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「無理しなくていい」って言う人も「無理に生きなくていい」とは言わない

みなさん、疲れていませんか?

むかし、「世の中、バカが多くて疲れません?」と女優が語りかけるテレビCMがあって、視聴者からのクレームでいったん放送中止になったんですけど、「世の中、お利口さんが多くて疲れません?」に変更して、放送継続されたって話がありました。

この話、私の中では「世の中、バカが多くて疲れません?」ってCMが世間に受けたってストーリーで記憶されてました。

逆やないか。

なぜだ。
調査によれば、人は自分の能力を過大に見積もるので「世の中、バカが多い」と感じている人のほうが多数派になるはずなのに。
CMのクリエイターも「共感の嵐」を予期していただろうに。

そこでクレームの内容を調べてみたら「自分がバカにされているような気がするから嫌だ」ってことらしいです。
バカは自分だった。
世の中、謙虚な人が多かった。
というかテレビCMは多数派の意見でなくても一定数のクレームは無視できないのだ。

ちなみにこれは平成初頭の1991年のお話で、令和のコンプラに照らせば放送前にアウトかもしれない。
「世の中、お利口さんが多くて疲れません?」であっても、企画会議を通らないかもしれません。

私は疲れています。
「バカが多い」のか「お利口さんが多い」のかはわかりませんが、他人との交渉に疲れています。
かといって「世の中、バカが多くて疲れません?」に同調して笑えるほど客観性を欠くわけでもないし、「世の中、お利口さんが多くて疲れません?」に喝采をおくれるほど意地が悪くもない。
ただひたすら他人との意見や感性の違いに疲れています。

疲れているんだろうなと自覚したのは、3markets[ ](スリーマーケッツ)のプロフィールにある次の文言を見たときからかもしれません。

このバンドもしかしたら好きかも、と感じた人はそろそろ人生に疲れてるので次のパーキングエリアで早目の休息を。

スリマのどのあたりが好きかといえば、たとえばこんな歌詞。

半径1mが僕の
パーソナルスペースになってる
近い 近い 君がちょっと近い
そんなに仲良くないんだって
友達じゃないよ知り合いだって
言えない 言えない
直接は言えない

拝啓、1メートル。
作詞/作曲:カザマタカフミ 編曲:3markets[ ]

精神的な意味で、半径1m以内に他人が入ってくると気を遣って疲れてしまう。
離れてほしいとは言えない。
他人の好意を無下にできない。
「友達だよね?」と言われたら「友達じゃないよ」とは言えない。
でも言われたことはある。
「友達だよね?」なんて聞いてないのに。

セックスをするのが 本当はそんなに好きじゃないんだ
疲れてしまうんだ 身体よりも心が
本当に気持ちいいのとか
気を使わせてないかなとか
不安になってしまうんだ 怖くなっていくんだ 変かな

僕はセックスができない
作詞/作曲:カザマタカフミ 編曲:3markets[ ]

みんなセックスするとき、相手を気持ちよくさせようと考えすぎて、自分の気持ちよさは置き去りになってないのかな?
変かな?
あと、こういうことってセックスのパートナーのいない人には言えないから、あまり口にできないな。
変かな?

何やったって想像はつくし
どこ行ったって似たような街だし
知らない人との話し方だって
本当わかってるし

右に倣って左に揃えて
はみ出さないように叩かれないように
あれ これ アレ コレ
誰の人生だったっけ

もういい人ぶるのも疲れたな 疲れた
もういい どうでもいい どうなったっていい

あきた

作詞/作曲:カザマタカフミ 編曲:3markets[ ]

生きていくためにやらなきゃならないことがあって、
それぜんぶ完璧にこなさなきゃだめですか?
やらなくてもいいんじゃないですか?
スリマはそんな自分の気持ちを肯定してくれる。

次は「風呂に入らなくてもいい」って歌が聞きたい。
あ、オナニーマシーンの「めんどくせー」があった。

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