誠実な組織
こんばんは、レイです。
今回は、誠実な組織とは何か。どうしたら作れるのか、そしてその効果は何か。そんなことについて語った本を、ご紹介します。
そもそも、組織に誠実さってなんだよって話ですよね。
まぁ、昨今様々な企業で不正が相次いでいる今、誠実さへの視線は厳しいかもしれない。
今回手にした一冊は、こちらです。
『誠実な組織 信頼と推進力で満ちた場のつくり方』
こちらから、どうぞ。
企業と誠実さ
今回の本の内容に入る前に、まずは、企業と誠実さについて簡単に考えてみよう。これは完全な私見だが許してほしい。
誠実さとは何だろうか?嘘がなければいいのか?
それとも、対外的には都合のいいことを、言っていればいいのか?
心の底から、正義を信じているだけでいいのだろうか?
なんとも、変な感じだ。
誰だって金稼ぎを目的として、活動している企業なんかに、
「誠実さ」なんて心の底からは、求めていないのだから。
「どうせ」とか「結局は……」なんて事は、悲しいかな。心の中で思っているし、抱えている。そこから、無理に目を背ける必要はないだろう。
誰も言わないだけで、底に闇があることを、期待している。
心の内側ではひそかに、期待しているようなものだ。
企業は誠実ではないという、声を上げるとする。その時、僕は真っ先に浮かぶのは、就職活動だった。
悪意的な表現をあえてしてみよう。
就活中は、企業の都合いい言葉に、騙されて入社するんだ。
かくいう、僕もそうだ。表面はどれだけいいことを言っても、中身は違うなんてよくある話。ただ、それで終わっていいのかという話だ。
実際問題として、就職活動をした事がある者であれば、耳にするだろう。
もしくは、実感したのではないだろうか?
「こんな会社だとは思っていなかった」
「会社なんて外見だけ」
「結局はこんなもんだよ」
「うちの会社だけはやめとけ」
などという、裏切りの声を。悲鳴を。
かくいう僕自身、その声を聞いた回数は数えきれない。
そう言って、会社を辞めて言った同期も少なくない。
これまで散々なまでに、若者の希望と期待を裏切り続た。ある意味不誠実な対応しかしなかった企業たち。
この先、いったいどのような誠実さが求められているのだろうか?
※(ちょっと悪意的すぎますね)
それでは、本書の内容を見て行ってみよう
企業に必要なもの
今の企業が長期的に発展を遂げて、成長を続けていかなければならない。そのためには、「ESG」という観点が、重要なカギとなる。
企業には今まで以上に、不平等を是正しなければならない。
その上で、経営への透明性が求められるのだ。指標としては、ESGの指数を上げていく必要がある。
ところで、ESGってなんぞ?という方の為に、簡単に紹介しよう。
E;環境
S;社会
G;ガバナンス
この三つの視点で語られるものだ。
結局は企業のブランドイメージでしかなく、世間体がどれだけ良いか?という話だが、それでも調べてみるとかなりばらつきがあるとわかる。
しかし、本書で言いたいことは、体面を良くしろという、無駄なことではない。対面だけ取り繕っても、必ずぼろが出るのだから、初めから真面目に取り組むべきだ。
職場での誠実さを持つことで、組織として誠実になってやろうという話だ。
それでは、具体的に見ていこう。
誠実な企業に必要なもの
早速だが、パパっと必要なものを紹介していこう。
実際、わずか三つなのである。
真実;相手を尊重しながら、妥協はせずに率直な真実を伝える
公正;正しく公平な行いをする
目的;より良い善をなす
たったこれだけだが、初めに提起した問題である。
「誠実さとは何か?」に照らし合わせて考えてみてほしい。
本書で言われていたことなのだが、
パーパスに根差した生き方や組織づくりの動き;残念だが企業は「パーパス・ウォッシュ(うわべだけの目的を生み出す)」
現代社会で道徳的、倫理的に問題視されている不平等さに関する動き;公正な組織ではなく公正さそのものを求める運動に。
