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皆さんごいっしょに、って嫌だなあ

 コンサートなどでステージ上の歌手が歌うとき、サービス精神の表れか点数稼ぎかわからないが、「皆さんもごいっしょにどうぞ」などと言って観客を誘うときがある。
 その言葉に誘われた観客がいっしょに歌ったり、体を左右にふったり、手拍子をしたりする。私はそういうのが苦手で、どうにも乗ることができない。どうがんばっても手拍子が精いっぱいだ。

 そういう場に居合わせたとき、私は内心「うわあっ、来たか~」などと焦るのだが、乗らない。私と同様の性格というか波長というか、そういう雰囲気になじめない人はけっこういる。
 そういう場面にでくわしたとき、私はちらりちらりと周囲をさぐるのだが、居心地悪そうに、ぎこちなく居住まいをただしているのはだいたい中高年の男性と相場が決まっている。彼らも同じく、バツが悪そうな表情で隣を見たり後ろの席のようすをうかがったりしている。

 片や、なんの抵抗感もなく、誘われるがままにすぐ乗れる人たちもいる。すなおというか単純というか、ある意味うらやましいような気がしないでもない。
 あくまでも私個人の推測だが、もっともすんなり乗ってしまうのが若い女性。次に少し恥ずかしいのか中年女性。そしてさらに、だいぶ照れくさいのか年配のご婦人方だ。

 もちろんこれは年齢や性別だけでなく、性格が大きく関係する。あたりまえだが、暗い性格の人やおとなしい人、照れ屋などは乗りにくい。
 当然、私も含めてだが、乗らないとなんだか気まずいので、ちょっと手拍子をはじめてみたりする。それでもまだ往生際悪く、周りのようすをうかがっていたりする。
 結局、手拍子をはじめてはみたものの、たちまちやめてしまったりするのだが、その歌が終わるまではずっと気まずい思いをしているのだ。

 だから私は、そのような集まりにはできるだけ参加しないようにしている。しかし、何かの役員などをしていると断れない場合がある。というよりまず断れない。
 今年の4月、ひとつの大役をおりることができたのでややホッとしているのだが、すべての役から解放されたわけではない。

 運動会などでも、競技の合間に民謡などの踊りが入る場合がある。このときも同様だ。主催者側の進行係が
「さあ、楽しい踊りの時間がやってまいりました。来賓の皆さんもごいっしょにどうぞ」
 などと誘う。楽しいもんか、ふざけるな、なんて思ったりする。
 民謡にいたっては歌よりはるかに恥ずかしい。踊れない。そもそも知らないんだから。それでも、一応来賓だからと思ってのこのこ出て行く。輪に加わって、前後の人のマネをしてなんとか踊る(というか、踊りのような動きをする)。
 来賓用のテントのほうを見ると、しらばっくれて出てこない来賓もいる。おれもあのくらい図太いといいんだけどなあ、こんなことじゃあチョイ悪おやじにもなれないや、なんて思う。
 だから運動会も嫌い。

 あ~、それにしても暑い日が続くなあ。まいったまいった。

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メイぷる子さんが私の記事を取りあげてくださいました。
ありがとうございます。


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