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どこにでも住めるとしたら、どこに住んでみたいか?

今まで日本を含めて5カ国に住んだ経験がある。
日本、アメリカ、ボツワナ、エジプト、そして東ティモール。
それぞれ住居、人、生活習慣、環境は多様で、特に海外で生活をするとたくさん学びと苦労があり、実際その刺激と経験が私自身の今の価値観の形成に大きな影響を及ぼしていると思う。
できればあと2−3カ国経験してみて、最終的に自分の住まいを決めていきたいな、なんて思っている。

リッキーの言葉と気づき

東ティモールで一緒にバディを組んで仕事をしていたリッキー(当時26歳)。
彼は地方の村出身だが、子供の頃からとても勉強ができたので大学への進学に奨学金を受けてインドの工科大学に留学。
のんびりとした東ティモールの田舎町から、いきなりインド社会に放り込まれて、言葉の壁、住居問題、人の多さ、そして激しい競争に揉まれ、来る日も来る日も必死に勉強して苦労末なんとか4年で学位を取得(ちなみに同時期に留学した4名のうち3名は途中で脱落・帰国したらしい)。
帰国後は工事現場の仕事など経験しつつ、なんとか開発援助機関の仕事を得て、今は日本人や欧米の人々共に仕事をし、日本やインドネシアなど海外出張も経験している。

そんな彼と雑談の中で、
「世界中の国でどこにでも住めるとしたら、どこに住んでみたいか?」
という話題になったことがある。

東ティモール人の回答としては、

  • 隣国で人の行き来も多いオーストラリアやニュージランド。

  • 元宗主国のポルトガル、あるいは現在も出稼ぎ先の多いイギリス。

  • やっぱり経済大国アメリカ。

  • 一番身近でありながら、経済発展の先を行くインドネシア。

おおよそこのあたりが「行きたい国」として上がってくる。
やはり自国より「発展した国」で、「経済的に豊かな生活」を求める。

英語も堪能で、仕事っぷりも良いリッキーであれば、そういった国で仕事を見つけて移住するチャンスは十分ありそうだ。
決してエリートではないが、海外居住の経験もあり、仕事を通じて国際的な感覚や実務スキルも持っている彼がどう答えるのか興味深く聞いてみると、
帰ってきた答えは、

“ I am happy with  Timor-Leste.”  ( 僕は東ティモールで十分幸せだ。)

しかも、本当は首都ではなく地元に帰って自分の土地で暮らしたいと。

東ティモールは小さな国だ。
岩手県くらいの面積で、人口は120万人強。
インフラも産業もまだまだ開発途上で、首都でも医療、教育、水や電気などのサービスは十分でない。政治も経済も正直今後どうなるのかわからないし、特に地方の生活は農耕中心で「稼ぐ」のは容易ではない。

それでも彼はHOMEを選ぶ。
家族や愛する人たちと一緒に、自分の土地で生きていくことが一番いいのだと。

どこに住みたいかではなく、「HOME」に住みたい

アフリカ・ボツワナでの経験で自分達の土地で生きることを何より優先する人たちと接してきた。
不便であろうが、開発されてなかろうが、その土地で生きてきた人にとって、そこ以外で生きていくことを想像するのは難しい。

今回リッキーの場合は、

  • 「外の世界」を知っているし、具体的に生活が想像できる

  • 自分の経験とスキルを活かせば、今より経済的に豊かになれるチャンスがある。

  • 便利な生活や刺激のある環境を実際経験している。

彼には実現可能な選択肢がある。
それでもやっぱりHOMEを選ぶ。
住みたいのはいつだって「HOME」であって、「どこに住みたいか(場所)」なんてそもそも考えないのだ。

経験することと選択肢を持つことの意味

私は、
「たくさんの経験をして、多くの選択肢を持って、その中から「BEST」を選ぶこと」
が良いと思っているタイプのようだ。
多分そういう人は多いと思う。

でも選択肢をたくさん増やしたからといって、何を求めているか、大切なことが最初から決まっている人にとっては、多くの選択肢があってもあまり意味はない。
例えばリッキーのように。

経験は財産になる。
人生や思考を豊かにしてくれると思うし、そこに異論はない。

そして、選択肢が全くないことは苦しい。
与えられた環境から身動きが取れない人々に、選択肢が与えられることは重要だ。

でもより多くの選択肢があるからといって、より幸せになるわけでもないのも事実だと思う。

有名なジャムの法則というのがある。

1995年にコロンビア大学の教授が発表した法則で、人間は検討できる選択肢が増えると逆に選択が難しくなるという。その法則の特性から「決定回避の法則」とも言われてる。

https://www.youtube.com/watch?v=ZMCOlPLXb9s

どのように生きたいのか?
どういう暮らしをしたいか?


そういう自分の中での基準がないと、場所の選択肢が増えても意味がない。むしろ選択肢が増える事で悩みが増えて、結局何が欲しいのかわからないくなってしまうというケースも多いのも事実。

結論:選択肢をいくつ持つかは丁寧に考えていきたい

現代のライフスタイルは多種多様で、「あれもいいな」「こんな感じも素敵だな」「そういうのも楽しそうだな」と色々妄想は膨らむばかり。

私の場合、さまざまな経験を経て、自分の居心地のいい暮らし、生き方の方向性のイメージはなんとなく固まりつつある。

まずはその「軸」決めて、どこに住みたいのか?の選択肢をいくつか持てるように、丁寧に考えていければいいかな。

私もいつか自分のHOMEを持てるように!



#どこでも住めるとしたら


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