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少しだけ丁寧に生活してみる ~カレーのスパイス~

この時期、必要以上に外に出たくないので、家にいる時間が長くなる。

面倒くさがりな性格ではあるものの、頭の中で順番をシミュレートして効率よく物事を終わらせることが好きだ。
そうやって、生み出された無駄な空き時間は大抵ハンモックの上で音楽を聴きながら揺られている時間に費やされる。
そういう無駄な時間を作り出す暮らしも嫌いではないのだが、せっかくこんな特殊な時期なので効率よく作業しつつも、一つ一つの工程を丁寧にしてみるという事も最近は意識的に行なっている。

私はタイ・バンコクに住んでいるが、タイカレーよりもインドカレーが好きだ。
ある程度バンコクに詳しい人であれば、バンコクにインド人街がある事を知っていると思う。そのエリアに行けば、本格的なインド料理を食すことができる。頭にターバンを巻いたいかにもなインド人がスプーンやフォークを使わずカレーを食べている。インドに行かずとも、インドの雰囲気が味わえる、私にとってはとても大切なエリアだ。
このエリアで食べられるカレーの美味しさに魅かれ、またそのエリアでインド料理に必要なスパイスも売られているという条件も整い、自分でスパイスを配合するようになった。
最初は基本的な5種類くらいのスパイスを買いそろえ、今では10種類以上のスパイスを、毎回少しずつ配合を変えて自分好みの味に調えていくことが趣味になっている。

もちろん、インドの方や本格的にインド料理をしている方は料理に合わせて、例えばカレーでも具はチキンなのか、羊なのか、ベジタブルなのか、味付けは北インド風、南インド風どちらかなど、作る料理に合わせて都度配合を変えるのが普通だと思うのだが、そこは面倒くさがりの私である。
配合したスパイスはある程度大量に作り置きし、カレールーのように必要分量だけ使ってカレーを作っていく。つまり、汎用性の高いスパイスを作ることが私の目標だ。
そのためにスパイス配合の時は、毎回の配合量に加え、次回はこのスパイスを少し増量してみよう、これは減らしてみようという構想まで含めて記録する。

スパイスは、主にホールとパウダーに分かれている。パウダーとはその名の通りスパイスを粉砕したもの、ホールは粉砕する前の実の状態のスパイス。
ホールスパイスは、調理の段階で油でじっくり炒めたりすると風味が出て美味しくなる。
パウダーとホールの両方でスパイスをそろえてみたいという気持ちもあるが、その辺はそのうちといった感じだ。
万能カレールーを作るときには、ホールでしか持っていないスパイスも配合するのだが、それらは、粉状にして他のパウダースパイスと配合する。
タイもスパイス文化なので、スパイスを砕くための小さ目な石臼はちょっとしたスーパーや放棄やたわしなんかが売られている雑貨屋さんなどでも簡単に購入できるが、IKEAでちょっとおしゃれな石臼が売られていたのでそれを購入した。
私が持っているホールスパイスで粉砕してルーに混ぜたいものは、カルダモン、マスタードシード、クローブ。
これらを、粉砕するのになるべく時間をかけて丁寧にすりつぶしていく。
スパイスから出る油、殻などもきれいにすりつぶす。
いつもなら、おおざっぱに砕けたところでOKにしていたのだが、パウダー状になるまで、厳密にはパウダー状にはならないが極力細かく砕いていく。

コンコンコンコン

石臼と石のすりこぎ棒がぶつかり合う音、スパイスを砕いていく音だけが部屋に響く
無心でスパイスを砕くことに向き合う時間だ。
時間にして15分くらいなものだと思うが、頭を空っぽにして、すりこぎを通して伝わって反発してくる感覚に意識を向け、スパイスが細かく砕かれる様を目で追い、香りを味わう。
このほんの少しの丁寧さは、カレーをいつもより少しだけ香り高く、味わい深いものに仕上げてくれるものにしてくれるし、心を豊かにしてくれる気がする。

こうして、自分なりに満足したスパイスの配合を終え、スパイスの香りに満たされた部屋で、ハンモックでゆらゆら揺られながら昼寝をするのだ。
鎮座DOPENESS×環ROY×U-zhaanの「サマージャム'95」なんかを聞きながら…

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