常に身近なものに感じられました。

本書を通して考えたことは、『自分の死はどうなるのか?』ということです。

自分なりに今の人生を真っすぐに、全力で生きているつもりです。
しかし、自分の終わり方に関しては、考えずにはいられません。
そんな変わり者である僕にとって、この本との出会いは非常に大きな意味がありました。

多くの死を通してなお、

全力で今を生きている人の姿は
本当に輝いて見えるのです。
特別なものであるように思えてしまいます。

でも、その全力だって『自分なり』でいいのです。
ほかの人と比較して無駄に落ち込み、その努力に優劣をつける必要はないのです。

ここにきて初めの問い、考えである「自分の死」に戻りますが、深く考える必要はないのです。

だって、今自分にできることは、結局のところ全力で生き抜くだけだから。
それ以外には、ないと思います。

自分が必死に生きてまっすぐ進み、その先にどうなるのかはわかりませんが、改めて「自分らしく生きる」ということを、心がけていきたいなと思いました。


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