マガジンのカバー画像

一読の夢~短編小説集~

101
ジャンル問わず、全短編をまとめたものです。 更新は不定期。小説を読みたい方はぜひ読んでみてください。
運営しているクリエイター

#SF小説が好き

スタードライバー(第2話)

■前回の話はこちら■本編「これからどうするのです」  皇女のマリーは沼地に半分埋まったス…

水瀬 文祐
5時間前
49

スタードライバー(第1話)

 営業所の喫煙所で一人、煙草をふかすこともなく、缶コーヒーを飲んでいた。営業所に備え付け…

109

アロガント(第3話)

■これまでの話はこちら■本編 フレイボムから事の経緯を聞かされた警部はううむ、と唸って腕…

水瀬 文祐
2週間前
98

アロガント(第2話)

■前回の話はこちら■本編「だが、にわか仕込みの剣法では我に勝てぬわ」  影騎士は猛進し、…

水瀬 文祐
2週間前
108

アロガント(第1話)

■あらすじNZ署のグロンデル警部の管轄で殺人事件が起こる。その被害者、半人半機の半機人シ…

水瀬 文祐
2週間前
148

聖者の揺り籠(後編)

■前編はこちらから■後編 母が死んだとき、世界はまだ混沌に包まれてはいなかった。  葬儀…

水瀬 文祐
1か月前
98

聖者の揺り籠(前編)

 エリス・如月は殺すな。生け捕りにしろ。  教官は命令の最後にそう付け加えた。それを聞いて教官の教えに人一倍素直に従ってきたグレンは初めて疑問を抱いた。  エリス・如月は世界を混沌に陥れ、破壊と死の風をもたらした魔女だとされている。ならば、これ以上世界に悪を成さないように速やかなる死を与えるべきでは。万一仕損じでもしたら、厄介なことになる。グレンは正直者だったために挙手をし、その旨を教官に直接ぶつけた。  教官は火のように顔を赤くして、グレンの頬を激しく打った。「愚か者が。貴

エクストラクト

 砂塵の向こうに霞む街が見える。  男は立ち止まっているとずぶずぶとブーツが沈んでいく流…

水瀬 文祐
2か月前
137

アイ、シオン

 ある日ぱたりと小説が書けなくなった。  山荘に籠って、食事の時に妻と会話する以外、人と…

水瀬 文祐
2か月前
131

チェリーブロッサム・ブリザード

 その店には生き物であれば、何でも揃っていた。蜘蛛でも、トカゲでも、猫でも虎でも。そして…

水瀬 文祐
2か月前
124

天使の隠れ家

 当たり前に明日がくる。そう信じて、いや、きっとそんなこと考えもせず、僕は眠りについた。…

水瀬 文祐
3か月前
159

陽だまりに月

 ある日突然太陽が黒化した。熱は変わらず放射し続けるものの、光を放たなくなった。つまり、…

水瀬 文祐
3か月前
113

パッチワーク

 世界が滅亡するスイッチが作れたらどんなにいいだろう、と慎吾は高校生にもなってそんなくだ…

水瀬 文祐
3か月前
128

レポート№93「ぱらぱげるについての覚書」

 このレポートは私の膨大な研究の一部である。だが、枝葉末節だと思ってほしくはない。このレポートに記した事実こそ、私が追及する人間の幸福、その道への根幹を成すと言えるだろう。  ぱらぱげる。この不可思議な、生命体なのかそうでないのかすら分からない物体(学会では生物であるという意見が有力であるから、私もそれに倣おう)のことは、説明するまでもないことだと思うが、万が一、このレポートが世に出る際にぱらぱげるの存在が消失していたり、隠蔽されていた場合を考え、簡単に説明しておく。  ぱら