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「おーい!落語の神様ッ」

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創作大賞2024応募用の作品です。落語に少しでも興味を持って貰えたら嬉しいという思いで書きました。
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#お仕事小説部門

おーい!落語の神様ッ 第十四話

【神々の寄合 シーン77】  自らを半福神と称する青白い顔をした手の平サイズの爺さん達が永…

おーい!落語の神様ッ 第十三話

 梅雨明けの夏空。遠くに入道雲が見える。今日も暑くなりそうだ。  すでに玉のような汗を掻…

おーい!落語の神様ッ 第一話

 紋付羽織袴姿の男が深夜の浅草を千鳥足で歩いている。この界隈の人達は気にもとめない。「ど…

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おーい!落語の神様ッ 第十二話

【神々の寄合 シーン66】  咲太が眠った後で、自らを半福神と呼ぶ青白い顔の小さな爺さん達…

おーい!落語の神様ッ 第十一話

 飛行機やホテルの手配、空港からホテルまで車で送迎してくれたのは岡津だった。人気の頃の咲…

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おーい!落語の神様ッ 第十話

 咲太はみかんと解散して浅草から師匠宅へ向かう間、例の爺さんに初めて遭った夜からこれまで…

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おーい!落語の神様ッ 第九話

【神々の寄合 シーン49】  咲太が眠った後で、青白い顔をした小さな爺さん達が車座になって何やら話している。 「結局、われら、この主の元へ戻ってきてしまったなア」 「そうですなア」  柳咲から咲太への移転組が話している。 「あんたは元から居ますなあ」 「はい、でもわれもまだ移ってきたばかりで」 『いつきや』の大将から咲太へ移った者が答える。 「なかなか片割れと遭遇出来ませんなア」 「そうですなア。みんな各々、限られた自由時間で探しているでしょうに」 「われはこの前、新潟で、見

おーい!落語の神様ッ 第八話

 倒れた柳咲にしがみつくように救急車に乗った後は記憶が断片的だった。病院の待合所が疲れた…

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おーい!落語の神様ッ 第七話

 師匠宅へ行くのは正月以来だった。その時の咲太は師匠とはろくに話さず、挨拶が済んだらさっ…

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おーい!落語の神様ッ 第六話

 咲太は自分の体内時計が狂ってしまったことにショックを受けていた。落語家になって十四年。…

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おーい!落語の神様ッ 第五話

 夏風亭とんびが国民的演芸番組『芸点』を降板すること、その理由が、まだ幼い難病の愛娘のた…

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おーい!落語の神様ッ 第四話

 せっかく禁酒を始めたばかりなのに台無しになるといけないので、咲太は爺さんと一杯やりたい…

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おーい!落語の神様ッ 第三話

 咲太があの爺さんに会ってから一週間が経とうとしていた。日本で唯一の演芸専門誌、東京瓦版…

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おーい!落語の神様ツ 第二話

 自宅から歩いて五分もかからない場所にある居酒屋『いつきや』の暖簾をくぐると、いつものように大将が「いらっしゃいっ」と愛想よく迎えてくれた。咲太は思わず大将の肉付きの良い肩を確認しながらカウンターに腰かけた。日曜日の夕方の早い時間、先客はいなかった。おかみさんもおしぼりとコップを手に「いらっしゃいまし」と迎えてくれて、すぐに瓶ビールを持って来てくれた。おかみさんの肩も確認してしまう。 「どうしたんです、師匠」 「大将、師匠はやめてって言ってるでしょ、まだ二ツ目なんだから」