ひそかな楽しみ

昔から、こまごましたものを集めるのが好きでした。

ペットボトルの蓋、チロルチョコの包装紙、消しゴム、書店でかけてもらえる紙のブックカバーや文庫本に挟んである栞など。

おそらく大半の人は見向きもしないでしょうが、その多彩なデザイン、手のひらに収まるサイズが私には妙に魅力的に思えたのです。

ペットボトルの蓋は捨てましたが、当時の友人の親にも協力を仰ぐほど熱中して集めていた覚えがあります。チロルチョコは100均のカードホルダーに入れて、今も保管してあったりします。

変な目で見られたらどうしようと思い、これらは家族や友達には内緒でやっていました。

見られたくないので、集めたものは夜に見て楽しんでいました。我ながら奇妙な子供だったと思います。隠れて何かをしているという所に優越感を覚えていました。

皆さんには何か、ひそかにやっている楽しみはありますか。

父は切手を集めていました。マッターホルンの写真が表紙を飾るおしゃれなストックブックに保管していました。いつだったかは忘れましたが、そのストックブックを初めてみた時、私は意外に思ったのです。

父はだいたい本を読むか昼寝をしているかなので、趣味を楽しんでいるような印象を持っていませんでした(私が知らないだけかもしれませんが)。

父が「持っていて欲しい」と言ったので、そのストックブックは私が持っています。

中には、お年玉切手シートやオリンピック記念切手、海外のものまで様々な切手が収められています。二宮尊徳の肖像の一円札も一枚入っていたので驚きました。

切手も私の嗜好に合っていて見飽きません。いずれ自分でも少しずつ集めてみようかと考えています。

父の他の楽しみといえば、お酒でしょうか。私が見る限り、毎日飲んでいます。

父はお酒が入ると饒舌になります。声も大きくなるので、昔の私は正直「やかましいなあ」と心の中で思っていました。

ただ最近では、「もしかしたら、父のひそかな楽しみは"自分の子供と食事をしたりお酒を飲んだりすること"なのかな。だからこんなに陽気になるのかな」などと考えたりもするのです。

最近私がひそかにはまっているのは『シュガー&シュガー』という、Eテレで毎週火曜日に放送されていた番組です。山口一郎さん(ロックバンド・サカナクションのボーカル)が、ゲストと対談したり、音楽にまつわる様々な企画に取り組んでいます。

ミュージシャンをはじめ、デザイナーや映画監督など所謂クリエイターの方々が出演しています。ゼロからものを創る人のお話は興味深く、聞いていて飽きません。

このあいだは、山口さんと同郷の俳優・大泉洋さんがゲスト出演されていました。とても面白く、録画して繰り返し観ています。最近の言い方だと"神回"というやつです。

この番組は先日、最終回を迎えました。非常に残念でしたが、毎週新しい企画を考え続けるのは難しいのかなと思いました。また次の楽しみを探すことにします。

今は何かと我慢を強いられる世の中ですが、自分だけの楽しみを見つけて、どうにか日々を過ごしていきましょう。

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