従業員の声が組織のエンプロイヤーブランドにおいてますます重視される;短期の研修や広報活動で社内文化を促進しようとするが、日常的な実践に遠く及んでいない
これが企業の実態であり現実だ。
だからこそ、『誠実』であるとは思わない。就職してみると「え?」となるの。
だが、本書で取り上げた三要素(真実・公正・目的)が達されている時、別のことが言える。すなわち、組織は真に誠実である、ということだ。逆に言えば、この三つが満たされなければ、それは『誠実』であるとは言えない。
誠実さの答え
本書によれば、結局は誠実さとは、『能力』でしかない。
いきなりの衝撃の事実に頭が混乱するが、冷静にかみ砕いてみると納得だ。
誠実さが担保されている状況で、「正しい」をキーワードに言動を考えてみよう。
もしも君がしっかりと企業を選び、風土やそこで働く人たちのきれいごとを信じて入社したとしよう。だとすると、まずは企業の目的、組織の目的に基づいて、正しい言動を心掛ける、行うことが達成される。
そこには一切のウソ偽りがなく、
正しいことを正しく行うことができる
という状況であるはずだ。
そうなれるように頑張り、行動できるように言動を改める。
その積み重ねが、
正しいことを言える
といった状況を作り出しているはずだ。
整理してみると、次のようになることがわかる。
真実:正しいことを言う
公正:正しいことを行う
目的:正しい動機に基づいた言動
ここには一切のウソ偽りがなく、
必須とされた三要素が達成された状態がある。
これを踏まえてみれば、すべてが組織の行動で、発言だ。
であれば、誠実さなどというのは曖昧なものではなく、もっと実態のある、定量的に評価ができる能力であるといえる。
この能力を伸ばしていくには、いくつか必要なことがある。
それには、「洞察力」「継続的なフィードバック」「創造性」が重要だ。
そして、それを定期的に鍛えていく必要があるらしい。
これには、とても納得ができるだろう。
一瞬だけ、一時的に鍛えて能力を伸ばしても、当人が忘れてしまえば、その労力は泡となって消えてしまうからである。大事なのは、教育をした事実ではなく、「教育した結果が反映され続ける」ということだからだ。
4つのテーマ
本書では、4つのテーマとして、実際に組織のリーダーが行うべき行動が示されている。それは、次の通りだ。
言動を一致させる
メンバーの尊厳を第一に考える
対話を通じて信頼できる意思決定を行う
全員を一つの大きな物語に導く
さて、これは一体どういうことなのだろうか?
少し考えてみて答えが出た貴方は、非常に優秀だ。
だが、答えが出なかったからと言って、別に悲観する必要はない。
これから知ることなのだから。
言動の一致
言動を一致させるというのは、つまり
アイデンティティにおける誠実さ
ということである。
例えばの話だが、
「僕たちは日本一の品質の製品を作る」
と公言した会社があったとする。ただし、測定器はガタガタで、
加工員の練度は最低限。組織としての向上心もない。
これでは、会社として掲げている目標の
「日本一の品質」
という組織のアイデンティティと離反する行為でしかない。
到底、達成できる目標ではない。
本当に目指しているとは社員の誰もが思わない。
目標を掲げて実行すると宣言したのであれば、次にはそれを業務と結び付ける必要がある。そして、従業員にも意識的に行動して貰わなければならない。
組織としてのアイデンティティが曖昧である。又は、従業員の日々の業務に即していない企業では、アイデンティティが守られている企業と比較して、改竄などの不正が発生する傾向が3倍もある。
市場への発言と、自分たちの業務。つまり行動に一貫性を持つことが、アイデンティティを保持することに直結する。
これが、言動の一致ということだ。
メンバーの尊厳を第一に考える;尊厳を第一に考える
尊厳を第一に考えるというのは、パフォーマンスを一定に保つということに直結する。組織をマネジメントする人の頭痛の種である、パフォーマンスマネジメントの解決策でもある。
