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今、悪阻で苦しんでいる人へ

私は妊娠期、重い悪阻を経験しました。
3ヶ月休職、そのうち2ヶ月間は毎日嘔吐。
とにかく長い地獄でした。
地獄、拷問、苦行、悪夢、これらの言葉に置き換えても例えようのないくらい、言葉にすると軽く思えてしまうくらいの辛さでした。
妊娠8週目、脱水症状。ケトン体の反応が出て「妊娠悪阻という病気です。入院レベルです」とのこと。病院に入院施設がなかったため通院点滴をしましたが、嘔気がなくなる気配は特になく、とりあえず死なないための点滴をしました。
悪阻ピークは10〜12週頃と言われていますが、むしろ悪阻はぶり返つ始末。症状が軽くなることはなく、もうずっと嘔吐、嘔吐、嘔吐。
嘔吐以外にも、頭痛・吐き気・便秘・下痢・腹痛・目眩・動悸・不眠・悪夢などなど。
そして『口まず』とよく言われる、口の中がずっと気持ち悪い、鉄の味がする、という症状がとにかくしんどい毎日でした。口まずは、初期悪阻が終わっても中期の終わり頃まで続き、後期でまた復活するほどでした。
なにその症状???って感じ。意味わからないです。納得できなかったです。食べている時以外はずっと口の中が気持ち悪い味、寝起きなんて最悪でした、鉄の味のよだれでした。
自分が経験しなければ、知る由もなかったであろう症状です。

誰も代わってはくれない、死んだほうが楽になる、どうして私は死ねないんだろう、死ぬ勇気がない。と思っていました。待望の妊娠だったのに、明るい未来が全く見えませんでした。それでも、赤ちゃんをどうしたいとかは思いませんでしたが、自分自身は死にたいと毎日思っていました。

悪阻がない人が心底羨ましく、むしろ恨めしく思っていました。どうしてあの人のような生活や人生を歩むことができないんだろう、どうして私はあの人のように働けないんだろう。まともに社会生活を歩めない自分が情けなく、悲しく、虚しく、恨むようにもなりました。

初期悪阻が終わっても中期もずっと体調不良、腹痛で緊急搬送され入院もし、後期悪阻もすぐにやってきました。10ヶ月間の地獄、私はとにかく、ずっと疲弊していました。

いまこれを読んでくれている方の中に、悪阻で苦しんでいる方はいますか?

どうか、生きてください。

でも、生きたくないですよね。
偉そうに、うるさいな、って思いますよね。
分かります、私もそう思っていたから。
誰も助けてくれないし、誰も理解してくれない。
辛さは見える化できないので、比べられません。
だからこそ、いま一番辛いのは、今一番悪阻で苦しんでいるのは、あなただと思います。いま一番辛くて、一番頑張って、一番踏ん張っているのはまぎれもなくあなたです。
頑張り過ぎるほど、あなたは頑張っています。
赤ちゃんへの栄養や、赤ちゃんが日々生きているか心配で心配で仕方ないと思うけど、でも今はどうか、あなたの命をどうにか、繋いでください。

「悪阻はいつか終わるから」「悪阻は病気じゃないから」という励ましが私は大嫌いでした。それはわかってる、でも今辛いんです、といった感じでした。悪阻への理解がない社会や他人が大嫌いでした。今でも、悪阻のことで言われたことと人を忘れません。一生忘れられません。
悪阻は、妊娠悪阻という診断がつくと立派な病気になります。傷病扱いになります。でもそれがどういうことなのか、社会は理解していない。という孤独と戦うのが、とにかく一番辛かった。私は妊娠をしたことで弱者になったんだ、と実感しました。

今は妊娠出産を終えたけど、乗り越えたとも思っていません。成し遂げたとも思っていません。いまだに悪阻への恨みに心が毒されるし、暗い気持ちに侵されるし、フラッシュバックのように思い出しては涙が溢れ出てきます。PTSDのような症状でしょうか。
だからいまだに「よく乗り越えたね」と声をかけられることもありますが、なんだか腑に落ちない。もちろん、出産を経て会えた子どもは本当に本当にかわいくてたまらないですが、なんだかいまだに、悪阻と出産、そして子育てというものは別モノとして考えてしまう自分がいるのです。

悪阻については、もう溢れんばかりに書き続けられるのですが、長くなってしまいそうなので、ひとまずこれまで。

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