非常に簡単な話で、リーダーの評価が公平でなければ、作業者は自分の手柄を立てる為にあらゆる手段をとるだろう。隠ぺい工作はもちろん、サボりや不正も行われるかもしれない。
その根幹には、「正当に評価されない」というものがある。実際、正当に評価されないならば、「手を抜く」か「不正をして評価を上げる」のどちらか、あるいは両方に傾いてしまうのが人間だ。
本書によれば、批判の恐れなく助けを求めることができて、失敗が成功への学びになるのであれば、作業者が自身の失敗を語り、周囲へ公平に接する傾向が4倍も高い。
部下一人一人を公正に評価して、個々の貢献とその貢献者をしっかりと結びつけた「評価と称賛」が必須なのだ。
誠実な対話を通じて、信頼できる意思決定を行う
誠実な対話を通じてというところが重要だ。企業において、どのように意思決定が行われているのか。これは、話題の種になるし
非常に難しい問題だ。
人的・財的資源の分割や、優先順位の決め方など、様々な難問に対してどのように意思決定を行い、そこに公平性を持たせ、透明性を出すのか。これは、とても大きな問題だ。
特に、透明性の有無は重要で、相互の信頼構築に大きく影響してくることだ。意思決定に対する信頼性がなければ、その意思決定には価値がないからだ。なぜなら、そこに誠実さがなくなるからである。
大事なのは、ただ意思決定のプロセスを可視化するだけではない。明確さ、機敏さ、思いやり。この三つを伴うものであることが重要だと、本書では語っていた。
この三つが揃った時に、初めて意思決定に対して信頼が生まれて、組織全体で自信をもってその方針を実行に移せる。
これらを達成していくには、よりオープンな効果的な話し合いの場が設けられることが重要なのだ。
全員を一つの大きな物語に導く
最後になるが、これは組織内で作成されたグループ間での連携の話になる。
組織内での意思決定の透明性がもたらすのは、何も信頼できる意思決定だけではない。共通の話題でオープンに対話を行い議論を重ねることで、だれもが同じ問題に対して真摯に向き合い、取り組んで行くことができる。
組織内での透明性は、組織が同じ方向を向いて一致団結して目標に向かって走り出すための重要な要素だ。組織全体の信頼感や結びつき、理解が深まることで、互いの部門ごとが連携して共通の物語を描き始める。
その多くの人間を巻き込んで描かれた物語は、大きな波となり組織を目標達成へと運んでくれることでしょう。
一方で、組織内にある各部署が険悪であれば、従業員不正のリスクが高まる。本来は、外にいるはずの敵が、身内同士になってしまう。そして、最悪の場合は身内での、潰しあいが始まるのだ。
改善への壁
さて最後に、組織を健全な状態。
すなわち、信頼される組織にするには、多くのものと戦わねばならない。
当たり前ですが今現在残っている、古い習慣や、バイアス、成功体験、
組織内の偏見、等に挑むことになる。
それを達成しても、信頼される組織にするには、気を抜けない。
継続的にトレーニングを行い、誠実さを強く、組織をより結束させ続けていく必要がある。
また、時には障害を取り除き、特権とも戦わなければならない。
だからこそ、誠実さを実現するのは、難しい問題なのだ。
今やるべきことは?
著者が強調しているように、
ビジネスの舞台では、誠実さと公平性に基づいて、成功が築かれる。
だからこそ、本書のタイトルは、
「誠実な組織 信頼と推進力で満ちた場のつくり方」
となるのだと思う。
誠実さをもって対応していくために、あなたが明日から取り組めることは何でしょうか?
まずは自分の立場からいま一度見直して、真面目に考えてみることでしょう。一番下っ端であれば、逆に考えてみよう。
つまり、「忌憚のない意見を届けてみる」という行為をしてみるのだ。できることは、あなたの環境と、行動力次第で大きく変わる。
ただ、できる些細なことを見逃して、大きなことを達成することはできないだろう。
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